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イノベーターが
見ている未来

vol.1

確固たる世界観を持ち、新しい取り組みをしている「次世代リーダー」へのインタビュー。
その取り組みと背景、そして未来についての展望をうかがいます。

grico

エザキヨシタカさん (age.30)

美容師を、「かっこいい職業」No.1に。
鏡の前でできることは、きっと無限にある。

美容師としてはもちろん、その枠にとらわれないさまざまな取り組みが、業界内外から注目を集めるエザキさん。その発想の原点にあるもの、そしてエザキさんが描いている美容師、美容業界の未来についてうかがいました。

1985年、長崎県生まれ。ヘアサロン「grico(グリコ)」代表。都内の大手ヘアサロンに入社後、1年半でスタイリストに。その後23歳で独立、フリーの美容師として月に340万円を売り上げる。2009年、24歳で原宿に「grico」をオープン。サロンワークに加え、雑誌やショーでのヘアメイク、国内・国外でのセミナー講師も務める。その他、ヘアサロン「air(エアー)」の木村直人さんと共同で始めた会員制コミュニケーションサロン「Multiverse(マルチバース)」の運営、ファッションブランド「grico clothing(グリコ クロージング)」の展開、毎月最終金曜日に行っている交流イベント「LAST FRIDAY(ラスト フライデー)」の開催と、多方面で活躍。
(URL : http://grico-h.com/

第1章「美容師という職業の可能性を広げる」ということ

「お客さまとスタッフを幸せにする材料を、
 できるだけ多くつくりたいんです。」

エザキさんは美容師の枠にとらわれない活動を多くされていますが、その中のひとつ、オンライン上の会員制コミュニケーションサロン「Multiverse」を立ち上げたきっかけや活動内容について教えてください。

ここ数年、美容師のなり手不足が深刻になり、今のままでは美容師という職業の魅力が伝わっていないという危機感を感じたことがきっかけでした。「Multiverse」は、志ある若手が集まった新しい形の美容組合のようなもの。全国の仲間たちと一緒に、職業としての美容師の地位やサロンの価値を高めていきたいという想いで2014年から始めました。月額8,000円、または4,000円の有料制ですが、現在460名近い方が参加してくれています。技術面、WEBでの発信・集客方法、経営などに関するノウハウ提供、外部の方をお呼びしたセミナー、作品に対するアドバイスなどをオンライン及びリアルを通じて行っています。

「Multiverse」で、今後実現したい世界は?

目指しているのは、志の高い美容師が集い、美容師の地位やサロンの価値を上げ、美容業界の未来を明るくすることです。僕は「100年計画」というのを掲げています。具体的には「grico」のような、カリスマがいる“ブランドサロン”を5店舗、あとファッション業界で言う「ユニクロ」のような“多くの方が気軽に通えるサロン”を100店舗、仲間たちとともに100年でつくるという目標です。なぜその比率かというと、美容業界ではブランドサロンは全体の約2割しかない。その中でいくらがんばっても難しくて、本当に業界を変えようと思ったら、約8割の気軽に通える大衆向けサロンにテコ入れする必要があると思ったからです。店舗が多ければ通ってもらえる方も、働くスタッフも多くなる、それだけ人を幸せにできる総量が増えるんです。そのためには全国に仲間が必要で、「Multiverse」が美容業界のスペシャリストをたくさん生み出す場になればいいなと思っています。

「100年計画」でつくりたいサロンのイメージを教えてもらえますか?

「grico」は原宿という立地のブランドサロンで、ファッションや芸能関係のお客さまも多いからこそ、できることがあります。でも、全国の仲間が「grico」と同じことをする必要は全くなくて、それぞれが地域特性を生かしたコンセプトのあるサロンでいいと思っています。例えば宇都宮にあるサロンだったら「餃子と美容室」のかけ合わせとかもアリかもしれない。せっかく地域ごとに特色があるのだから、それぞれの個性を生かしたサロンが全国にできたらうれしいです。そのためには、ブランディングの知識や、今の時代に合った新しい発信手法を知ることも必要です。
「Multiverse」は、未来につながる新しいサロンや美容師のあり方のヒントを、常に提供できる場でありたいと考えています。

他にも特徴的な活動として、サロン内でファッションブランド「grico clothing」を展開されています。始めたきっかけを教えてください。

お客さまとスタッフを幸せにするための材料を、少しでも多くしたいと思ったからです。髪を切ること以外で、美容師の職域をもっと広げられたら素敵だなと。美容師ができることは時代とともにカットからカラー、パーマと増えてきましたが、その次の時代を作りたいと思っていたんです。売り上げが順調でも、髪をカットしているだけでは、美容師の生産性にはある程度限界があります。そこで、「grico」オープンから3年後に「grico clothig」を始めました。もともとファッションに興味があったこともありますが、何より、ヘアだけでなくファッションまでトータルでお客さまをプロデュースすることができれば、次の時代につながり、かつお客さまの幸せを増やせると思ったんです。最初は何もわからないので、セレクトショップの店員さんに洋服の買い付けの仕方を始めいろいろ教えてもらいながら、サロンの中で洋服を売るようになりました。

「grico clothing」をはじめて、何か変化はありましたか?

いろいろと広がりを感じています。例えば今は、服だけを買いに来てくれるお客さまがいたり、読者モデルの子が撮影のために服をリースしてくれたりと、お客さまとの接点がどんどん増えています。結果、スタッフのキャリアも広がってきました。発想を広げることで、美容師の生産性を何倍にもすることができる。この経験は、僕の考え方のベースになっているような気がします。そうやって、次に出てくる人たちも、美容師の可能性をどんどん広げていってくれたらうれしいですね。

毎月最終金曜日にサロンのお客さまを集めてやっているイベント「LAST FRIDAY」についても教えてください。

「LAST FRIDAY」は、アパレルアーティストやクリエイターの方々とコラボレーションして、原宿というエリアをもっと盛り上げたいという想いからスタートした交流イベントです。もともと「お客さまの人生を幸せにする」ことの先に、「お客さま同士をつなぐことで、もっとお客さまの人生を幸せにしたい」という気持ちがありました。このイベントで、たくさんの人がつながっていっているという実感があります。
以前から、例えばモデル志望のお客さまと芸能プロダクションの方をつなげたり、結婚式を挙げたいお客さまと結婚式場の方をつなげたりと、サロンの中でお客さま同士のつながりを作っていました。イベントでは、それをもっとダイレクトにできます。
 「お客さまが人生で望むものを、できる限り叶えてあげたい」という想いが原点にあるため、僕ができる限りの方法を常に考え尽くしています。だから手探りの中で、いろいろやっています。
あと意識しているのは、デカイことを言うこと!そうすると「面白そうだな、一緒にやってみたい、この人を応援したい」と共感してくれる人が集まってきてくれます。僕ひとりの力では限界がありますが、協力してくれる人が増えれば、そのデカイことを、ちゃんと実現に持っていけるようになるんです。それが結果として、美容師の仕事の幅を広げて、人の幸せにつながっていけばいいなと思っています。

  • サロンで販売している「grico clothing」の洋服や靴。イタリア、ニューヨークなどの新鋭デザイナーコレクションから、エザキさん自らセレクトしたもの

  • 「Multiverse」では月に一回セミナーを開催している。写真は「ホットペッパービューティーアカデミー」が一緒にセミナーを開催した時の様子

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