女性が活躍するサロン100

女性スタッフが辞めない
サロンの秘訣

結婚・出産を経ても女性スタッフが長く活躍している、さまざまなサロンの取り組みや職場づくりを、100サロン紹介していきます。

vol.31営業時間内でのトレーニング、キャリアプラン面談など。
創業53年のサロンの「ママサポート制度」とは?

アトリエ cocoanne

栃木県宇都宮市

宇都宮市内にヘアサロンなどを17店舗展開する「ビューティアトリエ」グループで、ヘア、エステ、ネイルと、トータルビューティーを提供する「アトリエ cocoanne」。アンティーク調の空間はくつろぎのムードたっぷりで、お子さま連れのママも数多く訪れる人気サロンです。スタッフ総数124名中91名が女性スタッフの同グループには、18名のママが在籍。彼女たちも含めて、スタッフ全員が長く安心して働けるよう、数々の取り組みを行っています。3児のママでもある取締役の飯塚さんに、「働きやすさ」につながる施策についてお話しを伺いました。

1取り組み

時短ママが正社員のまま働ける
「短時間正社員制度」を導入。

どんな制度?

 所定労働時間をフルタイム社員の6~7割とした、「短時間正社員制度」を導入。産休・育休後に時短勤務を希望した場合も、所定労働時間をクリアすれば、正社員として福利厚生を受けることができる。「夫の扶養の範囲内で働きたい」などの場合は、パートで働くことも可能。休みたい曜日についても柔軟に対応しており、ママは家庭の事情や育児方針などに合わせて、希望の働き方を選ぶことができている。

この制度を導入したきっかけは?そのメリットは?

 女性スタッフの比率が7割を超える「ビューティアトリエ」グループ。彼女たちに、安心して働き続けられる環境を提供したいとの想いから、10年前に短時間正社員制度を導入した。現在、3児のママである取締役の飯塚さんを含め、10名のママスタッフがこの制度を活用中。サロンや本部で活躍するママたちは、若手の女性スタッフが未来を描く際の良き手本となっており、サロンが目指す「子供を産んで育てながらでも働ける会社」を体現する存在となってくれている。

取締役の鈴木さんも、短時間正社員制度を活用しながら活躍しているママのひとり

取締役の鈴木さんも、短時間正社員制度を活用しながら活躍しているママのひとり

2取り組み

復職後に目標を持って働けるよう、産休前面談で、
ママと一緒に「キャリアプラン」を計画。

どんな取り組み?

 初めてママになる場合は特に、今後の働き方がイメージできず、不安に思う女性スタッフは多い。そこで、妊娠の報告を受けた際に、取締役の飯塚さんによる面談を実施。「時短勤務で働きたいか」「役職に就きたいか」など、出産後に希望する働き方や今後目指したいポジションなどを丁寧にヒアリングしながら、復職後の「キャリアプラン」をママスタッフと一緒に考えている。また、産休・育休制度などの説明のほか、働く先輩ママとして、職場復帰したときの心構えなどもアドバイス。ママとなって働くことへの不安払拭に努めている。

メリットは?

 ママが復職後の働き方や、今後どうなりたいかを明確にイメージできることで、復職後も目標を持って意欲的に仕事に取り組むことができる。「アシスタント時代にママとなったスタッフが、時短で働きながらスタイリストデビューできることがわかり笑顔になったことも。どんな働き方ができるか、どうすれば希望を実現できるか、具体的に提示してあげることは大切だと思います」と取締役の飯塚さん。取り組みを始めた3年前から、妊娠・出産がきっかけで退職したスタッフはゼロ。サロンにとっても、離職防止に大きな効果をもたらしている。

「ママとして働くことはとても不安に思ってしまうもの。労働環境の面だけでなく、気持ちの部分もサポートしたいと考えています」と飯塚さん

「ママとして働くことはとても不安に思ってしまうもの。労働環境の面だけでなく、気持ちの部分もサポートしたいと考えています」と飯塚さん

3取り組み

パートで働くママの技術力UPを目指し、
月に2回、時給ありのトレーニングを実施。

どんな取り組み?

 パートで働くスタッフを対象とした、技術トレーニングを実施。月に2回、サロン内で最新の技術や接客方法などが学べる機会を設けている。平日に本社に集まってもらい、教育担当者の指導のもと、10:00~16:00までみっちりレッスン。トレーニング中は時給が発生する。現在、3名のママが参加している。

取り組みを始めたきっかけは?

 ママスタッフを集めてヒアリングしたところ、「技術面で不安を感じている」パート勤務のスタッフが多いことを知った取締役の飯塚さん。技術やトレンドに不安があるママに、新しい技術が学べる場を作り出せていなかったことに気づき、教育課と相談しながらカリキュラムを作成。教育課と相談しながらカリキュラムを作成。今年1月から、半年間を1セットとして実施することとなった。より良い技術を学べない現状は、ママが疎外感を抱いて働きづらいと思う原因に。また、お客さまにベストなものを提供できていないこととなり、サロンにとってもマイナスポイント。トレーニング後、みんなにイキイキとサロンで働いてもらえるよう、随時、改良を加えていきたいと考えているそう。

飯塚さん主導で実現したこの取り組み。技術だけでなく、会社の理念や方針の共有もできる場となっている

飯塚さん主導で実現したこの取り組み。技術だけでなく、会社の理念や方針の共有もできる場となっている

4取り組み

子ども連れで参加OKのイベントや、
オーナーの意思を伝える場を通して、ママへの理解を促進。

どんな取り組み?

 運動会やバーベキュー大会など、子ども連れ大歓迎のレクリエーションを定期的に実施。家族ぐるみの交流を通して、他のスタッフがママの想いを知ったり、大変さを感じたりする場にもなっている。また、自身もママであるオーナー。みんなが長く働ける会社にしたいとの想いを常々スタッフに語り掛け、ママの働き方やママに関する取り組みへの理解が高まるよう努めている。

メリットは?

 この取り組みを通して、他のスタッフたちのママに対する理解度がアップ。急な早退時のフォローなど、全スタッフがママを積極的にサポートしてくれており、ママの働きやすさにつながっている。「入社後3カ月間は社員寮での生活が必須。そのため、もともと同期同士のつながりは深く、新人時代に協力し合う精神も育まれています。また、創業53年の弊社には、家庭を持っているスタッフも多い。これらのことも、ママを積極的にサポートしてくれている理由のひとつになっていると思います」と取締役の飯塚さん。

バーベキュー大会の写真にはイイ笑顔がいっぱい!子ども連れ参加OKのイベントは、サロンの垣根を越えてスタッフ間が交流できる場にもなっている

バーベキュー大会の写真にはイイ笑顔がいっぱい!子ども連れ参加OKのイベントは、サロンの垣根を越えてスタッフ間が交流できる場にもなっている

5取り組み

ママの「もっと働きたい!」の声に応え、
サロン併設の託児所を日曜日に開所。

どんな取り組み?

 宇都宮市内にある「アトリエ manipari」に併設している託児所で、日曜日に働くママスタッフの子どもを預かる取り組みを、昨年12月から試験的に行っている。利用可能時間は9:00~16:00で、料金は会社が一部負担。シフト提出をするのと同時期にあたる、1カ月半ほど前に、子どもを預けたいママが取締役の飯塚さんに連絡すれば利用できる。

取り組みを始めたきっかけは?

 県外出身のスタッフも多く在籍しているため、実家に子育ての協力をお願いできず、保育園が休みの日曜日に働きたくても働けないというママが増えてきた。そのため、日曜日にお願いできる保育士を探し、託児所を開所することに。「働きたいママ」と「休日にママを指名したいお客さま」の希望を、同時に叶えられるこの取り組み。よりよい運用方法などを検討しながら、本格始動させたいと考えている。

12月に2度、日曜日に開所。好評だったため、2月に再開を予定している

12月に2度、日曜日に開所。好評だったため、2月に再開を予定している

取締役インタビュー

取締役 サロンサポート部部長 飯塚悦子さん。
経理や総務、自社が手掛ける商品の販売促進やスタッフの教育など、多方面にわたって活躍中の飯塚さん。3児のママである経験を生かしながら、女性スタッフが活躍できる取り組みについても積極的に発案、推進させている

Q. 女性活用の取り組みに力を入れる理由は?

A. 安心して働き続けられる環境を整え、
「美容業界を変えたい」から。

 オーナーがよく口にするのは「業界を変えたい」という言葉。美容業界は、働く誰もが子どもを大学までちゃんと出してやれる労働環境かというと、残念ながら「はい」と言い切ることは難しい状況。でも、それでは魅力的な職業とは言えず、なりたい人が増えるはずもない。だから、今がんばっているスタッフたちのためにも、これからのためにも、業界を変えたいと思っています。長く安心して働き続けられる業界となるためには、一般企業並みに福利厚生や働く環境を整えることが大切。妊娠・出産がきっかけで離職することのないよう、ママに関する制度を整えることは、オーナーにとって必然なんだと思います。

Q. 取り組みを進めるうえで、難しいと思う点は?

A. 制度では変えられないママスタッフ自身の意識が、
取り組み成功のカギを握っているところ。

 私自身、ママになって働いてみてわかったのですが、急な早退や欠勤時のお客さまのフォローなど、自分ひとりではどうすることもできないことが、たくさん待ち受けているんですよね。子育てしながら働くことは、周りに助けてもらえてこそ叶うこと。だからこそ、ママは手を差し伸べてくれるスタッフたちに、感謝の気持ちを持つことがとても大切だと思います。でも、助けてもらえる状況を当然と受け止めている若手が見受けられて…。制度を整えるだけではスタッフ全員が気持ちよく働き続けられる環境を作り出せず、女性活躍の取り組みは成功したといえない。その点に難しさを感じています。制度でママの意識を改革することは困難。心の中を変革するために、面談や日々の会話など、密な対話の中で、「感謝の気持ちを持つことの大切さ」を常に語りかけるよう努めています。

Salon Data

アトリエ cocoanne【アトリエ ココアネ】

アクセス
宇都宮インターパーク、カトレアガーデン内
創業年
1963年
店舗数
17店舗
設備
12席 ※アトリエ cocoanne
スタッフ数
8名(うちスタイリスト5名、スタイリスト兼ネイリスト1名、ケアリスト2名)※アトリエ cocoanne

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