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結婚・出産を経ても女性スタッフが長く活躍している、さまざまなサロンの取り組みや職場づくりを紹介していきます。

vol.53女性スタッフ24人中ママが5人。
女性の産後復帰率が100%のサロンの取り組みとは?

COUS COUS 上尾店

埼玉県上尾市

創業55年を迎える「ビックサドー」グループの「COUS COUS 上尾店」。現在6店舗でスタッフ総数39人・女性が24人のうち、5人のママスタッフが勤務しています。ご両親から経営を引き継いだオーナーの石井さんは「ママになったスタイリストの付加価値を重視している」と語ります。その経営と取り組みについてお話をうかがいました。

1取り組み

社保完備で安心して育休が取れ、復帰後はママスタイリストの付加価値に期待。

どんな取り組み?

 「ビックサドー」は先代の経営時代から社会保障完備。産休や育休はもちろん、ママスタイリストが育休中でも育児休業給付金をもらえるため、生活の不安がなく休むことができる。
 また、スタイリストはそれぞれ売上の目標を持っており、ママスタイリストは時短勤務なりの目標を設定して、それに向けてがんばってもらっている。しかし、売上よりも、母となって他人に対して包容力や理解力の増した彼女たちの付加価値を重視し、若手のフォロー担当などで活躍してもらっている。

なぜそうした?メリットは?

 ママとして復帰した際は、ほとんどのスタイリストが保育園のお迎えの事情を抱えるため、時短のパートとして復帰している。パートといっても、勤務時間が短いだけで社会保障などは正社員と同様。出産を理由で退職したスタッフはおらず、100%復帰している。「時短のママスタイリストを多数抱えることは、効率的でないと考える人もいます。しかし、ママスタイリストたちは売上以上に、人を育てるなどのパフォーマンスができます」とオーナーの石井さんは語る。
 復帰したメンバーは、母として人間力が上がって戻ってくるという。技術力・接客力が高い即戦力としてだけでなく、会社全体を成長させ、店舗の雰囲気をよくするムードメーカーとして重要な存在と位置づけられているのだ。

「COUS COUS 上尾店」の末廣さん(写真右)も、今年復帰したママスタイリストとして、すでに高いパフォーマンスを上げている

「COUS COUS 上尾店」の末廣さん(写真右)も、今年復帰したママスタイリストとして、すでに高いパフォーマンスを上げている

2取り組み

明確で公平なキャリアパスをつくり、モチベーションを上げる。

どんな取り組み?

 「ビックサドー」では、スタイリストの売上を3カ月ごとに確認し、一定の売上を達成している人はトップスタイリスト、ディレクターと昇格するシステムを明確にしている。それにともない、基本給にプラスされる給与も上がっていく。ただし、売上が落ちれば降格もある。「がんばった分だけ評価される」と現場のスタイリストたちからも好評だ。

背景とメリットは?

 上尾は人口に対してサロン数が多い激戦区だ。石井さんはその中で「選ばれるスタイリスト、選ばれるサロン。プロ集団No.1」を目指している。「会社が成長するためには当然のことですが、そのためにはスタッフ一人ひとりが『成長したい』と思う意識が大事です」(石井さん)。
 女性スタッフが働きやすい会社づくりをするためには風土だけでなく、社会保障を完備したり、福利厚生を高めるための資金が当然必要となる。そのためにはスタッフが成長し、売上をアップさせなければならない。「価格競争ではなく、お客さまに満足いただくスタッフのクオリティで競わなければ、スタッフを大事にする会社づくりはできません」(石井さん)。
 明確で公平なキャリアの道筋をつけることで、スタッフも会社も一緒にがんばることができるのだ。

「ビックサドー」グループで活躍する女性スタッフのみなさん。女性スタッフが長く、安心して働けるために会社が制度を用意するだけでなく、スタッフたちも成長する努力を続けている

「ビックサドー」グループで活躍する女性スタッフのみなさん。女性スタッフが長く、安心して働けるために会社が制度を用意するだけでなく、スタッフたちも成長する努力を続けている

3取り組み

「選ばれる集団」となるために、講習や報酬でバックアップ。

どんな取り組み?

 「取り組み2」と同様、会社の成長のために個人の成長が欠かせないと考えている石井さんは、スタッフの教育にも力を入れている。スタッフの技術を高めるために、毎月全店集まっての合同研修会を行ったり、外部から有名講師を招いての講習会など、スキルアップのためのさまざまな施策を行っている。また、売上、お客さま満足度ともに高いベストパフォーマーにはハワイやパリへの研修旅行などの報酬も用意し、スタッフのがんばる気持ちに応えている。

きっかけとメリットは?

 「選ばれるスタイリスト」を目指すため、石井さんはスタッフたちに「何かひとつでも『これは人に負けない』という強みを持て」と常に言っている。技術だけでなく接客でも何でもいいので、自分の武器を知り、その強みによってお客さまを獲得できた成功体験が大事だからだ。「スタイリストデビューする際、幹部会議で『こういうスタイリストを目指す』と宣言させ、実行させています。成功体験を積んだスタッフは目に見えて変わっていきます」(石井さん)。そのためのバックアップは惜しまないのだ。その結果、高いスキルを持ったスタッフ一人ひとりが自信を持ち、イキイキと笑顔で働いている。そして、育休復帰後も指名のお客さまが戻ってくる比率の高さにつながっている。

会社が用意する研修や講習も、ただ受けるだけでなく、「売上を上げるスタッフになるため」と意識づけているそうだ

会社が用意する研修や講習も、ただ受けるだけでなく、「売上を上げるスタッフになるため」と意識づけているそうだ

オーナーインタビュー

オーナーの石井智英子さんは、アメリカでマーケティングや経営企画の仕事をした後、両親の会社を引き継いで2014年に代表取締役に就任

Q. キャリアパスの設定は、明確で公平な一方で、厳しい制度とスタッフに捉えられませんでしたか?

A. 売上があってスタッフへ還元できるのですから、厳しくて当たり前ですが、スタッフからは好評です。

 私は経営に関しては厳しいです。実力主義といってもノルマを負わせるということではありません。スタッフ自身が成長して幸せな人生を歩んでもらうための制度です。数字を見ればスタッフの努力がわかります。「自分はがんばっているのに売上が上がらない」というスタッフは、がんばり方が間違っているのかもしれない。そういうスタッフには面談をして、がんばり方を変えるアドバイスをすることもあります。
 数字をコンスタントに上げるためには指名を増やすことが必要です。そのための技術力や接客力を上げる努力の過程でスタッフは成長していきます。目標はがんばるパワーの源なのです。

Q. 生産性を上げることと、ママスタッフを大事にすることの両立は経営者として難しくありませんか?

A. 人を「活かす」ことを考えれば難しくはないはずです。

 生産性は「フルタイムで働く場合の売上目標の達成」だけではないですよね。全員が「お客さま満足度の高いスタッフへと成長すること」も効率アップのひとつです。ママスタッフがそうした後輩を育ててくれたり、若手が「自分もママになってもこのサロンで働き続けたい。だからがんばろう!」と思うきっかけになってくれればいいのです。
 美容師を目指す若い人が減っている時代に、求人への費用とパワーを考えたら、ママスタイリストたちが活躍し続けてくれることは、とても効率のいいことだと思います。
 そのために、ママスタイリストたちが「楽しく働き、輝ける場」を与えるのが、経営者の役目だと思っています。

Salon Data

COUS COUS 上尾店【クスクス アゲオテン】

アクセス
JR上尾駅から徒歩1分
創業年
1961年
店舗数
6店舗
設備
13席
スタッフ数
6名(COUS COUS 上尾店)
URL
http://beauty.hotpepper.jp/slnH000287045/
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