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イノベーターが
見ている未来

vol.17

確固たる世界観を持ち、新しい取り組みをしている「次世代リーダー」へのインタビュー。
その取り組みと背景、そして未来についての展望をうかがいます。

株式会社アトリエはるか
取締役副社長

西原良子さん (age.40)

合コンからヒントを得て始まった「ヘアメイク専門店」。
「あったらいいな」をカタチにして、60店舗へ急成長。

都市部の駅ビルや駅チカ商業施設で、見かけることも珍しくないヘアメイク専門サロン「アトリエはるか」が誕生したのは約15年前のこと。いまや全国60店舗に迫る勢いで店舗数を拡大する同サロンの始まりは、会社員として働いていた西原さんの「こんなサービスがあったら便利だな」というアイデアでした。美容業の素人だった西原さんがどのようにして、それまで一般的ではなかったヘアメイク専門サロンを立ち上げ、女性の心をつかむサービスを展開してきたのか?その道のりをたどりながら、新たな美容サービスの可能性を探ります。

1975年、愛知県名古屋市生まれ。大学卒業後、地元のTV局に就職。約2年勤めた後に退職し、2000年に「有限会社アトリエはるか」を設立(2003年に株式会社化)。2001年2月に1号店をオープンして以降、順調に店舗数を拡大。出産・子育てを機に2012年より経営を統括する代表取締役には夫の岩井大輔さんが就任し、自身は副社長の座へ。現在は北海道から九州の福岡・鹿児島まで、全国に60店舗を展開し(2016年11月時点)、メイクアップやヘアセットのほかにネイル、まつげ、ヘアカット、着物レンタル・着付け、ドレスレンタルなど幅広いサービスを提供。フォトスタジオ運営や、ブライダル、企業へのマナー研修などのアーティスト派遣事業も手掛けている。
http://www.haruka.co.jp/

第1章事務職の会社員から、起業家への転身

「事業計画も市場調査もしないまま出店の相談へ。
悩むよりまず始めて、必要な物事に対処していきました。」

西原さんには当アカデミーの記事(女性活躍 スペシャルインタビュー)でも取材にご協力いただきました。その際の話ですと、OL時代の合コンが起業のきっかけだったとか?

そうなんです(笑)。地元・名古屋のTV局に勤めていたときは、週5で合コンに行っていたんですね。そのたびにメイクや髪形を自分でセットするのが面倒で、「プロがササッとやってくれるサービスがあればいいのにな」と思ったのが、「アトリエはるか」を立ち上げるきっかけになりました。

TVとは畑違いの仕事ですが、もともと起業志向をお持ちだったのでしょうか。

TV局勤めといっても私は制作担当でもなく事務職で、「これが私のやった仕事だ」とわかりにくいものでした。当時は結婚してお嫁さんになったら仕事を辞めるつもりだったんですが、その前にもっと「自分の成果がカタチに残る仕事をしたい」と思うようになっていて。それで就職して2年ほど経ったときに退職したんです。

仕事を辞めてからすぐに、1号店を出店されたんですか?

退職から出店までは半年ほど空いていたかと思います。なにせ辞めた時点ではハッキリと事業イメージを固めておらず、「焼肉店もいいな」なんて考えていたくらいですから!それで結局は、やはりメイクやヘアセットのサービスにしようと決めて「お店を出すならあそこだ!」と名古屋の栄駅の地下街に出店場所の狙いを定めました。

そこがいいと思ったのは、いつも合コン前に立ち寄っていたから。その地下街のショッピングエリアはトイレがきれいなので、身だしなみを整える場所としてよく利用していたんです。そして合コン前に立ち寄ってもらえるお店を考えているわけですから、せっかくきれいにしたヘアやメイクが雨風でくずれない、待ち合わせに使うような大きな駅から近い立地であることがマストだと思ったんです。

実体験に基づいているので、目の付けどころがさすがですね。しかしいきなり「出店したい」といっても、簡単ではないですよね。出店の準備や資金などはどうされたのでしょう?

いえ、まさにいきなり「出店したいんです」と相談しに行った感じです。事業計画書も作ってないですし、それまでプレゼンなんてものもしたことがなかったけれど、名前と携帯電話の番号を書いたピンクの名刺だけを用意して。地下街の担当部署の方に「こういうお店をやりたいんです」と話をしに行きました。

そうしたら先方の担当者が興味を持ってくださって、「じゃあやってみましょう」という話に。それから「店名は?メニューは?値段はどうするの?」と、いざお店を開くにはいろいろ決めなきゃいけないことが出てきますよね。それで必要に迫られて考えていった、という感じです。でも結局、何が必要かとかって問題に直面しないとわからないと思うんです。だから「あれこれ迷うより、やってみよう」という感じで進んでいきました。

開業資金はそれまでの貯金のほか、親の支援もありました。でも居抜きの場所を使わせてもらうことになったので天井も壁もあった、あとは鏡とイスさえあればなんとかなります。だから出店の初期費用はそれほど大きくありませんでした。

西原さん自身は美容師やメイクの仕事をされていたわけではないので、出店にあたってはスタッフを雇用されたんですよね。

そうですね、求人誌に広告を出してオープン時点で4人を採用しました。前職は美容師や化粧品販売の美容部員として働いていた女性たちです。そうした仕事をしている方のなかには、「ヘアメイクの仕事がしたい」と思っている方が少なくありません。とはいえヘアメイク単体の仕事なんてなかなかないですから、「化粧品を売りたいわけじゃないけど、メイクを仕事にする手段として美容部員の仕事をしている」という方もいるんですよね。そういう働き手のニーズがあったため、オープン以降もしばらくはスタッフ確保に困ることはありませんでした。

そして2001年2月に1号店を出店。順調なスタートでしたか?

1号店はセット面4面を用意して、メイクやヘア、眉カット、ネイルのサービスを用意しました。初日は友だちが来てくれて賑わったものの、翌日からはパッタリと客足が途絶えて。「これはまずいぞ」と思ったのですが、お店がある地下街は名古屋の繁華街・栄というエリアにあってTV局もすぐ近く。それでお店を見つけたTV局がすぐに取材に来てくれたことをきっかけに、お客さまが増えていきました。もう一つ、栄周辺にはクラブのような飲み屋さんが多いんですね。そこのお姉さんたちが毎日、出勤前に利用してくれたのも助かりました。

  • 名古屋市・栄の「セントラルパーク地下街」にオープンした1号店(当時の写真)。同地下街では、トータルビューティサロンを現在も営業中

  • 今回撮影におじゃましたのはヘアやメイクのほかに着物レンタル・着付けのメニューも用意した「渋谷マークシティ ウエストモール店」。この店舗のすぐ近くにある「渋谷マークシティ イーストモール店」ではヘアカットのメニューを初導入

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