女性が活躍するサロン
女性スタッフが辞めない
サロンの秘訣
結婚・出産を経ても女性スタッフが長く活躍している、さまざまなサロンの取り組みや職場づくりを紹介していきます。
vol.22取り組み始めて21年。妊娠きっかけの離職がゼロ!
創意工夫にあふれたサロンの取り組みとは?
BIGOUDI salon/ヘアサロン
大阪府大阪市
大阪・兵庫に6店舗を展開、創業35年の中で生まれた独自の「似合わせ」技術とヘアケアメニューが人気を集める「BIGOUDI salon」。スタッフ55名中、グループ全体では5名、同サロンでは1名のママスタッフが、子育てと仕事を楽しく両立させています。女性支援の取り組みがスタートしたのは、実に21年前。その取り組みには、長年培ってきたママが働きやすい環境を叶える工夫がいっぱい!オーナーの古味さんに、詳しくお話を伺いました。
1取り組み
時短だけでなく勤務地や雇用形態の変更もOK。
柔軟な勤務体系は、既婚女性も利用可能!
どんな取り組み?
育児方針や旦那さんの要望など、家庭の事情によってママスタッフが希望する働き方はさまざま。サロンで用意しているママ用の時短勤務体制(週5日、1日7時間)をベースに、産休に入る前に「復職後はどんな働き方をしたいか」についてとことん話し合っている。
また、産休・育休期間中は月1度のペースでママスタッフと連絡を取り合い、出産後の体調や保育園探しの状況などをヒアリング。相談しながら復職時期を決定している。その他、復職の際に勤務先を家から近い店舗へ変更したり、雇用形態を正社員とパートから選べたりなど、一人ひとりのニーズに合わせて柔軟に対応。なお、この取り組みは、ママ同様、既婚女性も活用できる。
メリットは?
21年前から実施しているが、それ以降、ママスタッフの満足度は高く、妊娠をきっかけに辞めた女性スタッフはゼロ。産休・育休後に復職してもらえることで、優秀な人材の流出を防げている。
また、パートを選んだ際の時給は、結婚や出産前の給与がベース。今の仕事ぶりが将来につながるため、女性スタッフの仕事への意識向上にもひと役買っている。
さらに、先輩女性スタッフが出産を経て現場復帰することは、若手女性スタッフにとって良きお手本となり、「ここなら長く働ける」というイメージを持ってもらえるようになった。
2取り組み
ママ自身が後任スタッフを選出。
DM活用などで、産休・育休中の失客対策も万全に。
どんな取り組み?
産休に入る際は、店長と相談しつつママスタッフ自身が後任スタッフを選出。カルテを活用しながら、お客さまの好みや性格にあわせて引継ぎを行っている。お客さまへのご案内は、引継ぎ担当者と一緒に本人がご説明するほか、サロンからも全顧客に産休や復職時期をDMにてお知らせ。休職中の失客防止に努めている。
メリットは?
産休に入るママスタッフの一番の心配は「自分のお客さまを失客してしまわないか」ということ。この取り組みによって、お客様のサロンに対する満足度が向上するとともに、産休・育休中も失客せず安心してサロンに通ってくださるようになった。また、ママスタッフにとっては復職時に指名客がいないことへの不安解消につながるとともに、サロンの売上ダウンのリスクも抑えられている。
3取り組み
入社式やコンテスト、社員旅行etc.
すべての社内行事に子連れでの参加OK。
どんな取り組み?
入社式や納会、運動会や旅行、お茶会、店内コンテストやシャンプー大会など、すべての社内イベントは子ども連れでの参加OK。10年ほど前から始まったこの取り組みは、「長時間労働で休みも少ない美容師が『辛いことがあってもがんばろう』と思えるよう、チームで支え合うことが大切」という考えから。「スタッフ一人ひとりに、家族も含めて『社内でひと家族』という空気を感じてもらえる場をつくりたかったんです」とオーナーの古味さん。
メリットは?
家族単位の交流を通して、周囲のスタッフたちがママスタッフの想いや不安を理解できるように。オーナーが入社した当初は、早く帰るママに対する不満を耳にすることもあったが、今は全スタッフが積極的にママをサポートしてくれている。また、サロン自体の雰囲気もより明るく和やかになり、居心地のよい空間をお客さまへ提供できている。
全員が楽しみにしているイベントは、回を重ねるごとに「後半に懇親会を設けた二部制にして、進行にメリハリをつける」などバージョンアップを続けている。イベントに対する創意工夫を通して、スタッフ同士の仲が深まるのはもちろん、その場がスタッフの成長にもつながっている。
オーナーインタビュー
- Q. 女性活躍支援を進めて良かった点は?
-
A. 顧客満足度が高まり、サロンの強みがアップ。
まずは、スタッフが辞めずにベテランへと成長していってくれていること。スタッフとは一生付き合いたいと考えていますので、このことが何よりうれしいです。
もうひとつは、顧客満足度の向上ですね。うちのサロンは、6店舗中、2店舗が25歳の女性のお客さま、4店舗は43歳の女性のお客さまをメインターゲットに設定。この層のお客さまのリピート率100%を目指しています。そのためには、最高品質の技術を提供するという使命感を持つことがまずは大切。その上で、ターゲット層のお客さまの悩みに共感できる同世代の女性スタッフが多いことは説得力が増し、顧客満足にもつながっていると考えています。
- Q. ママスタッフに期待することは?
-
A. ママとしてだけでなく、
ひとりの「美容師」として輝き続けてほしい。ママスタッフに求めたいことは、「ママであることに甘えず、努力し続けてほしい」ということ。売上が伸びていく段階で出産を迎えた女性スタッフは、復職後、短時間勤務になるため集客面・売上UPで苦労することも多い。そんな中、ママであることを強みにした接客だけでは、高い技術や感性を求めるお客さまから共感を得ることは難しい。また、売上を上げられないと仕事自体の面白さを感じられなくなっていくと思うんです。
ママスタッフたちには、産休に入る前に「子育てしながら働くことは、他の人の何倍も努力が必要」と伝えるようにしています。また、復職後のママスタッフを集め、「デザイナーとしてお客さまの前に立ってほしい」との想いも伝えています。彼女たち自身、私の考えに共感し、「時短勤務の中で技術を磨き続け、集客を成功させていくためにはどうすべきか」を相談し合い、仕事に向き合ってくれているようです。
- Q. これから取り組もうとしているオーナーの皆さまへメッセージを。
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A. スタッフと一生付き合いたいなら、覚悟が必要!
私は採用面接には必ず立ち会い、「この子が終電を逃して帰れなくなったときに、その子を家まで送り届けたいと思うか」など、具体的なシチュエーションをイメージしながら話をします。そのため、昨年は希望者のうち2割程度しか採用できなかったのですが、でもその分、入社したスタッフには、「一生付き合いたい」という思い入れを強く持っています。
皆さんもスタッフに対して強い思い入れをお持ちだと思います。女性スタッフの美容人生には、結婚・出産も含まれている。一生付き合いたいなら、一生を引き受ける覚悟が必要です。想いを貫くためにも、出産などの環境の変化に適応できるような取り組みを、ぜひ進めてほしいと思います。
Salon Data
BIGOUDI salon【ビグディーサロン】
- アクセス
- JR東西線 北新地駅 11-21出口すぐ
- 創業年
- 1981年
- 店舗数
- 6店舗 ※BIGOUDI salon
- 設備
- 21席
- スタッフ数
- 14名(うちスタイリスト9名、アシスタント3名、レセプショニスト2名)※BIGOUDI salon