イノベーターが
見ている未来
vol.102
その取り組みと背景、そして未来についての展望をうかがいます。
はあとねいる
代表取締役社長 小原 麻央さん
施術金額も、時間も、業界相場の約半分! 2015年に創業し、怒涛の勢いで出店を進める「はあとねいる」。 2022年、代表の小原さんはYouTube「令和の虎CHANNEL」に出演。事業計画についてプレゼンし、普段は手厳しい投資家である審査員(虎)から、絶賛の声を集めたことも話題に。スピード展開を可能にする、その仕組みに迫る。
https://heartnail.jp/
第1章接骨院からネイルサロンに転換
「ネイリストではないからこその経営視点で
原価率5%以下、利益率20~30%」
小原さんは、最初は接骨院からスタートされたとか?
そうなんです。短大時代に、たまたま家の近くの接骨院でアルバイトをしたときのこと。患者さんから「ありがとう」と感謝されて、お金をいただける。「こんないい仕事はないな」と柔道整復師の国家資格を取得して。合格と同時に、2011年に接骨院を開業しました。
どこかで修業するとかではなく、いきなり開業されたのですね!
接骨院でバイトしていたときに「もっとこうしたら、患者さんは喜んでくれるんじゃないか?」という自分の想いがあったので、それを実現しようと気づいたら起業していました。22~23歳のときです。
新規オープンのパチンコ店やスーパーの「祝!開店」みたいに、行列ができると思っていたんですが、まったくそんなことはなかった(笑)。
それまで、スポーツや勉強、何をしてもうまくいっていた人生で、努力さえすれば何でも手に入ると勘違いしていたんですね。それからは、寝る間も惜しんでありとあらゆるマーケティングの本を読み、成功している経営者の方に会いにいきました。自分の店は全然ダメだったと気づき、そこを変化させて、だんだんと軌道に乗っていった感じです。
多店舗展開を意識されたのは、その頃からですか?
そうですね。経営の勉強をしていくなかで、世の中に影響力を与えられるのは、多店舗展開をすること。けれど、接骨院のビジネスモデルでは難しいと思ったんです。柔道整復師として「痛みがなくなった」「腰が曲がるようになった」と喜んでもらえましたが、やり方にきちんとした“正解”がないというか…。トーク力を含め、私が感覚でやっていることを、ほかの人がコピペしていくのは難しいなと。
そんなとき、ネイル事業に出会ったんです。ネイルサロンであれば、属人的なものに頼らず、広げられるイメージが浮かびました。それで、「はあとねいる」の1店舗目をオープンしたのが、2015年3月のことです。
現在の店舗数は、どのくらいですか?
直営・FC(フランチャイズ)合わせて170店舗、オープン準備中を含めると250店舗です。月に約10店舗ペースでオープンしていますが、どこもほぼ満席になるほど集客面も好調です。
創業から約9年で、250店舗というのは驚きです。
「はあとねいる」の特長を教えてください。
ハンドジェルネイルが一律、税込3,850円・施術時間60分。デザインは300種類以上から選べます。自分がお客さまとしてネイルサロンに通っていたとき、忙しくてもサロンに最低1カ月に1度のペースで通わなくてはならず、1回あたり2~3時間かかる。お金も1~2万円くらい。「もっと安くて、はやく終わるネイルサロンはないか?」と調べましたが、当時はそんなになくて…。だったら、自分でつくろうと。
それで、接骨院からネイルサロンに転換されたのですね。
ネイリストではないからこそ、経営視点で俯瞰的に見ることができました。ネイルの施術って、工程が多いですよね。ケアも甘皮処理も時間がかかる。ただ、複雑なデザインや細かいキューティクルのケアにこだわっているのってネイリストのほうで、お客さまはそこまで求めているかな?と。
デザインはある程度統一し、ケアは最低限にして、材料費や内装もカットできるところはカットして、試行錯誤しながら簡素化していきました。内装は、コストカットの観点だけではなく、キラキラしすぎない店舗づくりをすることで、お客さまの来店ハードルを下げる狙いも。
施術金額が相場の半額でも、一般的に2時間かかるところを1時間でやれば、トントン。原価率5%以下、利益率20~30%のビジネスモデルを構築しました。
60分・3,850円で、ネイル業界に革命を。
250店舗も間近!目指すは“ネイル3.0”。