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イノベーターが
見ている未来

vol.113

確固たる世界観を持ち、新しい取り組みをしている「次世代リーダー」へのインタビュー。
その取り組みと背景、そして未来についての展望をうかがいます。

GOALD JAPAN

CEO 中村トメ吉さん (age.40)

「うまくいかない理由がひとつも見当たらない」
業界のゲームチェンジを狙う未来構想とは?

2019年創業。“あの中村トメ吉氏が率いる”という枕言葉は、もはや不要だろう。たった5年で“企業”として驚くほどの進化を遂げた、メンズサロン「GOALD(ゴールド)」。サロン・メーカー・教育…3つの事業を武器に、GOALDが描く未来とは?

「株式会社GOALD JAPAN」代表取締役社長。1984年、栃木県生まれ。メンズ美容師、メンズ美容室のパイオニア。2013 年に「OCEAN TOKYO」を設立。2019年に前社社長を辞任し、「GOALD」を再び起業。現在は2社を経営し、3つの事業&メンズ美容室を全国34店舗を展開。メンズとしては日本最大級の会員数を誇るGOALD MEN'S ACADEMY運営。メンズヘアブランドCOARを全国の美容室5,000店舗に展開中。

・HP
https://goald.co.jp/

第1章GOALDの現在地

「サロン・メーカー・教育。
3つの事業がシナジーをもたらす。」

前回インタビューさせていただいたのが、2019年の12月なので、もう5年前です。

GOALDのオープンが2019年9月なので、ハッキリとした形は完成していないものの、ロマンは大きいというタイミングでのインタビューだったかもしれません。5年が経ち、いまは創業期を終え、成長期に入るタイミング。「サロン事業」「メーカー事業」「教育事業」の3つを並行してやっています。

「サロン事業で信頼をつくり、メーカー事業で信頼を広げ、教育事業で信頼を繋げる。」これらが生み出すシナジーこそが、GOALDとしての成長、そして仲間たちの未来に無限の可能性を広げる原動力になっています。

3つもの事業を、されているんですね。GOALDの全体像を教えてください。

GOALDは、「あなた以上にあなたを想う」という理念のもとスタート。美容師という職業の可能性を最大限に引き出し、「成長性、独自性、拡張性、安定性、収益性」を兼ね備えたビジネスモデルを完成させることに挑みました。

その鍵となるのが、ストックビジネス(売上が顧客ごとに継続的に積み上がっていくモデル)とフロービジネス(商品やサービスを販売して売上や収益が上がるのが一度限りであるモデル)の両輪を持ち、そのポートフォリオ内で絶妙なバランスを保つ経営スタイルです。

創業から5年で、大きな広がりをみせています。現在の店舗数は?

3つの事業形態で、全国にメンズサロンを34店舗展開しています。直営サロンは7 店舗、既存の業界のFCの仕組みを変革したCC(Co-creation=共創)サロン・PC(Partner Concept)サロンが7店舗、「株式会社 AB&Company(Agu.)」と事業提携しているFirstというブランドを20店舗。

それぞれの違いは、なんですか?

直営サロンは「美容師の未来を創る」という企業理念で、業界と社会に挑戦できる人材を育成し、プロデュースしています。ガチガチにレールを敷くのではなく、それぞれの強みを活かしながら活躍できる環境を整えることを大切にしています。

次にCCサロンとPCサロン。従来あった業界のFC(フランチャイズ)モデルとは全く異なる仕組みです。GOALDからの出資はゼロ、つまりすべて自己資本でスタートしていただくのが特徴。GOALDは経営、財務・マーケティング・教育・リクルートなど10個のサポートを行う。ブランド共有じゃなく、リソース共有ですね。それぞれのオーナーが得意分野を最大限に発揮できるよう、土台を共に創り上げるのが私たちの「共創(きょうそう)」という考え方です。簡単に形になるものより、自分の手で泥臭く築き上げたものこそ、長期的な価値と可能性を生み出す。オーナーのストーリーとアイデンティティが「ブランド」の核となるので、サロン名はオーナーの意向で決めてもらいます。

FirstはAgu.と事業提携して形になったブランドです。GOALDが得意とするメンズ技術と教育、メンズ美容室経営におけるノウハウ。Agu.が得意とする強靭な展開力と運営管理、美容師のライフスタイルサポートをかけ合わせた、新しいビジネスモデル。

中長期の目標は直営12店舗、CC・PCサロン50店舗、業務提携サロンFirstで 150 店舗を目指しています。

3つの事業形態をとる理由は、どのあたりにありますか?

欲張りかもしれませんが、誰一人として置いていきたくないんです。お客さまが「もっとかっこよくなりたい」と思ったその瞬間を、全国どこでも平等に叶えられる場をつくりたい。そして美容師にも、均等な自己実現機会を全国につくりたいからです。

熱い想いが、伝わってきますね!
次に「メーカー事業」について教えてください。

「どんな自分に、なろうか。」をコンセプトに、スタイリングやヘアケアを中心としたメンズプロダクトを「COAR(コア)」というブランド名で展開しています。2024年には日本最大手の美容ディーラーさんで最も売れたプロダクトに選ばれるほど、多くの支持をいただきました。

今年は、商品ラインナップや取り扱いディーラーも拡大。目標は、2026年までに売上・市場シェアともにメンズ日本一のプロフェッショナルメーカーになること。そして、その先にはアジア市場や to C市場、さらには医療市場への進出を計画しています。

プロダクトのブランド名を、「GOALD」ではなく、「COAR」にしたのは?

私はこの業界が大好きで、美容師さんを心からリスペクトしています。例えば、芸能人やフォロワー数50万人のインフルエンサーが紹介するよりも、500人のお客さまから深く信頼されている美容師さんが紹介する方が、プロダクトの価値は圧倒的に高まる。そのため、どのサロンでも受け入れられるよう、ブランド名にサロン名を入れなかったんです。

GOALDのメーカーとしての強みは、常に“美容師視点”であること。メンズヘアのデザインやトレンドを発信しつつ、プロダクトに関連する教育コンテンツも自社で制作。例えば、「このスタイルを再現できる」という明確な提案を伴う商品展開や、ヘアカタログ配布、さらにはお客さまへのアドバイス動画の制作まで、一貫して高い水準を保っています。

  • 2022年7月に発売した「COARシリーズ」は、導入サロン5,000軒超、累計出荷数20万本を突破

「教育事業」は、具体的にどのようなものですか?

会員約500名と、メンズ美容室のオンラインサロンとしては日本最大級の規模である「GOALD MEN’S ACADEMY(ゴールド メンズ アカデミー)」では、メンズ美容師に必要な技術、マーケティングやマネジメントに関する知識などを動画で配信。オフラインでの練習会やアカデミー、オフ会なども全国で実施しています。

今年3 月には、渋谷に念願の「自社スタジオ」を立ち上げます。これによってOMO(オンラインとオフラインを明確に分離せず、包括的な視点から考えるマーケティング戦略)モデルが形になります。スタイル撮影やコンテンツ動画撮影、LIVE配信はもちろん、さまざまなジャンルの講習やセミナー、アシスタントの技術練習など、スピード感を持って行うことができる。

また今期は、企業の教育者を支援する仕組みづくりである「BtoB企業向け教育プラットフォーム」の構築に取り組んでいます。同時に、お客さまを含めたみんなで価値を共有し繋がることができる「コミュニティ型オープンプラットフォーム」も進めています。ひとつのプラットフォームに統合することで、業界全体での共創を促進し、新たなビジネスやキャリアの選択肢、雇用の創出、さらには業界のキャッシュフローや構造そのものの変革に繋がる未来を目指しています。

サロン・メーカー・教育の3つが、いい循環を生んでいるんですね。

まさに!教育事業を通じて業界全体のコミュニティが形成され、それがサロン展開やプロダクト流通にも繋がり、いくらでも派生していく。そして何より、私自身やGOALDのスタッフが、全国のみなさんからたくさん学ばせてもらっています。

「このエリアにはこんな概念や文化がある」といった地域特有の情報を、全国のオーナーさんや美容師さんから教えていただけるので、エリアごとに適した戦略を考え、実行することができる。これは、各地で活動されているみなさんとの信頼関係があってこそ、成り立つものだと思っています。

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