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先輩女性インタビュー

サロンで働く先輩女性たち

長く活躍しているさまざまな女性スタッフに、どんなキャリアを歩んできたのかインタビューしていきます。
自分なりの「なりたい私」を見つけてください!

vol.74

ママ1号だけど、不安はなかった。
長女をおんぶしながら活躍する店長とは?

代々木公園の商店街にある「美容室 スプラッシュ」は、子連れのお客さまが多く来店する笑顔の絶えないサロン。明るいスタッフたちを束ねるtomoneさんは、ここで初めて出産後に仕事復帰を果たしたママ店長です。出産後は、理想だった子連れでのサロンワークも実現。自分にはなかったロールモデルを、後から続く女性のために作りたいという意思の表れでもあります。いろいろな壁にぶつかりながらも、常に前向きなtomoneさんの歩みを取材しました。

Staff Data

tomoneさん 31歳

スタイリスト。
美容室 スプラッシュ店長(東京都渋谷区)。
スタイリスト歴9年。既婚。1歳2カ月の女の子のママ。現在、9:30〜17:00の時短勤務。
定休日と日曜日が休み。

tomoneさんのLife History

★…ターニングポイント

  • 19

    美容学校時代の通学路にあった「美容室 スプラッシュ」の和やかな雰囲気に惹かれ「ここで働きたい」と思うように。学校に求人が来ていなかったため、自分で直接応募して採用される。

  • 20

    想像以上の仕事の厳しさに、働き始めてわずか1週間で出勤拒否し、母親に叱られて午後からようやく店へ。

  • 21

    連日のシャンプーで腰を痛めてヘルニアを発症し、約半年間思うように仕事ができなかった。

  • 22

    オーナーに「半年遅れたね」と言われて奮起。カットの猛練習に励み、3年目に入る少し前にスタイリストデビュー。

  • 24

    オーナーと共に、定休日を利用したカット無料講習会と、キッズカットのボランティアをスタート。スタイリストとしての技術向上に繋がった。

  • 26

    前任の店長が妊活で退職したため、新しい店長に抜擢される。

  • 28

    夫と結婚し、「早く子どもを産みたい」とう宣言通り、ほどなく妊娠。生後8カ月まで大きなお腹で勤務した後、産休に入る。

  • 29

    ★長女を出産。周囲の反対を押し切って生後3カ月のときに子連れで職場復帰し、長女をおんぶしてサロンに立った。スタッフのサポートに感謝しながら、限られた時間でどう店長としての役割を果たすかを、今まで以上に考えるようになった。

  • 30歳~

    4月から子どもを保育園に預けて、週に4〜5日、9:30〜17:00の時短で勤務中。

  • アシスタントのとき、オーナーの小林氏とマンツーマンのカット練習を始めた

  • 社員旅行で、スタッフの仲間と伊勢神宮へ

  • 産休前の最後の出勤日。人一倍お腹が大きかった

  • まだ幼い長女を背負って仕事をしていた

  • 時々とんでもないイタズラもされるけど、育児は楽しい!

tomoneさんへのインタビュー

「新人だった頃の自分に比べると、信じられないほど強くなったと感じますね」(笑)

Q. スタイリストデビューするまでに苦労したことはありますか?

A. 入社1週間で危うく辞めそうに。負けん気に火が付いて強くなりました。

 実は、働き始めてたった1週間で週末のハードさにびっくりして「出勤したくない」と泣いて半日休んだんです。結局は母に叱られ、腫れた目を伊達メガネで隠して午後から仕事をしました。自分にとっては想像を超えた仕事のきつさでしたが、社会を甘く見ていたんでしょうね。そのときは先輩に相談し、励まされながら乗り越えましたが、この出来事は今もサロンの伝説になっています(笑)。
 その後もヘルニアになり、思うように仕事ができない時期があって弱気になりました。でも、ある日オーナーの小林に「これで半年遅れたね」と言われ、負けず嫌いに火が付いてしまったんです。それからは休日返上で練習して、あっという間にスタイリストに昇格。あの一言がなければもっと遅かったでしょうし、オーナーも休みなしで練習に付き合ってくれて、とても感謝しています。

定休日を利用したキッズカットボランティアの一コマ。長女が生まれた今も続けている

Q. スタイリストとしてやっていけると自信が持てたのはいつですか?

A. キッズカットのボランティアが、成長のきっかけになりました。

 念願のスタイリストになれたものの、しばらくはお客さまのリピートが少なく伸び悩み、練習をやり直したりしました。そんなときオーナーの提案で、定休日を使ってカットの無料講習と、キッズカットのボランティアを始めたんです。子どもは飽きやすいので、カットは時間勝負。また「こんな風に切りたい」というママの要望をくむコミュニケーション力も要求されます。この活動は自分にとって本当に学びになりました。それまではお客さまのプライベートに踏み込めないタイプでしたが、接客力に自信がつくと、家族やお友達ぐるみでお付き合いできる方が増えて、指名が倍々になっていきました。25歳のころは月に200万円近い売上も達成しました。
 26歳で店長になったときは、今までとは違う責任をプレッシャーに感じたものの、気持ちが充実していて仕事を楽しめました。

オーナーの小林さんに遊んでもらうことも。

Q. 店長を務めながら出産し、職場復帰。大変ではありませんでしたか?

A. スタッフの協力を得て、子連れ出勤を実現できたのがうれしかったです。

 出産・復帰の前例はなかったのですが、常々「30歳までに子どもを産みたい」と伝え、オーナーからも「大丈夫だよ」と言われていたので、不安はありませんでした。ただ、娘が生まれる前から産後は早く仕事に戻りたいと考えていました。ですから「保育園に入る前から子連れで出勤したい」と申し出ましたが、最初はさすがに「早すぎる」と反対されましたね。実は、私の祖母が75歳まで現役の美容師で、子守りをしながら仕事をしていたと聞いたので、私もそうしたいと前々から思っていました。また、これから出産する後輩のロールモデルになりたい気持ちもありました。
 話し合いの末、時間は短いですが3カ月から娘をおぶったり、ベビーカーに寝かせてサロンに立ちました。スタッフが代わる代わる相手をしてくれて、ときにはお客さまが寝かしつけてくださったことも。その場の全員で子育てをする感じで、感謝の気持ちでいっぱいでした。体力的には大変でしたが楽しかったです。

「女性スタッフが安心して働けるサロン作りに、自分の体験が活かせると思います」とtomoneさん

Q. 出産して、自分の仕事の仕方が変わったと感じることはありますか?

A. 限られた時間で、店長としてどう貢献するかをよく考えるようになりました。

 今は時短勤務なので、店長でありながらサロンに貢献できる時間が多くありません。ですから、限られた時間の中で何をするかをしっかり決めて働くようになりました。店長としては、短い中で可能な限りスタッフの様子を見て、気持ちをくみ取り、コミュニケーションを円滑にすることを心がけています。また、私の産休中は失客を防ぐためにみんながずいぶん頑張ってくれてました。今後は、お客さまへのお知らせや、引き継ぎの仕組みを整備したり、キッズスペースを整えるなど、続くスタッフが安心して出産できる環境を作りたいと思っています。

若手女性スタッフへ、メッセージをお願いします!

「結婚・出産しても美容師を続けられるかな」と不安に思う人は多いですよね。でもどんな環境であれ、自分ひとりでは実現できません。必ず周りのサポートが必要なので、悩んでばかりいないで自分のビジョンを宣言してしまうことが大事だと思います。前例がないと勇気がいることかもしれませんが、オーナーや会社の方と一緒に自分で環境を作っていってほしい。みんな、もっと欲張りになってかまわないんです。人生に欲しいものは全部取ってもいいんじゃないかなと思います。

Salon Data

美容室 スプラッシュ

アクセス
東京メトロ千代田線代々木公園駅から徒歩3分
創業年
2001年
店舗数
1店舗
設備
セット面5席
スタッフ数
7名(スタイリスト4名、アシスタント3名)
URL
http://beauty.hotpepper.jp/slnH000272494/
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