女性が活躍するサロン
女性スタッフが辞めない
サロンの秘訣
結婚・出産を経ても女性スタッフが長く活躍している、さまざまなサロンの取り組みや職場づくりを紹介していきます。
vol.71現在30名のワーキングマザーがさらに増加中!
女性活躍先進サロンがつづける取り組みとは?
Viviean Rosso
高知県高知市
女性活躍で全国のサロンから注目される「RT HAIR CREATION」。しかし意外にも、女性のための特別な制度はないといいます。2013年に同社として初の、大人女性のためのトータルビューティーサロン「Viviean Rosso」をオープン。そこで、取締役兼ディレクターとして活躍する大﨑ゆりさんに、同社の女性活躍の歩みについてうかがいました。
1取り組み
パート制度を廃止し、時短勤務でも全員が正社員。
どんな取り組み?
創業43年を迎える「RT HAIR CREATION」は、早くから社保完備、完全週休2日制としており、以前から出産後も働くママスタイリストたちがいた。しかし、保育園の事情などで勤務時間が短くなるためパートとしての復帰だった。店長を務めていた大﨑さん自身が長男を出産した14年前、「育休復帰後も店長を続けたいし、正社員として働きたい」と申し出た。それをきっかけに、会社はパート制度をなくし、時短でも正社員として雇用することにした。勤務時間によって給与は異なるが、それ以外の待遇、キャリアパスなどはフルタイムの社員とまったく同じだ。
なぜそうした?メリットは?
大﨑さん自身は出産した際、「自分は前より売れるスタイリストになる」と思ったそうだ。「子どもを持つことで自分の幅が広がって、以前より多くのお客さまの気持ちがわかるようになりました。だから『もっとお客さまとつながりが深くなり売上も上がるはず!いや、意地でも上げないと!』と気合いを入れていたのでパートと提示されて『なんで?』と思いました」(大﨑さん)
そこで、「個人としても、店長としても売上を伸ばすことができるはず!役職や待遇はそのままでいきたいです!」と伝えると、代表の山本晋爾さんは「わかった。それでいこう!」と前例のない提案を受け入れてくれたそうだ。大﨑さんは有言実行し、時短にもかかわらず復帰した月から、出産前の8割の売上を上げた。さらに大﨑さんの復帰以降、産休後の女性スタッフが100%復帰するようになった。
「当社には女性のための制度というのは特にありませんが、昔から代表の山本が社員ときちんと向き合って、声を聞いてくれました。それを現在は幹部たちもやっていて、自然と働きやすい風土になっていったのだと思います」(大﨑さん)
2取り組み
実力次第で女性スタッフも幹部として積極的に登用。
どんな取り組み?
「RT HAIR CREATION」では能力があれば男女問わず幹部に積極的に登用している。現在直営店6店舗中、5店舗に女性マネジャーが11名おり、うち5名がママだ。会社の運営にも携わるディレクターの女性も6名いる。また、会社の長期計画で、現在30名のワーキングマザーもさらに増えると予想している。
背景とメリットは?
全社員約100名のうち女性が80名と、女性比率が高い同社。出産後の退職者も少ないため、キャリアを重ねて自然と女性幹部が増えていった。大﨑さん自身も、25歳のときに店長になり、母になった後の31歳のときにディレクターに就任している。
「時短になった女性スタッフたちも生産性を上げて実力を伸ばしています。育児と仕事の両立をするために、家事の能力がスピードアップするように、サロンでの技術を上げる努力をみんなするのです。それによってお客さまの信頼も上がる。そうしてみんなが『会社にとってなくてはならない存在』になっています」(大﨑さん)
3取り組み
女性幹部を集めた、ハイクオリティサロンをオープン。
どんな取り組み?
「Viviean Rosso」は大人の女性をターゲットとしたトータルビューティーサロンとしてオープンした。「RT HAIR CREATION」グループの他店よりもカット料金を1,000円高く設定するなど、ハイクラス感を出している。より高いサービスを提供するために、グループから女性幹部スタッフ7名を集め、女性スタッフだけで運用するサロンをつくった。
きっかけとメリットは?
もともとは、目の肥えたお客さまに対応できる人材として、幹部女性たちを集めた。しかし、お客さまとともに年齢を重ねていく女性スタッフたちの、新しい挑戦の場にもなっている。
大﨑さんも「Viviean Rosso」の企画の段階から携わり、1年半かけてコンセプトをつくったそうだ。
「髪形や服装など、自分たちの立ち居振る舞いから、他の店舗と変えてハイクラス感を出しました。お客さまに最初に接客するビューティーコーディネーターを取り入れ、自分のお客さま以外の方々にも関わる『トライアングル接客』をしています。デザイン、ビューティー、ケアなど、それぞれのプロが責任者として担当分野を受け持ち、みんながリーダーとして活動しています。今までにできなかった『お客さまを大切にする』ということをオペレーション化できる店舗をつくれました。それも幹部が集まったからこそです」(大﨑さん)
ディレクターインタビュー
- Q. 正社員での育休復帰の前例がなかったのに、「売上を伸ばせる」と言い切った自信はどこから出てきたのですか?
-
A. お客さまとのそれまでの関わりから、「もっと深く広くつながれる」と思ったからです。
出産前からお客さまとはたくさんお話をして、深く関わっていました。だから、自分の人生の経験値が上がれば、もっと幅広いお客さまとつながれ、気持ちを共有することができると思いました。ちなみに離婚したときも「これでまた売上がもっと上がる!」と思いました(笑)。現在は月平均の売上は250万円ですが、出産前は130万円ぐらいでした。売上が上がるほど、ひとりのお客さまにかけられる時間が減ります。売上が100万円前後のころまでに、いかにお客さまに深く関わってお客さまにフィットしたカウンセリングや提案をすることが、その後に売上を伸ばし続けられるかどうかを決めると思います。
- Q. 有言実行で女性スタイリストとしての背中を後輩たちに見せてきたそうですが、具体的にどんな努力をされましたか?
-
A. 常に記録更新、成長ができるよう、数字にはこだわってきました。
会社の合宿で、「最高記録宣言」をしています。7年前ごろ、自分は220万円/月ぐらいがMAXで、会社でも300万円を超える人がいなかったときに「350万円」宣言をしました。途方もない数字でしたが、例えば日割りにして、技術と物販などで数字を分解していくと、「やれないことはない」と。結果380万円/月を達成し、それから毎年100万円ずつ目標を上げられ、3年後に600万円/月までいきました。
時短でここまでできたのは、平日や午前中の集客に力を入れたり、「計画したらやる」、「計画が実行できているか振り返ってチェックする」を繰り返していただけです。また、「達成できなかったときの自分」を想像し、「それはいや!」と自分を奮い立たせます。売上のために無理矢理売り込むということではなく、お客さまが求めるものをフルに提供した結果です。数字って結局は、お客さまからの信頼と期待のあらわれだと思うのです。
- Q. 女性スタッフが活躍しつづけるサロンにするために、アドバイスをお願いします。
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A. 環境の変化だけではなく、自分の意識を変えて夢を持って輝く女性美容師に!!
美しくありたい大人の女性が増える環境で、大人女性美容師がいない美容業界に未来はないという危機感があります。また、地域で会社が愛される存在であり続けるためにも、スタッフが辞めない環境づくりが求められます。だから、出産して時短になった女性のキャリアや成長を止めずに、逆に活かす発想で輝いて欲しいと思います。
前例がなくても、会社や上司と相談しながら、会社で初めての働き方ができるはずです。そのためにも成果と信頼を築き、自分自身も会社から必要とされる存在になっていくべきと思います。会社、幹部としてもそういうスタッフを育てていきたいですね。
Salon Data
Viviean Rosso【ヴィヴィアン・ロッソ】
- アクセス
- JR高知駅から車で5分
- 創業年
- 1973年
- 店舗数
- 10店舗
- 設備
- 20席(Viviean Rosso)
- スタッフ数
- 約100名(グループ総数)