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ヘアサロン領域

2011.12.22

メンズオンリーサロン「JUNES」をプロデュースし、2002年の原宿店出店で一躍その名を知られたBOWEさん。現在は都内5店舗を展開し、その戦略的なサロン経営は理容、美容の両業界から注目を集めています。今後ますます需要が高まると見られるメンズの美容市場。長年男性顧客に特化した技術と接客を提供してきたBOWEさんに、メンズ市場の今とこれからについて伺いました。

PROFILE

BOWE(ボウ)

1970年鹿児島生まれ。鹿児島県理容美容専門学校を卒業後、1990年JUNESに入社。1996年早稲田にメンズオンリーサロンをプロデュース。その後3店舗のプロデュースを経て、2002年に原宿初のメンズサロンJUNES出店。業界誌、一般誌の撮影、広告、セミナーなどでも活躍。メンズ向けのプロダクツの開発、格闘家のヘアスポンサーも手がける。2011年10月より『MEN'S CLUB』のオンラインページで業界人ブロガーとして、さまざまな情報も発信中。

|第2章|男性客に支持されるサロンづくり

男性客に支持されるサロンづくり

野嶋 男性のお客さまに愛されるサロンづくりについて伺いたいのですが、JUNESはサロンの内装にもこだわっていますね。

BOWE そうなんです。お客さまは男性だけなので、変に気を使ったり頑張らなくてもいいけれども、気を使わないなりにもほんの少し非日常感を楽しんでほしい。だから、サロンの中に置くものはひとつひとつ吟味しました。例えば原宿店のカット椅子はバルセロナチェアという椅子を使用しています。シェービングをするスペースでは、コルビジェのシェーズロングというMOMAの永久展示品に選ばれた寝椅子を使って、横になってシェービングができるようにしています。

 メンズビジネスに関して、僕が気にしているのは4つです。1つは技術。これは食事で言うと美味しいかどうかという部分ですね。ただ、この味の好み、つまり技術というのは一定の基準を越えたらあとは好みの差になるかなと思います。2つめは空間。清潔であり、ちょっと非日常感があること。そして3つめが接客。サロン側がルールとして決めているサービスではなく、お客さまが求めているホスピタリティを提供できること。そして最後の4つめなんですが、僕は男性客には「特別感」を味わっていただくのが大事だと思っています。「僕のためにやってくれているんだ」と感じる特別感ですね。この4つが男性相手のサロンで欠かせないと思うことです。

野嶋 男性同士ということで、お客さまとのつながりも相当強くなってきているのではないでしょうか?

BOWE 確かに男性同士だからこそのプライベート感がありますね。数か月に1度ご来店されるということは、その方の友達よりも頻繁に会う存在ですから。長いおつきあいになったお客さまも多いです。長く通ってくださるお客さまが多いとサロン経営としては安定するのですが、お客さまの年齢層が上がりますので、ヘアデザイン提案がどうしてもマンネリ化してしまいます。それに、メンズオンリーサロンというのはビジネスマンだけにターゲットを絞るとやはり平日の集客が難しくなりますので、学生を取り込むことは必須です。長年の顧客を大事にするとともに、若いお客さまに向けた魅力あるデザインを追求していくことも大切ですね。

男性客に支持されるサロンづくり

野嶋 メイン顧客はどの層なのでしょうか?

BOWE 平均をとると20代後半から30代です。あまりターゲットが広くなりすぎるとサロンとしての強みが無くなる。やはり大学生が良いと思うサロンと、40代の方が良いと思うサロンは違うと思うので。ですから、うちのサロンが強い年齢層に焦点をあてながら、前後10才くらいまでをカバーするイメージで集客しています。

 JUNESとしては、もう一歩前に進むために、2012年から組織の若返りを考えています。GM(ジェネラルマネージャー)は28才、BM(ブランドマネージャー)は24才のスタッフに任せます。やはりトレンドは30才くらいのスタッフが引っ張っていかないと魅力的ではないんですね。今までは僕が前面に立って進めてきましたが、これからは若いスタッフを育てていかなくてはと考えています。

 同時に考えなくてはいけないのが給与体系ですね。今までJUNESは年功序列だったんですが、ここにきて一部成果主義を取り入れました。GMよりも若い世代のスタッフは成果主義を反映します。従来のJUNESを支えてくれたスタッフは成果主義を反映すると一部給与がダウンしてしまうので、この世代は年功序列制を主にして、前年比に対しての成果を加味するようにしています。業績がいいときはみんなで分け、大変なときはみんなで支え合うようなシステムを作りたいと思っています。

野嶋 そうですね。サロンの遺伝子を支えてきてくれた世代の人たちを守っていくことは大事ですよね。

BOWE この仕事は生産性が決まっているビジネスだから、どうしても頭打ちになる部分があります。だからやりがいを持っていないと続かないし、人にありがとうと言われることが麻薬になるような環境を作っていかなくてはいけないと常々思っています。ヒューマンビジネスとしてお客さまに喜ばれ長くおつきあいできる仕事ですから、対価がもっとちゃんとついていく仕事にしていきたいですね。

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