ヘアサロン領域
2014.01.14
2013年2月にはベトナムに出店、10月には広島の中心地であるパセーラで改装移店をされたばかりの、クレオ・ヘア・インターナショナル代表のクミ・リップマンさん。10年、15年と継続して働くサロンスタッフが軸となり、強い組織として注目を集めています。店づくりと人づくりの根幹にあるのは、グローバルな視点。美容界に新しい働き方を提示するクミさんの思想を伺いました。
PROFILE
クミ・リップマン
1981年より東京の美容室勤務、ヘアーショー、撮影などに携わったのち、1989年帰広。母経営のサロンに参加。
その後、独立。
ロンドンにて「ワールドコングレスヘアショー」日本チームとして出演。「クリスチャンディオール」「ジョン・ガリアーノ」「バレンティノ」「ベルサーチ」等のパリコレバックステージへ参加。
オーストラリアのシドニーにてオーストラリアコレクションヘアチームにヘアサロンで参加。ロンドンで技術留学するなど、グローバルに活動。
2001年には、広島の人気テレビ情報番組「満点ママ」(テレビ新広島)のヘアアドバイザーとして7年間出演。ヘアスタイルやトレンドを紹介した。現在広島3店舗、ベトナム1店舗を経営。
クレオ・ヘア・インターナショナル webサイト → http://www.cleo-hi.com/
|第4章|自分の責任で時間を過ごせる「サロン」にしていきたい
野嶋 最後になりますが、今回新しく改装されたサロンのコンセプトや、店づくりの考え方を聞かせていただけますか。
クミ サロンを作るときには、視覚と聴覚、嗅覚に対して働きかけることを意識しました。
野嶋 聴覚というと?
クミ 例えば、シャンプー台の音に、波動のスピーカーを使っています。波動のスピーカーを使うと、音がカーテンに遮られずとてもクリアな音が出るんですよね。その音にこだわりました。うちは、シャンプーブースでは、スタッフも声を出してはいけないことになっています。ゆったりとシャンプーの時間をくつろいでいただくためにもこだわっていますし、その時間お話をしなくていいということで、スタッフも気が休まるんです。
野嶋 なるほど。嗅覚というのは?
クミ 今、日本のメーカーのプラズマイオンが出るようなものって、1つの機械から7000個のマイナスイオンが出るものがあるんですが、ここに置いてあるものは、1つの機械からマイナスイオンが220万個から300万個出ているものなんです。結核病棟などでも置かれているものですね。
お客さまにも空気が綺麗、においがしないとよく言われます。アトピーをお持ちの方などが、ここでの空気の綺麗さに感動して、同じものをお求めになったりもされますよ。
野嶋 最後に視覚面ですが、今、われわれも外でお話を聞いていますし、八丁堀のお店も空が見えるビルにこだわったということで、自然を大事にされていることを強く感じるのですが。
クミ これは長年の経験からなのですが、外が見えない職場って、精神的に参る子が出てきやすいんです。ですから、八丁堀はビルの中ですけれど空が見えるし、舟入はお庭がある。ここも、これから家庭菜園をしようと思っているんです。みんなでトマトを育てる競争をする予定です(笑)。そうすると、お店に行きたくないなあと思っても、トマトに水をあげなきゃって思ってこられるかもしれない(笑)
野嶋 そういうことって、実に本質的で大事なことだと思います。
クミ ここに来てからスタッフによく言うのは、暇な時間にあれしなさい、これしなさいって言わないから、時間があったら自分のお客さまとこの場所でお茶のんでもいいのよってこと。どんどんお客さまと会話をしていいし、好きにしなさいって言っています。そういうのも、ひょっとしたら外国っぽい考え方かもしれないですね。日本では決まりやルールを大事にするし、私もある面ではどうしてもルールを作らざるを得ないけれど、スタッフが成熟してくれば、自分の判断でお客さまと接していいと思うんです。そういうのが本当のプロだと思うので。
野嶋 サロンの作り方から、スタッフの教育の方法まで、クミさんの考えの中には、やはりグローバルな考え方が根付いているのだということが、今回よくわかりました。これからの美容業界で生きていく若者たちには、不可欠になる考え方だとも思います。今日はいいお話をありがとうございました。
(写真/中尾俊之 文/増田ゆみ)