ヘアサロン領域
2014.10.27
今年30年を迎えるMINX。いつの時代も美容業界に革命を起こし、時代を牽引する存在であるMINXの代表、高橋さんにお話を伺いました。 「破壊と構築」「時流を読む」「知名度から認知度へ」。次々とキーワードが飛び出したインタビューをまとめました。
PROFILE
高橋 マサトモ(たかはし まさとも)
1956年生まれ。東京 原宿、青山、下北沢、銀座にMINX(5店舗 社員200人)を経営。1985年の独立以降、日本のアバンギャルドの先駆者として精力的に活動。
1994年、美容業界初の全国7大都市でのヘアショー。1997年にはヘアショーのジャパンツアー開催。2011年には、美容師で初の東京優秀技能者(東京マイスター)知事賞受賞。
美容室経営者が多く集うセミナー「高橋塾」を10年以上毎年開催。
MINX webサイト → http://www.minx-net.co.jp/
|第1章|今ふたたびのクリエイティブ
野嶋 今日は、高橋さんが今の美容業界に対して考えていらっしゃることや、今後の展望などをお伺いできればと思っています。よろしくお願いします。
MINXさんは今年で30周年を迎えられると伺っていますが、30年を振り返ってみて、今をどんな時代だととらえていらっしゃいますか。
高橋 僕は、あらためて、クリエイティブが問われる時代に突入したと思っています。
野嶋 そのあたりを詳しくお伺いさせてください。
高橋 30年を俯瞰しますと、美容業界にはいくつか転換期があったと思います。まず30年前は技術の時代だったと思います。ヴィダル・サスーンさんや、トニー&ガイさんや、モッズヘアーさん、日本でもピーク・ア・ブーさんなどの技術を中心に、カットの精度を磨くことを競い合っていた時代だったように思います。
それから、しばらくたって、美容師はデザイナーになっていったと思います。デザイン志向に大きく舵を切った時代がありました。そしてその次に、カラーブームの到来があり、その結果、髪を美しく保つためのヘアケアやケミカルの時代がきましたね。今では、メーカーの担当者さん以上に、ケミカルに対する豊富な知識を持っている美容師さんも増えました。
日本人の髪が一番綺麗になっている時代が今だと思うんです。だからこそ、また次のステップが生まれてくるのではないかと思っています。
野嶋 それが、クリエイティブだと。
高橋 そのとおりです。あらためて、技術と感性が問われるクリエイティブが美容業界に必要とされるのではないかと思っています。
野嶋 MINXさんの新しいホームページやヘアショーの雰囲気を拝見していても、そのチェンジ感を感じます。
高橋 僕の過去30年の経営のテーマは「破壊と構築」なんです。
野嶋 破壊と構築ですか。
高橋 ええ。新しいことを始めるためには、壊す勇気が必要です。壊さなければ新しいものは生まれない。時流とともに生きていくというのは、MINXのテーマでもあります。だから、時流に対してのチェンジは速いかもしれないですね。
ただ最近はそれだけではなく、長年続けられる会社を作りたいという気持ちが強く芽生えています。僕の年齢的なこともあるのだと思うのですが。自分がいなくてもすむ会社を作りたいというのが僕の願いです。
野嶋 昨年オープンした銀座店に象徴されるような動きが、今のひとつの方向性なんですね。
高橋 そうです。やはり、一言で言うのであればこの先も長く必要とされていたいですね。お客さまはもちろんですが、業界のメーカーさんやディーラーさん、雑誌社の方々も含めて、必要だと言われるブランドでありたいです。