動画で学ぶ 美容サロン経営 知らない間にダメ店長!? ダメ店長を変えた5つの心得とは!?動画で学ぶ 美容サロン経営 知らない間にダメ店長!? ダメ店長を変えた5つの心得とは!?
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サロンで始める
訪問美容~データ&実例編~

超高齢化社会を迎え、サロンの潜在市場として注目される “訪問美容”。
データや実践事例を交えて訪問美容の可能性について考えていきます。

vol.12

実例編売上急落後に、事業計画を抜本的に立て直し。
訪問美容で見えた地域密着の新たな形とは?

「Beautissimo」オーナーの鈴木勝裕さんは、1987年に埼玉県の入間で独立開業。その後、カリスマ美容師ブーム時代は原宿で「STREET」ブランドをオープンさせ人気を呼んでいました。カリスマブーム終焉時に、美容業の新たな道を模索し12年前に始めたのが訪問美容だったそう。現在はフランチャイズとして訪問美容専門の「創髪」を展開しています。徹底した事業計画のもとに進める訪問美容についてお話をうかがいました。

Beautissimo 入間(埼玉県入間市)

  • 全スタッフ110名
  • 16店舗
オーナー:
鈴木勝裕さん
訪問美容開始:
2005年
訪問施設数:
約40施設(1回の訪問で10〜50名)
施設訪問頻度:
1~2カ月に1回
訪問スタッフ:
兼任1名、専任3名
価格(カット):
2,600円〜、パーマ6,900円〜、カラー5,800円〜

Q

訪問美容を始めようと考えたきっかけはどんなことでしたか?

A

カリスマ美容師ブームが去り、会社の立て直しを考えたことです。

危機からの展開だったんだね!

会社の立て直しで知ったのが「経営革新計画の承認」でした。

私が独立してからほどなく、美容業界にカリスマ美容師ブームが訪れました。我々はもともと埼玉の入間でスタートしましたが、チャンスだと思い原宿に出店し、これが当たりました。けれどブームは数年で終わり、会社の売上が急落したのです。経営者として「何とかしなければ」と考えていたときに、「経営革新計画の承認」という国の制度について人から教えてもらったのです。事業計画をきちんと立てて承認がおりれば、国からの助成や金融機関からの融資を受けられたり、減税などの特例措置を受けられる制度です。
 「経営革新計画の承認」を得るには、やろうとしている事業で利益が得られる根拠と、利益を継続的に上げ続けられる付加価値が必要です。美容業界を見直したときに、今後日本の人口が減っていく中で、既存のマーケットで利益を上げ続けることは難しいと思いました。一方で設備投資に大きなお金はかけられません。そこで、既存のスタッフの技術を活かし、新たなマーケットでできることを考えたひとつが、訪問美容だったのです。

  • カリスマ美容師ブーム時代はメディアにも頻繁に登場していたという鈴木さん。ブーム終焉後、事業のことだけでなく、スタッフの働きやすさも考え、経営を抜本的に見直したそうだ

プロジェクトチームをつくり、移動式福祉美容車両での事業を計画。

事業計画に訪問美容を入れたのは、2002年頃から「やりたい」と言っていたスタッフがいたこともありました。現在「創髪」のフランチャイズオーナー兼店長の小澤拓麻たちです。2003年に「経営革新計画の承認」について初めて知った後、どうしたら会社を立て直すと同時に、スタッフの夢もかなえられる経営計画ができるか考えていました。そこで、2005年に訪問美容のプロジェクトを発足し、スタッフたちと一緒に本格的に事業を考え始めました。
 プロジェクトスタッフにはまず、ヘルパー3級の資格を取ってもらいました。最低限の介護の知識をつけさせたかったからです。また、美容組合が自治体の事業としてすでにボランティアでの福祉美容を行っていたため、ビジネスとして差別化することを考えました。自治体のボランティアはカットだけなので、おしゃれな美容もできることを視野にいれ、カラーやパーマも行うこととしました。となると、シャンプーが必須になりますが、施設のお風呂では高齢者の方々の体勢が難しい。そこで、専用の移動式福祉美容車両で訪問美容を行おうということになりました。移動式福祉美容車両自体を美容施設として認可してもらえば、どこでも施術ができるからです。
 これを事業計画に落とし込み、2007年に「経営革新計画の承認」を受けることができました。おまけでついてきたのが、「第2回渋沢栄一ベンチャードリーム賞(現:渋沢栄一ビジネス大賞)」という埼玉県のベンチャー企業のための賞です。ここでも奨励賞を受賞し、金融機関だけでなくベンチャーファンドからの融資も受けられることになりました。

  • 現「創髪」オーナーの小澤さん。「いくつになっても美しくありたい利用者さまの気持ちを応援したい」と語る

  • 最初の「経営革新計画の承認」の後にも、2011年に、美容と写真館、ペット事業などの複合展開の計画で、2度目の承認を得ている

Q

訪問美容の事業はスムーズに進んだのですね?

A

いいえ。最初の3年くらいは赤字で、試行錯誤して形にしていきました。

始めてみて課題が出てきたんだ

準備と営業はスムーズでしたが、やってみてわかる課題がいろいろありました。

「経営革新計画の承認」を得られたので、資金面では順調に準備できました。当時、移動美容車は、大型免許が必要なトレーラーのような高価なものしかありませんでした。それは現実的ではないため、中古のキャンピングカーを購入することにしました。キャンピングカーには水回りや電気、空調など居住のための設備がすべて整っているからです。それにシャンプー台などを取り付けて改造して、美容車として使えるようにしたのです。車の購入価格と改造費を合わせても400万円くらいで済みました。
 営業も、当時は参入している同業者がほとんどいなかったため、スムーズでした。ネットで福祉施設を探して電話でアポイントを取り、手応えのあったところを訪問しました。最初の1年で、すでに30〜40軒契約できました。
 しかし、そこからが試行錯誤でした。最初は施設側の状況がわからず、行ってみると数名の施術しかできなかったり、施設と施設の距離が離れていて移動の時間とガソリン代が多くかかってしまったり。けれど、もともと初年度から黒字にできるとは思っていなかったので、やってみて改善しながら、3年目くらいから黒字になればいいと考えていました。一度契約した施設は、そうしたロスが出ても1年は通い続け、次年度の契約更新の際にこちらの事情も理解していただくようお願いして、ビジネスとして成り立つ施設に徐々に絞っていきました。

  • 移動式福祉美容車両の内部。シャンプー台が2箇所あり、スロープで車いすのまま上がれる

  • 車内でサロンと同じリクライニングシートを使えるので、利用者さまも楽にシャンプーができる

「人の役に立ちたい」というスタッフの想いだけでは続かないことも。

やってみて予想外だったことのひとつは、施術の単価を思うように上げられなかったことです。美容組合が自治体のボランティアで行っていることもあり、「組合だと無料なのに」とおっしゃる施設もあったからです。ただ、こちらもボランティアよりは、よりおしゃれを意識したスタイリングを提案したり、パーマやカラーもするなど付加価値の高いサービスを行っている自負があります。現在のメニューは施設側とこちらの希望の折り合いをつけて決めてきました。
 もうひとつの予想外だったことは、「人の役に立ちたい」とやる気があった若いスタッフが続かなかったことです。想いはとても大事ですが、介護の現場は想いだけではできない大変な場面も多々あります。例えば、認知症の利用者さまから施術を嫌がって叩かれることもあります。美容の仕事は人ありきですから、スタッフが定着して増えていかなければ広げることはできません。
 そこで、腰を落ち着けて長く働ける数名の男性スタッフを中心に、「広げるよりも長く続けられるビジネスにしよう」と方向を変えました。会社としては利益も考えなければなりません。サロンワークに比べて利益率が低い訪問美容は、拡張するよりも地域で深めて、「地域貢献もしているサロン」というブランディングの一貫と捉えることとしました。

  • 移動式福祉美容車両の外観。この車が施設や町内を走ることで、サロンが訪問美容を行っていることを地域にも知ってもらえる(「STREET」は小澤さんのサロンのブランド名)

Q

今後は訪問美容をどう展開していきたいですか?

A

ノウハウを必要としている他のサロンの人たちと一緒にやっていきたいです。

地域に愛されるサロンになれるね

訪問美容をやりたかったスタッフにフランチャイズとして経営を任せています。

当社はもともと、育ったスタイリストたちをフランチャイズオーナーとして独立させてきています。希望する店長クラスのスタッフに3年間経営の勉強をさせて、資本を一緒に積み上げていって設備ごと譲るという方法です。小澤もそのひとりで、サロンと「創髪」をフランチャイズとして引き継がせ、小澤は両方のオーナーを兼業しています。現在の「創髪」のメンバーは、小澤以外は訪問美容専任スタッフとして募集した人材です。彼らは人の役に立ちたい想いだけでなく、サロンワークとは全く異なる働き方が気に入っているようです。例えば、施設での施術はほとんど午前中のみです。その代わり朝が早いですが、早朝に準備して、9時頃から施設で施術をしてお昼頃に終わり、事務所に戻って事務作業が終わる14時頃には退社します。また、単独の仕事になるため、サロンのように組織のしがらみもなく、利用者さまにだけ気をつかえばいいことが気楽なようです。利用者さまたちからも可愛がられていますし。こうした新たなやりがいを求める人には向いている仕事だと思います。

  • 訪問美容スタッフの堀川真彦さん(左)。訪問先は埼玉中心だが、東京の世田谷の施設にいくこともあるそう

地域に根ざして深く活躍したいサロンと、一緒にできたらうれしいです。

美容業はもともと半径2kmが商圏といわれるように、地域に根ざしたビジネスです。我々は埼玉を中心に行っていますが、同じようにそれぞれの地域に根ざして、利益率が高いサロンを2・3店舗かまえた上でプラスαで訪問美容をやりたいというオーナーさんがいれば、一緒にやりたいと思っています。我々には積み上げてきたノウハウがあるので、必要な人にノウハウを提供し、共同でできることは共有し、お互いの生産性を高めるビジネスにできたらと考えています。

  • 訪問美容の施術はスピードと、利用者さまの状態を瞬時に判断することが勝負。最初の3年でさまざまなケースを体験し、起こりうるリスクを想定してスタッフで共有しているそう

鈴木さんからひとこと

 日本の人口が縮小していく中、美容業界はいま岐路に立たされています。マイナンバー制の導入によって社会保険に入っていないサロンが窮地に立たされ、社会保険の加入義務がない個人店になるか、設備や材料の仕入を共同購入できる大規模チェーンサロンになるかの過渡期にきています。訪問美容はそうした中で、地域に根ざしたサロンが、付加価値として、またサロンのブランディング対策として考えるにはいいビジネスだと思います。我々のノウハウを必要とされる方がいればぜひ一緒にやりましょう!

Salon Data

Beautissimo 入間 【ビューティシモ】

アクセス
入間市駅からバスで10分
創業年
1987年
店舗数
16店舗
設備
15席(Beautissimo 入間)
スタッフ数
7名
URL
https://beauty.hotpepper.jp/slnH000084786/
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