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サロンで始める
訪問美容~データ&実例編~

超高齢化社会を迎え、サロンの潜在市場として注目される “訪問美容”。
データや実践事例を交えて訪問美容の可能性について考えていきます。

vol.20

実例編開業2年で17施設と契約。
それを叶えた営業と信頼づくりとは?

福岡の古賀で、「お客さまが心からくつろげるサロン」を夫婦ふたりで営む花島尚平さん。アシスタントを雇わずに、ひとりのお客さまをひとりのスタイリストが1対1で見る丁寧な接客で人気を呼んでいます。独立前から副業で始めた訪問美容が、自分のサロンをオープンする頃にはすでに経営の大きな柱となっていたそう。その副業期間はわずか1年。訪問美容開業3年目の今では、お声がかかってもお断りしなければならない程の人気ぶり。なぜそれが可能だったのか、営業やお客さまとの信頼関係づくりについてうかがいました。

&FLOWER(福髪)

  • 全スタッフ2名
  • 1店舗
オーナー:
花島尚平さん
訪問美容開始:
2016年
訪問施設数:
17施設(1回の訪問で5〜25名)
施設訪問頻度:
半月〜2カ月に1回
訪問個人顧客数:
約10名
個人顧客訪問頻度:
1〜6カ月に1回
訪問スタッフ:
兼任1名
価格(カット):
2,000円〜、パーマ5,500円〜、カラー2,500円〜

Q

訪問美容を始めようと考えたきっかけは?

A

独立に当たって自分の強みを考えたことです。

自分の強みに気づいたんだね

祖父の入院先で、ボランティアでシャンプーをしたことで興味をもちました。

訪問美容や福祉美容の存在を知ったのは、まだアシスタントになったばかりの頃でした。祖父が入院していたためお見舞いに行ったら、病院の片隅にシャンプー台があったのです。聞くと、普段は看護師さんたちが患者さんのシャンプーをするために使っているとのことでした。自分もサロンでシャンプーを始めた頃だったので、祖父の頭を洗ってあげたくてそのシャンプー台を使わせてもらっていたのです。すると、見ていたお見舞客の人たちに「入院しているうちの家族にもやってほしい」と頼まれるようになりまして。「人の役に立てるのがうれしい」くらいの気持ちでボランティアでやっていました。でもそのときは、まだアシスタントの駆け出しでしたし、これを仕事にしたいという気持ちではありませんでした。

独立をすすめられて、人を楽しませることが好きな自分は訪問美容でやっていこうと考えました。

本格的に訪問美容を考えたきっかけは、結婚したときに当時勤めていたサロンのオーナーから「奥さんも美容師だし、今後どうするの?」と将来について聞かれたことでした。それまで独立のことなど考えたこともありませんでした。けれどオーナーは、「同じ地域にサロンを出してもいいんだよ」と言ってくださったのです。独立するならお客さまはサロンに置いていくのが筋です。美容師としてのスキルを活かしながら、自分たち独自の新たな収入源を考えたときに、訪問美容をやってみようと思い立ったのです。 
 祖父の入院時の経験もありましたが、自分はもともとお客さまをただキレイにするだけでなく、サロンに来たことや施術の時間を「楽しかった」と感じてもらえることに喜びを感じていました。美容師になったのも、お客さまとたくさんコミュニケーションをとれる仕事だからです。そういう自分には、高齢者の方に喜んでいただける訪問美容が合っていると思いました。

  • 「お客さまとお話しすることが大好き。でも、『話さないコミュニケーション』も前のサロンで学んだ」と花島さん

Q

訪問美容を始めるために、何から着手しましたか?

A

サロンに勤めながら、夫婦で居酒屋でバイトを始めました。

視点が独特だね!

居酒屋は自分たちの夢を聞いてもらえる格好の場だった。

独立すると決めてから、そのための資金準備と、訪問美容の営業を始めることにしました。2016年の3月のことです。前のサロンに勤務中でしたが、開業届を出しました。並行してサロンの定休日の月曜日に、妻と一緒に居酒屋でバイトを始めました。訪問美容の営業は、最初は友人や知人の祖父母の方などをご紹介いただいていました。
 施設にも営業に行きました。しかし、サロンに出るときにはスタイリストとしてオシャレに見える風貌でしたので、それでスーツを着て出かけても、あまりいい手応えを得られませんでした。当時は訪問美容の専門業者が入っていることが多く、サロンと副業で訪問美容をすることを、なかなか理解していただけなかったこともあったと思います。
 実は居酒屋でバイトしたのはお金のためだけでなく、訪問美容のポップを置いてもらったり、お客さまに自分たちがやりたいことを聞いてもらえる場になると考えたからです。お酒が入ると、人は話を聞いてくれるハードルが下がります。ふとしたときに、我々夫婦が訪問美容を目指していることを知っていただいて、必要としている人がいれば紹介につながるのではと。実際、「30代の夫婦がなんで居酒屋でバイトしてるの?」とお声をかけてくださることもよくありました。介護施設の方々が飲み会に来ていてお仕事をいただけたり、そこからの口コミで他の施設を紹介いただけたりしていったのです。

サロンワークとの副業で、訪問美容の収入が給料の2倍に。

当初は月曜日の昼間は訪問美容に行き、夜は居酒屋でバイトを続けていました。2カ月もすると、訪問美容が月曜だけでは回らないくらいお仕事をいただけるようになり、サロンのオーナーに相談して毎月休みを徐々に増やしてもらい、8月には土日以外は毎日訪問美容に行くようになりました。サロンのお客さまにもケアマネジャーの方が7人くらいいらして、その方々からのご紹介も多かったです。
 独立直前の12月にはサロンに立つのは日曜日のみでした。その時点で、独立してもやっていける自信がもてるほど、訪問美容で稼げるようになっていました。そして、2016年の年末に退社し、2017年3月に「&FLOWER」を開業させました。

  • 「&FLOWER」のパンフレット。通常はチラシサイズが多いがA4サイズのオシャレな冊子。持ち帰らずに読んでもらうことを想定し、人が集まる場所の待合室などに置いてもらっているそう

  • パンフレットに書かれた「こんなにくつろげる美容室は初めて」「美容室にいることを忘れるほど落ち着く」とは、実際にお客さまが言った言葉だ

Q

訪問美容をやっていてよかったこと、大変だと思うことは?

A

大変な場面でも「花島くんでよかった」と言ってもらえることです。

辛いこともあるよね…

求めている人に喜んでもらえる仕事。

施設には営業や施術にうかがうだけでなく、納涼祭などのイベントにもボランティアでよく参加しています。信頼づくりのためもありますが、高齢者の方と一緒に将棋をやったりすることが、自分も楽しいのです。利用者さまだけでなく施設の方にも喜んでもらえますし。
 訪問美容は一般的に「2人組などチームで行って、短時間で人数をこなす」ことが良いと言われています。その方が生産効率もよいですし。けれど自分は、お客さまとのコミュニケーションを大事にしているので、ひとりでうかがい、サロンワークと同じようにお話をしながら時間をかけて施術しています。利用者の方々が自分との時間を楽しみにしていてくれるからです。もちろん職員の方のお邪魔にならない程度に、さじ加減も大事にしています。サロンも訪問美容も、うちのセールスポイントは「接客」です。高齢者の方々にもくつろいだ、楽しい時間を過ごしていただけることが自分の喜びにつながっています。それで、職員の方やご家族から口コミでどんどん紹介してもらえるようになったと思っています。

  • 花島さんが笑顔で接することで、施術を受ける利用者の方々からも自然と笑顔があふれてくる

訪問美容は死と向き合う仕事。

訪問美容では予期せぬことが多々起こります。施術中に利用者さまが急に吐いてしまったり、認知症の方が理由もなく怒り出すこともあります。私は訪問美容を始める際に福祉美容師の資格を取っていたので、そうした状況は想定できていました。
 それでも辛かったのは、50代のがん患者のお客さまがいらして、ご自宅で施術中に亡くなったことです。ご家族が最期を予期して、キレイに見送ってあげたくて私を呼んだのだと思います。自分自身もショックでしたし、ご家族にかける言葉がなかったです。逆にご家族が「最後に花島くんに切ってもらえてよかった」と言ってくださったのです。訪問美容は死と向き合わなければならない仕事だと、あらためて痛感しました。「自分がもっと成長したらご家族にかける言葉も浮かぶのかもしれない」と、今は考えています。

Q

訪問美容を今後どうしていきたいですか?

A

訪問美容ブランドを独立させて、人材育成を始めています。

先を見据えているね!

新規顧客を受けられない状態のため、仲間をつくって広げたい。

今は以前よりも効率よく回れているので、火水木は訪問美容、金土日はサロンに立ち、定休日の月曜は訪問美容の人材育成に当てています。自分ひとりでは新規の訪問のお客さまはもう取れない状況なので、訪問美容に興味のあるスタイリストに施設に同行して学んでもらっています。現在ふたりの方に来ていただいており、うち1名は福祉美容師の資格も取得済みです。いずれはうちのスタッフとして施設を任せられる人材に育ってもらえればと思っています。
 人材育成と訪問美容の柱を本格的にするために、サロンの「&FLOWER」とは別に、「福髪」という訪問美容のブランドを立ち上げました。サロンのお客さまのほとんどが女性であるため、年齢を重ねた男性美容師の活躍の場が年々減っていると耳にします。訪問美容は子育てで一度仕事から離れた女性美容師の活用も手だと思いますが、私はむしろ男性美容師がずっと活躍できる場だと思っています。金髪で施設に行っても「明るい髪のお兄ちゃんが来た!」と、高齢者の女性の方々から可愛がってもらえますし(笑)。九州で一緒に付加価値の高い訪問美容を目指す仲間を探して、これからも広げていきたいと考えています。

  • 「重労働の訪問美容は男性にも向いている」と花島さん。共感してくれる仲間を求めているそうだ

花島さんからひとこと

 私が居酒屋のバイトで営業が成功できたのは、古賀という地域性があると思っています。けれど居酒屋でなくても、「人が集まる場所」「話を聞いてくれそうな場所」をリサーチするといいと思います。出入りしているのはどんな人たちか、訪問美容の話をするのにふさわしい場所かなど、フィットしそうな場所はあると思います。施設に飛び込みで営業するよりは効率がいいと思います。
 また、訪問美容は施術技術よりもサービスやホスピタリティを身につけられます。サロンで平日に稼働できていないスタッフのそうした技術の向上の勉強のために導入する考え方もあるのではないでしょうか。

Salon Data

&FLOWER【アンドフラワー】

アクセス
JR古賀駅西口から徒歩5分
創業年
2017年
店舗数
1店舗
設備
2席
スタッフ数
2名
URL
https://beauty.hotpepper.jp/slnH000377002/
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