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知識や技術は教えられても、
“やる気”は教えられない。

知識や技術は教えられても、“やる気”は教えられない。

千葉

社長になった当初、会社組織は悪い状態。どのようにして組織を再生していったのでしょう。

田中

経営陣みたいなのがいて、きちんと組織化されたのはここ数年です。最初は商品の仕入れから経理、店舗営業など全部、介入して決めていきました。最初の3年間、100店舗になるくらいまでは全部自分でやってましたね。誰かに頼むと、問題が起きた時に人のせいにしちゃうから。

千葉

初期の頃は、完全なトップダウン?

田中

1から10までそうですね。今は「これがOWNDAYSらしい」「これは選択すべきじゃない」という会社のカルチャーができているので、ボトムアップで進めても大事な部分を外さずにできます。でも最初は組織もカルチャーも育まれていないので、全部自分でやっていきました。

千葉

会社のカルチャーは、どのようにつくっていきましたか?

田中

一応、企業理念・行動指針みたいな明文化したものはあります。でも、それよりもまずは、あらゆるジャッジを一人の人間が終始一貫して行うこと。そうすることで、だんだんとみんなの周波数が合っていくと思う。「これって社長がダメだって言いそうだよね」とみんながわかるようになり、そのうち「これってOWNDAYSらしくないな」って同じ判断ができるようになる。

千葉

理念研修のような機会は?

田中

半年に1回、東京や大阪・福岡といった各地を回って、自分が講師になって理念研修をしています。なんのために働くのかというような仕事の意義とか、インド進出など現在会社が取り組んでいることとか…。社長から直接話が聞けた方が、社員もいいでしょ?

千葉

OWNDAYSでは、店長などの管理職を立候補制にして、社員投票の選挙で決めています。これを導入したきっかけは?

田中

「役職者を選ばなきゃいけないんだけど、誰がいいのかわからない。やる気がない人にやらせるのは嫌だな」っていうのが最初ですね。
こっちはよかれと思って任命したのに、うまくいかなかったら「本当はやりたくなかった」とか言い出す奴いるでしょ。それがイヤ。だったら、やりたい人にやらせた方がいい。知識や技術は教えられても、やる気は教えられませんから。そして立候補者からどう選ぶか・・・、「じゃあ選挙制にしよう」って感じです。
本人が立候補しなきゃ、俺から声を掛けて選ぶことはしない。適性があるとわかっている人にやらせた方がうまくいくんですよ。でも、俺が任命することもあるし、立候補制の場合もあるし、ってするとハレーションが起きてしまう。だからカルチャーを優先して、どれだけ能力があっても立候補者以外を任命することはしません。

千葉

海外店舗でも、この立候補制を導入しているそうですね。

田中

日本と同じようにやっています。最初の海外進出先であるシンガポールで店が大当たりしたのは、日本のようなメガネのSPAモデルが現地にはなかったことがまず一つ。そして、短期間に混乱なく店舗を増やせたのは、この独自の「選挙システム」のおかげです。立候補で人事を決める仕組みを導入できたことが、海外で成長するうえで想像以上に有効に働きましたね。
任命制だと「日本語が話せるから、日本人の自分にとって使いやすい」ってだけで海外店舗の管理職を選んだりしちゃう。海外展開でつまずく企業は、このせいもあると思う。でも立候補による選挙制だと、短期間で合理的に、ローカルスタッフたちのなかで的確な人事が決められる。海外進出当初、日本本社にローカル言語が話せる人材が少ない中でもうまくできたのは、この制度のおかげです。

選挙で人事を決める「OWNDAYSサミット(2018年)」の様子。「社内イベントは社員の士気をあげる的な話がよく出るけど、OWNDAYSの場合、毎年一番士気があがっているのは間違いなく社長の自分」と田中さん

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