「バーバー」人気の理由
今「バーバー」が人気の理由
近頃増えている、従来の理容室とは違う新しいタイプの「バーバー」は、なぜ多くの男性ファンを生んでいるのでしょうか?
ターゲティングやコンセプト、強みなどについて探っていきます。
RIPPERS OSAKA(大阪府大阪市)
美容室&バーバーを展開。
異色の経験を活かした戦略とは?
アメリカ村からほど近く、近年はおしゃれな街として注目を集める堀江界隈。歩行者が行き交う交差点という恵まれた立地で「RIPPERS」はグランドオープンしました。代表の柳川康志さんは、美容室も経営。バーバーを立ち上げるにあたり、開業場所や集客方法など美容室での経験が活かされているといいます。どのような形で店づくりに反映させたのか。その戦略やこだわりについて伺いました。
原点にかえり、バーバーにチャレンジ。
約2年の準備期間を経て本格オープン。
抜けるような青空を思わせるブルーに塗り上げた外壁。窓の上にかかるシェードは紅白のストライプで、その鮮やかなコントラストが道行く人々の目を惹き付けずにはいられない。「RIPPERS」があるのは北堀江の四つ角という好立地。玄関先で大型のサインポールが回っているので、今年1月末に新しくできたこの店がバーバーであることは誰の目にも明らかだ。「本格的な営業は路面店でと決めていました。ひと目でバーバーとわかる外観にすることも」と柳川さん。店をオープンしたのは、実は2年前。ビルの4階という今とは真逆の環境で、スタッフを育成しながら理想的な物件との出合いを待っていた。
美容室の経験を活かしたバーバー経営。
柳川さんがバーバーを開業するまでの経歴はちょっとユニークだ。理容師を目指してこの業界に入るものの、やがて美容師に転身。「リーゼントが好きで理容業界に入ったけれど、当時は美容師ブームで美容師のほうがモテたので」と笑うが、似て非なるふたつの世界を幅広く学びたかったという。そして12年前に美容室「TITY」を開業して独立。近年、国内外でバーバーが注目され始めたことから、満を持して「RIPPERS」を立ち上げた。理容から美容の世界に移り、独立して成功。再び理容の世界に戻って新たな勝負を挑むわけだが、そうなったのも美容を経験したからこそ。「美容室を経営することで多くの気付きがあった。それらをバーバーで活かしたい」と柳川さんはいう。
シンプルな経営で長く愛される店を目指す。
路面店にすることで、スタッフの負担を軽減。
では、どのようなバーバーにしたいのか。「一言でいうと、普通にやってメシが食える店ですね」と柳川さん。路面店へのこだわりがそのひとつ。「店の前を通って、気になって入ってみる。その感覚は商売の原点だと思うし、地元に根付くためにも大切なこと。長く続けていくためには必要な環境だと考えています」。美容室経営でよく問題だと感じていたのが、スタッフが集客のためにクーポンを作ったり、SNSで発信したりすることに時間を割かれてしまうこと。「集客に工夫は必要だけれど、スタッフが人集めをしなくてもいい店にしたかった。そのために大事なのは、あの場所で髪を切りたいと思わせる空間をつくること。箱づくりへのこだわりは集客に直結しますから」。
お客さまが共感できるインテリアに。
店のデザインコンセプトは温故知新。元々昔ながらの価値観を大切にする柳川さんだが、古き良きものをそのままインテリアにするのではなく、そこに今のフィルターを通してから取り入れていく。例えば、壁に飾られたモノクロの写真はレトロな雰囲気だが、実は若手のアーティストが大阪の街を切り取ったもの。逆に一見新しく見える革張りのバーバーチェアは、タカラベルモント製の年代物だ。「どこか古くて新しいだけでなく、日本人のアイデンティティーも感じられる空間。幅広い人に共感してもらえると思います」。路面店の鮮やかな外観で道行く人の興味を引き、店に入れば居心地のよい空間で再来につなげるイメージを描く。ちなみにカットのお客さまの場合、柳川さんがひとりにかける時間はシャンプーを含めてわずか30分程度。効率よく回転させるのも「普通にやってメシが食える店」にするため。美容室とは異なるシンプルな経営方針で、長く愛される店になることを目指している。
代表インタビュー
Q.想定しているのはどのような客層ですか?
A.年代などにこだわりはありません。
バーバーは男の人を整えて、かっこよくして帰っていただく場所。今のところ30歳前後のお客さまが中心ですが、髪型をマメに整えたい人でしたら、年代にかかわらず気軽に来てほしいですね。最近の北堀江は外国人の往来も増えています。路面店のメリットを活かし、外国人客の割合も増やしていきたいです。
Q.メニューの工夫はありますか?
A.シンプルであることを意識しました。
メニューはカットをベースに、シェービングやカラーを追加していくスタイル。誰にでもわかりやすい形にしたのは、路面店として飛び込みで来てくれるお客さまを増やしたいから。最近はクリッパーを使うスタイルのオーダーが多いのですが、日本の理容師としてハサミでのカットも大事にしています。サロンでの経験を活かし、理容と美容のいいところを取り入れたスタイルを作れるのが強みですね。
Salon Data