PEOPLE.08 ROLAND 実業家、ホスト
俺も、俺以外も。 ホスト業界の「負」を変えてみせる。
Profileプロフィール
ローランド●1992年、東京生まれ。大学に入学するもすぐに中退し、18歳でホストデビュー。下積み時代を経て才能を開花させ、2013年には史上最高額の移籍金で人気ホストクラブに引き抜かれる。2018年には個人売上・月間6000万円を記録。2019年1月に独立してホストクラブ「THE CLUB」オーナーに。さらに美容品のプロデュースやメンズ脱毛サロン、アパレル事業も手がけるなど、実業家としても活躍。
http://roland-official.com/
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成功するのに大切なのは、「ちょっと素敵な勘違い」。
千葉
(ホットペッパービューティーアカデミー・アカデミー長)
今年1月に独立されてご自身のホストクラブを経営されるなど、最近は多岐にわたるビジネスをされています。現在の活動について教えてください。ROLAND
今も店には毎日出勤しています。そのほかに僕が開いたメンズ脱毛サロン「ROLAND Beauty Lounge」に行ったり、美容商品の開発をしたり…。でもベースはホスト業界なので、そこはぶれない。プラスαで美容関連の事業をいろいろとしています。
千葉
ビジネスの調子はいかがですか。
ROLAND
ベンチャーなので、ミスを恐れずにやっていこうという気持ちでいます。従業員には「お前らがミスしても俺が何とかしてあげるから、アグレッシブに行け」って指導をしていて。まだまだみんな粗削りでミスもあるけど、店のほうは「初月でこんなに!?」ってくらい売上は出せています。
千葉
事業の一つとして、ヘアオイルなど美容商品の開発もされています。美容分野に注目された理由は?
ROLAND
自分が興味あることは何でもやりたいから、というのがまずあります。起業する理由って、夢だから、稼ぎたいから…、と人によっていろいろでしょうが、僕はプライオリティをお金に置きたくない。ビジネスマンというより職人気質なんです。自分が納得するものを自分勝手に市場に提供して、それをみんなが気に入ってくれたら嬉しいし、気に入らなくてもいいじゃないかって考える。
だから今後一生、困らないぐらいのお金を貯めてからビジネスを始めました。幸いホストは20代にしては稼げる仕事なので、しっかり貯めて、そのあとにやりたいことをやっていく人生を歩もうと思ったんです。念頭にあるのは、自分が来たい店、ほしい商品。市場の需要は気にしないし、やりたくないことはやりません。
千葉
そうした考え方はいつから?
ROLAND
お金を身近に体感する業界にいたせいか、「お金を追い求める姿はハングリーで、よくもあるけど、少し滑稽だな」って。お金に振り回される人をたくさん見てきましたから。だから「ノーと思ったものは、ノーと言える人生でいたい」とホストをやるうちに考えるようになって。
そのためにまずはお金を貯めて、やりたいことをやっていこうと思うようになりました。
千葉
現在の華やかな姿からは想像できませんが、売れっ子になる前は「節約のために安くてカロリーが摂取できるものを選んで買っていた」といった話が著書にありました。厳しい時代も逃げずに乗り越えられた、モチベーションの源泉は?
ROLAND
僕はもともとサッカーをしていて、プロになりたかったのになれなかった劣等感がありました。でも負けん気が強い性質なので、このまま終わりたくない、終わらないと思っていたからかな。
なぜかわからないけど、幼い頃からずっと「自分は特別な人間なんだ」という思いがあったんです。俗にいう中2病みたいですけど(笑)。それが高1、高2…、その後もずっと続いていて。自分は特別だ、なんて言うと引かれることがあるけど、これってすごく大事な考えだと思うんです。
「俺なんてどうせ…」という考え方は自分をせばめることになる。そうじゃなくて、「俺って青天井だわ」と思って行動すると、行動の質も変わるよね。
千葉
「自分ならできるという気持ち」と、加えてゴールに向けて努力できるストイックさを持ち合わせていますね。
ROLAND
「ちょっと素敵な勘違い」ができるのって、成功するには大切。僕は売れない時代から「自分は最高水準の接客をしている」と思ってきました。いいものが常に売れるとは限らない、あとあといいものだって気づくこともある。
だから売れてないときも「いまは自分のよさが気づかれてないだけ」って考えていました。
千葉
ポジティブですね!
ROLAND
ただ、“自信”と“過信”って似て非なるもの。自信が持てるくらいの行動というか、バックグラウンドはつくってきましたよ。
たとえば接客方法もクール系を気取ってみたり、寡黙にしたりと、いろいろ試しました。
それを一般的には努力っていうのかもしれないけど。自分にとっては、単なるクセみたいなもので…。努力っていうのは、自分にとってトゥーマッチだから“努力”と感じるわけで。女の子にモテたい、売れっ子になりたいっていう想いからやっていたので、「努力した」とは思いませんけどね。