2
間違っていたら言ってくれ。なぜなら俺は、向上心のあるナルシストだから。
千葉
ホスト界でナンバーワンになって、独立して経営者になりました。美容業界にもあるのですが、プレイヤーとして成功しても経営者として成功するとは限りません。ROLANDさんは経営者になって苦労は感じますか。
ROLAND
有名プレイヤーが店を出してもうまくいかないことは、ホスト業界でも多くあります。そういう先行事例を見て、なぜだろうって自分なりに分析したんですね。それで思ったのは、プレイヤーの才能があると早くから売れるんですよ。すると悩む時期が少なくなる。
でも、売れないとああしてみよう、こうしようって試行錯誤します。自分も売れない時期があって、その頃は売れっ子がうらやましかったけど、今となっては苦労した1~2年間が自分の糧になっています。
思い悩む新人の気持ちにもなってあげられる。でも才能がある人だと売れない人の気持ちがわからず、温度差がある。それがマネジメントにも響くんでしょうね。
千葉
なるほど。
ROLAND
僕はプレイヤーとして8年間働きましたが、いまは経営者という違う仕事になったので「1年生」の気持ちでいます。でもプレイヤーとして成功した人って、「9年生」だと思いがちなんじゃないでしょうか。
1年生なら失敗したら「よし、勉強して改善しよう」と思えるはずなのに、9年生気分だとそうならない。だから僕は1年生の気持ちで、自分をいましめるようにしています。
千葉
素晴らしい考え方ですが、そう思えたのは最初から?
ROLAND
独立するときに、周りの人たちが「どうせすぐに潰れるよ」ってあまりにも言うから怖くなっちゃって(笑)。なぜ失敗するのかを分析してみようと思ったんですよ。
1~2年目の新人ってすごく伸びるけど、社長がその勢いで成長するかっていうと、そんなことない。なぜなら周りがイエスマンばかり、ノーと言う人がいないから。
だったら、社長になっても「ノー」と言ってくれる人を周りに置けば成長できる。
だからスタッフに伝えているんです、「もし俺が間違っていると思ったら遠慮せずに言ってくれ。なぜなら俺は向上心のあるナルシストだから」って。
千葉
経営者としてうまくいかず、苦しんでいる人もいます。そんなとき、気分を前向きにするにはどうしたらいいでしょう。
ROLAND
ミスしたってことは、改善したらもっとよくなれるってこと。自分は自信にあふれるくらいに素晴らしい人間だと思っていたのに、それでもミスしたってことは、もっと成長できるんですよ。だからワクワクする。
「まだミスできるんだ!ここまで極めたつもりだったのに」って考える。落ち込む必要はありません。
千葉
現在は20名以上のスタッフを抱える立場ですが、マネジメントするうえで失敗はありましたか?
ROLAND
店をオープンして2カ月くらいのとき、ルールを破った子がいました。それで僕はダメだよって伝えるときに、かなり強く怒ったんです。そうしたら、その子は辞めてしまった。いま考えると、もう少し伝え方があったんじゃないか?と反省しています。
一人ひとり個性ってあるじゃないですか。その子の育ってきた環境までリスペクトして、伝え方を考えなきゃなって。
千葉
後輩や部下を育成する際、自分のコピーを作りがちで、自分のようにはできない部下に対して歯がゆく思うことも少なくありません。そのあたり、ROLANDさんは?
ROLAND
まず、ROLANDと同じことをさせようとは思わない。なぜなら、できないから。でも反対に、みんなにしかできないこともあります。
仕事に対するホスピタリティは伝えたいけど、何もかも俺の猿マネをしろよとは言いません。一人ひとりの個性を尊重して、指導していけたらなって思います。
千葉
先ほど「スタッフの育ってきた環境までリスペクトする」という話がありました。どうしたら、相手の気持ちを尊重できますか?
ROLAND
まず自分を大事にできないやつは、人を大事にできないんです。僕は自分が大事だから、相手も大事にできる。
たとえば大切な服をクリーニングに出して、きれいに仕上げてくれたら嬉しいし、相手に感謝するでしょう。どうでもいい服だったら、どうなろうと構わない。
だから僕がこんなに大好きな僕によくしてくれる、従業員のみんなのことも超大事に思えるってだけです。