ファンを作るサロ友
ファンを作る「サロ友」とは?
少子高齢化でお客さまが減る中、リピート客獲得がより重要になっています。
そんな中、「顧客同士のつながり」を生み出すことで「サロンのファン」を作る…「サロ友」についてご紹介していきます。
JEANA HARBOR(東京都港区)
「担当美容師が同じ」女性客たちの
異業種交流会とは?
表参道の交差点から徒歩約7分。「JEANA HARBOR」は、南青山の閑静な裏通りに佇むヘアサロンです。
こちらでトップデザイナーとして活躍する後藤ユースケさんが、女性のお客さまを集めて異業種交流会を始めたのは約3年前。会は好評を博し、「同じ美容師に切ってもらっている仲間」という新たなコミュニティが続々と生まれています。
取り組みへの想いや今後目指すところとは?後藤さんに伺いました。
こちらでトップデザイナーとして活躍する後藤ユースケさんが、女性のお客さまを集めて異業種交流会を始めたのは約3年前。会は好評を博し、「同じ美容師に切ってもらっている仲間」という新たなコミュニティが続々と生まれています。
取り組みへの想いや今後目指すところとは?後藤さんに伺いました。
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自分というフィルターを通した、異業種交流会をスタート。
お客さまとの会話がイベントのきっかけに。
後藤さんのもとへ通うお客さまは、20代半ばから30代半ばの女性がメイン層。親しみやすい人柄が評判で、友だちのように会話を楽しみに来るお客さまも多いという。そんな中、ひとりの女性客から「25歳を超えてから、同性の友だちができにくくなった」という相談が。「巷で行われている異業種交流会にはどんな人が来るかわからないから怖い、というので、僕のお客さま同士で女子会を開くことを提案しました。信用のある美容師のフィルターを通した集まりならば、不安を感じないのではないかと考えたからです。美容室にはさまざまな職業のお客さまが来店し、僕らは毎日異業種交流会に参加しているようなもの。そんな美容師としての人脈が、お客さまの役に立つのではないかとひらめいたんです」と後藤さん。
女性たちのコミュニケーション能力で初回から大成功。
まず開催日を決めてから、お酒好きな人など数名のお客さまに声をかけ、集まったのは全9名。後藤さん以外は全員が初対面ながら、女性ならではの高いコミュニケーション能力とお酒の力であっという間に場は盛り上がり、打ち解けた雰囲気に。その後も、1回目の女子会に参加できなかったお客さまを集めた2回目、そこにも出られなかったお客さまのための3回目と開催を重ね、スタートから3年目となる今夏で14回目を記録した。「参加したお客さまたちは友だちになって、一緒に合コンへ出かけたりしているみたいです。一度集まったメンバーで2度目の女子会をすることもありますし、30代だけで集まる会など新たな企画も生まれています」と後藤さんは話す。
2
メンバー選定に気を配り、トラブルを防止。
会を盛り上げるポイントは、参加者の多様性。
当初に気を付けていたのは、同業種のお客さまを呼ばないこと。勤務先が競合の会社だった場合、お互いに話がしづらい状況も起きうる。「和やかな場を提供できるように人選には気を使っていましたが、僕のお客さまは幹部を務めるような年代ではないので、影響はほぼないことに気が付きました。なので、最近はあまりこだわっていません」と後藤さん。とはいえ異業種交流会というからには、業種や職種のバリエーションは重要。「表参道というサロンの立地によるものだと思うのですが、僕のお客さまには、有名テーマパークのダンサーや気象予報アプリのキャスター、タレント事務所のマネージャーなど、特殊な仕事をしている人が多くいます。そういう普段は接点のない人とも出会える場として、いろんな職業のお客さまたちに楽しんでもらいたいですね」。
いち美容師としてのトラブル防止や失客リスク管理も。
20代半ば~30代の女性たちが集まる華やかな女子異業種交流会に、男性は毎回後藤さんひとりだけ。そこには危機管理のこだわりがある。「男性のお客さまを交えて開催すると、女性のお客さまと恋愛が始まることも。交際が順調ならこちらも嬉しいのですが、もしうまくいかなくなった場合、ふたりとも店に来なくなってしまう可能性があります。それは避けたいので、女性限定の会と決めて開催しています」と後藤さん。その甲斐あって、これまでに女子会におけるトラブルはゼロ。参加したお客さまが店に来なくなるような事態も一度もないという。
3
大事なのは、目に見える数字ではなく期待と信頼。
周囲の反応が前を向くパワーに。
女子会が順調に回を重ねる中、お客さまのリピート率や新規客の獲得などに大きな影響は見られないが、周囲からの反応は上々。「SNSで女子異業種交流会について発信していたら、美容業界はもとより、さまざまな業界の人から『面白そう!やってみたい!』と反応があったんです。せっかくみんなに興味を持ってもらえているのだから、続けてみようかなと。いずれこの会から何か新たな話題を生み出せたらいいですね」と後藤さんは微笑む。
お客さまと生涯つながっていける関係を築く。
3~4カ月に1回の間隔で、3年もの間続けてきた女子異業種交流会。その成果を、「信頼の構築」だと後藤さんは話す。「僕は美容師ですが、今ハサミを持っていなくても、自分が求められる場所があるということが嬉しいです。なぜならいずれ美容師を辞める時がきても、大事なお客さまたちとずっとつながっていたいから。そのために必要な信頼を、女子異業種交流会など僕にしかできない方法で、今後も積み上げていきたいと思っています」。
トップスタイリストインタビュー
Q.今後、取り組みたいと考えていることはありますか?
A.今携わっている複数の「点」をつなげて、大きなものを生み出したい。
女子異業種交流会もそうですけど、今いろいろな取り組みをして「点」をつくっているので、それらがどこかでつながったら面白いかなと思います。最近だと、僕のお客さまに有名なサイエンスプロデューサーに師事している方がいて、その方の独立を記念して、美容とかけ合わせた何か面白いことをやってみようと計画していたり。一つひとつは無関係に見える僕の興味の「点」が、急にくっつき出して何か大きなものが生まれたら面白いなと。「いずれこれをやろう」と布石を打っていくよりも、ひらめいた時にすぐに実行するのが僕のスタイルです。
Q.接客ではどんなことを心がけていますか?
A.お客さまにとって、スナックのママみたいな存在を目指しています。
美容師って、恋人や家族ほど近い存在ではないけれど、2カ月に1回くらい必ず会うことになりますよね。そのほどよい距離感のおかげで、他では話せないこともいろいろ話しやすいみたいです。特に僕の場合、子どもの頃に転校が多かったからか、人と仲よくなるのが得意なんです。なのでお客さまとの距離感がかなり近めで、仕事の愚痴とかも楽しく聞いています。今ははやりのヘアスタイルや最新技術も、SNSなどで情報収集できる時代。どこで髪の毛を切ってもそんなに変わらないと思うんです。そんな中でお客さまがわざわざ僕を選んで、足を運んでくれることが嬉しい。目指すのは、スナックのママみたいな存在ですね。
Salon Data
JEANA HARBOR【ジーナハーバー】
- アクセス
- 東京メトロ表参道駅A4出口から徒歩5分
- 創業年
- 2013年
- 設備
- セット面10席
- スタッフ数
- 10名