ファンを作るサロ友
ファンを作る「サロ友」とは?
少子高齢化でお客さまが減る中、リピート客獲得がより重要になっています。
そんな中、「顧客同士のつながり」を生み出すことで「サロンのファン」を作る…「サロ友」についてご紹介していきます。
喫茶と美容室 茶の間(埼玉県さいたま市)
シニア向け地域サロンとして生まれた、喫茶&美容室とは?
さいたま市の新大宮バイパス沿いに佇む「喫茶と美容室 茶の間」はその名の通り、カフェと美容室の複合施設。ゆるめの書体で「茶の間」と記された円形の店舗は大きな窓が開放的で、ひと休みに思わず立ち寄りたくなる雰囲気です。運営するのは、全国33カ所に歩行訓練特化型デイサービスを展開している「リハプライム」。当初はシニアのお客さまをターゲットに、地域の憩いの場としてこちらの施設を開設したといいます。
オープンから2年が経つ今、喫茶と美容室は地域の人々にどのように利用されているのか。経営戦略室室長の木村さんにお話を伺いました。
オープンから2年が経つ今、喫茶と美容室は地域の人々にどのように利用されているのか。経営戦略室室長の木村さんにお話を伺いました。
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「シニア層が通いやすい美容室」を目指してオープン。
シニアのお客さまの声を汲んで、新事業をスタート。
デイサービスを手掛ける「リハプライム」が、新事業である喫茶と美容室をオープンしたのは2018年の1月。きっかけとなったのが、お客さまたちから聞こえてくる声だった。「デイサービスの利用者さまたちにヘアカットの場所について尋ねたところ、『家の近くに美容室はあるけれど、若い人向けの美容室は気を使ってしまうので気軽に行けない』というお悩みが多かったんです。ならばシニアの方が通いやすい美容室を作ろうということになりました」と木村さん。さらに「お客さまがキレイになれるその場所を、地域の人の憩いの場にもできれば」という提案が生まれ、喫茶を併設することになった。
気を付けたのは、「シニア向け」を前面に出さない店づくり。
店づくりにおいてこだわったのが、シニア向け施設であることを感じさせないデザインとインテリア。温もり漂う木の家具とグリーンがセンスよくコーディネイトされた喫茶には、大小のテーブル席の他、カウンター席やゆとりのある小上がり席も設置。美容室はスペースを贅沢に使い、各席間に開閉式のパーテーションを配置した。これによりゆったり落ち着いて施術を受けたいお客さまには、パーテーションを閉じて個室として利用してもらうこともできる。店内各所には「喫茶と美容室のつながり」や「地域と人のつながり」をイメージした毛糸の飾りが配され、おしゃれながらもほっこりと癒やされる空間を演出している。
「シニアのお客さまも、シニア向けというのを前面に出しているお店には入りたくないはず。一見普通のお店でありながら、シニア向けの設備がしっかり整っていることが注力したポイントです」と木村さん。
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喫茶と美容室の両方で、家族や夫婦の絆をつなぐ。
オープンしてみると、30~50代がメインの客層に。
デザイン性も設備も揃えていよいよオープンしたところ、美容室には40~50代の女性が多く来店するようになり、近くの大学に通う10代の学生から90代の車イスのお客さままで、幅広い客層を得る結果に。一方で喫茶は30~40代の子ども連れのお母さんグループがメインの客層になった。「シニア層に向けてつくったユニバーサルデザインの施設ながら、若い方や健康な方などにも満足していただける空間だった、という発見が得られました」と木村さん。
喫茶と美容室がひとつ屋根の下にあることでの相乗効果も。
「喫茶と美容室 茶の間」は入口側が喫茶スペースで、奥に美容室が広がっている。その造りから、喫茶の利用客が窓の向こうの美容室に興味を持ち、ヘアカットのために来店するようになることがしばしば。逆に美容室の利用客が、施術後に喫茶でひと休みしていくことも多い。喫茶の小上がり席には絵本が備わり、窓ガラスに絵を描くこともできるので、子どもをそこで遊ばせながら美容室を利用するお母さんも。シニア夫婦が一緒に来店し、妻がカットをしている間、夫が喫茶でゆったり休憩している姿もよく見かけられる。「ご家族やご友人と一緒に両方の施設を楽しんでいただけているのは、嬉しい限りです」と木村さんも微笑む。
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イベントで地域の交流を促進する。
バリエーション豊かな店内イベントを定期的に開催。
喫茶スペースでは開店当初からイベントも開催。月1回のマルシェ(市場)から始まり、最近では簡単な体操と歓談を楽しむ「サロンちどり」や「大人の塗り絵・絵手紙教室」などシニア向けイベントの他、子ども向けの「お絵描きキットパス教室」や、育児中の女性を対象にしたセミナー「子どもと食育」「ほめ達!forママ」など幅広い。木村さんいわく「定期的にお店へ足を運んでいただきたいので、コンスタントな開催を心がけています。今年の10月からはさらに力を入れるようになり、月に20回ほどに数を増やしました。さまざまなイベントを企画しているので、好みに合うものを選んで、楽しい時間を過ごしていただきたいと思っています」。参加人数は人気イベントで10名前後。友人を連れて参加するお客さまもいるという。
イベントを通じて、「憩いの場」が実現の兆し。
イベント参加者は地域の人々なので、複数の知り合い同士が顔を揃えることも珍しくない。シニア向けイベントでは、初対面同士でも、隣に座ったことをきっかけに会話が生まれることも。「お客さま同士の交流といえば、10月からスタートした『夜サロン結(ゆい)』というイベントがかなり好評のようです。地域のシニアの方々に、伝統的なお話やひと昔前のお話を聞かせていただく会なのですが、17時~19時まで開催のところ、盛り上がって21時くらいまで続いてしまうこともあるとか。お話を楽しむ会なので、参加者同士が関わりやすい雰囲気があるのでしょう」と木村さん。オープン当初に目指していた「地域の人の憩いの場」という喫茶の役割が、イベントを通して実現できてきているようだ。
経営戦略室 室長インタビュー
Q.「リハプライム」とは、どのような会社なのですか?
A.シニアのお客さまの在宅生活をサポートするサービスを展開しています。
弊社の経営理念は、「介護」ではなく、敬って護る「敬護」。人生の先輩であるシニアの方々の誇りを守り、生きがいを創ることを目的に、歩行訓練専門のデイサービス「コンパスウォーク」を展開しています。そこを軸にして進めているのが、「コンパスヴィレッジ」という地域包括ケアの仕組みづくり。全国に展開している「コンパスウォーク」の周辺に、訪問看護や介護タクシー、24時間型巡回ヘルパー、個別対応型福祉用具などのサービスを配し、シニアのお客さまの在宅生活をサポートしています。その一環として、地域サロン「喫茶と美容室 茶の間」をオープンしました。
Q.「喫茶と美容室 茶の間」で今後、取り組みたいと思われていることは?
A.もっとお客さまとの距離が近くなる仕組みづくりを考えています。
スタッフがお客さまと接する時間をもっと増やせるように、新たな仕組みを考えていきたいと思っています。例えば喫茶のメニューの場合、調理に時間がかかってしまうと、お客さまと関われる時間が減ってしまうことに。提供方法やメニュー内容を変えて、もっとサービスを充実させていきたいですね。また、この喫茶を記念日などお祝いの席にも利用していただきたいので、そういったサービスを提供している近隣の業者の方々との連携も模索しています。美容室としては、シニアのお客さまが手軽に来店できるように、送迎サービスなども検討中です。
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