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訪問美容~データ&実例編~

超高齢化社会を迎え、サロンの潜在市場として注目される “訪問美容”。
データや実践事例を交えて訪問美容の可能性について考えていきます。

vol.32

実例編撮影スキルを訪問美容で活かす!

関西、東京、名古屋でチェーン展開するデザイナーズサロン「 K-two」でトップスタイリストとして活躍する植岡雅治さん。自分独自の強みをもつ為に、早くからカメラの勉強をしてサロンのホームページ用の撮影なども行ってきました。新たな強みとしてめざしたのが訪問美容。しかし、コロナ禍もあり、その道は平坦ではなかったと語ります。植岡さんが訪問美容を始めるまで、そしていまについて語っていただきました。

add by K-two

  • 全スタッフ10名
  • 18店舗
トップスタイリスト:
植岡雅治さん
訪問美容開始:
2020年
訪問施設数:
1施設(1回の訪問で約10〜19名)
施設訪問頻度:
1カ月に2回
訪問スタッフ:
兼任2名
価格:
カット3,500円〜、パーマ6,000円〜、カラー6,000円〜

Q

なぜ訪問美容を始めようと考えたのですか?

A

自分の今後のキャリアを考えて強みを増やしたかったからです。

すでにもっていた撮影技術と組み合わせられる強みを考えました。

スタイリストとして年齢を重ねていくうちに、美容師として、サロンでの施術以外の強みをもつ必要性を感じ始めました。「トレンドのデザインだけできればいいのだろうか?」と。もともとカメラが好きで、ちゃんと勉強してサロン用の写真を撮ったり、他の美容師に撮影を教えるセミナーもやっていました。「カメラ以外にもうひとつ武器がほしい」と考え、撮影ともリンクできる新たな道を探してみました。それまでの撮影は、若いモデルさんやお客さまの写真がメイン。今まで自分が撮影したことがない分野で、記念になる写真を撮ったら喜んでもらえるのは誰かを考えたとき、高齢者の方々が思い浮かんだのです。「施術もしてキレイにしてさしあげて、撮影もできたらいいな」と、訪問美容に興味をもちはじめたのです。それでも、一昨年くらいまでは頭で考えているだけで、行動に移すことはしていませんでした。

一歩踏み出すきっかけとなった「訪問美容ゼミ」。

想いを行動に移すきっかけとなったのが、ホットペッパービューティーアカデミーの「訪問美容ゼミ」の2期生募集でした。訪問美容をやりたいと思ってからいろいろネットで検索はしていましたが、動き出すまでは半年くらいかかりましたね。実は昔、アシスタント時代に訪問美容の別の講習を受けたことがありました。有料でしたが1日だけの座学で、関連する法律や技術について教科書で学ぶ内容でしたが、身についた感じがしなかったのです。正直、「訪問美容ゼミ」は「無料だから受けてみよう」くらいの気持ちでした。でもそれが、一歩踏み出す大きな機会になりました。

  • 「2018年の末頃から訪問美容に興味をもったものの、翌年の4月に『訪問美容ゼミ』を見つけるまでは行動に移せなかった」と語る植岡さん

Q

「訪問美容ゼミ」に参加して何がよかったですか?

A

知識だけでなく、心構えが変わるきっかけになりました

実際の動き方、人に頼っていいことを知ることができました。

「訪問美容ゼミ」に参加して驚いたのは、営業をしなくては始まらないということでした。当たり前のことなのですが、以前参加した講習ではそうした「実際に動くためにやらなくてはいけないこと」は教えてくれなかった。普段サロンで勤務していると、自分から営業に行くことはなく、ホットペッパービューティーなどに掲載して待っていればお客さまが来ますよね。サロンワークと訪問美容は全然違うということを、改めて知ることができました。
また、「K-two」ではサロンとして訪問美容をやる予定はないため、個人としてひとりでやろうと思っていました。けれど、ゼミの講師の方々から「ひとりでは無理。頼れる人には頼って、助けてもらえる人を見つけることもスキルのうち」と言われました。訪問美容を進めるなかで、この言葉の重みを痛感することになりました。

  • 営業に行くことだけでなく、営業ツールの作成方法もゼミで学んだことのひとつ。グループ会社向けのチラシには K-twoのロゴを使用

  • 昨年の6月にスタートし、今年の1月に終了した第二期「訪問美容ゼミ」。踏み出すきっかけとなり、知識や新しいことに挑むマインドを学べた

Q

実際に訪問美容に向けて動き出してどうでしたか?

A

壁にぶつかったときに、「人」のありがたみを感じました。

営業に苦戦する中、社長からの思わぬ手助けが。

営業を始めてみて、「こんなにも相手にしてもらえないんだ」と知りました。施設に電話をかけても「忙しい」とほとんど取り合ってもらえませんでした。
私の会社からも訪問美容をやることに最初は反対されました。デザイナーズサロンとしてのイメージとは違うこと、サロンと同等の価格での施術が見込めないことなどが理由です。なので、サロンの休みの日に個人の活動としてやることにして、許可をもらいました。しかし、実は「K-two」の系列会社の中に介護施設があり、営業に苦戦していたある日、社長が施設長の方を紹介してくれたのです。
その施設には別の訪問美容業者が入っていましたが、そこよりも優れた点があるならというお話でした。それで、私が撮影を得意としていることをお伝えして、事前に利用者さま向けの撮影会をさせていただくことになったのです。有料でしたが、3組のご家族にお申し込みいただきました。それが好評で契約いただくことになりました。

  • 撮影会で撮った利用者さまたちの写真。素敵な笑顔で喜んでいただけた

サロンの他店舗のスタッフも力を貸してくれた。

施設との契約にあたってもうひとつ条件がありました。以前の業者さんがしていた顔そりもメニューに入れることでした。私は美容師免許しかなかったので「どうしよう」と思ったとき、「K-two」の別店舗に理容師免許ももっているアシスタントの中島くんがいたのです。彼に声をかけて、一緒に行ってもらうことになりました。
中島くんには顔そりやシャンプーだけでなく、利用者さまとのコミュニケーションでも助けられています。利用者さまが不意に握ってきた手を握り返してさしあげるなど、高齢者の方への接し方がやさしく、自分も見習わなければと思うほどです。もともと訪問美容を志していたわけではないのに、こうしたコミュニケーションスキルの高いスタッフに恵まれたことはありがたいですね。

  • 「K-twoあべのキューズモ-ル店」に勤務する中島直海さんと。中島さんの技術とコミュニケーション能力に大きく助けられているという

ピンチヒッターとして妻にも助けられました。

訪問美容スタートの試練はさらにありました。施設から契約をいただいた直後に新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が出されました。予定していた4月からの訪問ができず、6月からようやく行けることになりました。本来は月に2回の予定だったのが、緊急事態宣言中に利用者さまたちがカットができなかったため、最初から大人数の施術を、月3回行かなければならなかったのです。
中島くんには月2回でお願いしていたため、残りの1回を急きょ、他の介護施設で看護師をしている私の妻に同行してもらうことにしました。顔そりはもちろんできませんが、大人数の接客をするのに助かりました。慣れない自分がひとりでするのは難しかったので、妻には感謝しています。
ひとりでできると思っていた訪問美容ですが、このように、社長、中島くん、妻と、いろいろな方の力がなければできませんでしたね。「訪問美容ゼミ」の講師の方の言葉をようやく実感できました。

Q

実際に訪問美容をやってみていかがですか?

A

大変ですが新しいスキルが身についていく実感があります。

いきなりの大人数の施術で思うように進まないことも。

コロナ禍の中でのスタートだったので、私の訪問美容の入り方はイレギュラーかもしれません。初めての訪問でいきなり15名のカットをすることになり、段取りに苦労しました。シャンプー台は施設にあるのですが、カットする場所への移動は我々にはできないため、その都度職員の方をお呼びしなければなりません。その間、利用者さまをお待たせするなど、思うような流れでできないことが大変です。経験を積みながら、段取りよくできるようになっていきたいです。

いくつになっても学べることがあると気づきました。

大変な中でも、訪問美容をやってよかったのは、利用者さまが本当に喜んでくださることです。言葉が話せない方から、施術後に拝むように感謝の気持ちを示されたことがありました。今まで生きてきて人から拝まれたことは初めてだったので、そのお気持ちがうれしかったですね。
段取りも、施術の方法も、利用者さまの反応も、初めて経験することばかり。この年齢になって、技術も接客コミュニケーションも自分はまだまだだと感じつつ、今までなかった新しいスキルが身についていくことを実感できます。

  • コロナ禍で予定外のスタートとなったが、その分、利用者の方々が、施術を心待ちにしてくれていた

Q

今後はどうしていきたいですか?

A

個人の在宅訪問もやってみたいです。

サロンの休みの日に、さらに訪問箇所を増やしたい。

いまはまだコロナ禍の影響がつづき、イレギュラーの訪問回数や人数になっていますが、落ち着いてきたら施設をもう1件増やしたいです。サロンの定休日が月4回あるので、いまの施設が月2回のペースになったら、もう1件行けます。また、自分の休みは月8回あるので、施設訪問以外の休みの日は、在宅の方への訪問もやってみたいですね。自分のやりたいことをやって新しいスキルを得ることにもなるので、休みが減ることは苦ではないです。家族も理解してくれているので、これからもがんばっていきたいです。

  • 3児の父でもある植岡さん。「子どもたちからも『よう働くなあ』と言われています」と嬉しそうに語った

植岡さんからひとこと

同じ「1」増えることでも、「1+1」が2になることより、「0+1」が1になることの方がずっと大変です。自分もそうでしたが、新しいことを始めるときに、頭の中で考えることはできても、それを実際に行動に移すこと自体が一番の壁です。やるかやらないか、動かなければゼロはいつまでたってもゼロなんですよね。一度やり始めれば1は2にも10にも、いくらでも増えていきます。私が「訪問美容ゼミ」を見つけられたように、みなさんも「これならできそう」と思ったことがあったら、とにかく行動に移してみることだと思います。

Salon Data

add by K-two【アッド バイ ケーツー】

アクセス
地下鉄なんば駅から徒歩3分
創業年
2013年(add by K-two)
店舗数
18店舗(グループ全体)
設備
セット面9席
スタッフ数
10名(add by K-two)
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