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イノベーターが
見ている未来

vol.58

確固たる世界観を持ち、新しい取り組みをしている「次世代リーダー」へのインタビュー。
その取り組みと背景、そして未来についての展望をうかがいます。

siki

磯田 基徳さん (age.32)

僕らは、自信がない集団。
だからサロンを強くする。

Instagramでの徹底したブランディングで、業界内外問わず話題をさらっているヘアサロン「siki(シキ)」。個人ブランディングに重きが置かれがちな美容業界において、あえて「サロンブランディング」にこだわる理由。そして、その真意とは?

磯田 基徳(いそだ もとのり)さん/siki代表。1988年、埼玉県生まれ。都内2店舗を経て、2017年 東京・表参道に「siki」をオープン(翌年、移転するタイミングで伊藤 竜さんとの共同経営に)。現在はヘアサロンを4店舗展開。またヘアショー・コンテストでの受賞は数知れず、その卓越したクリエイティブでも注目を集める。
※HP
https://siki.myportfolio.com/
※Instagram「@siki.hair」
https://www.instagram.com/siki.hair/?hl=ja

第1章なぜ、サロンブランディング?

「個人の発信力も大事だけど、
ブランド力が必要な時代。」

「siki」は明治神宮前駅から徒歩5分の一軒家サロン。全5フロア、すべて雰囲気が変わる

まず、磯田さんの経歴を拝見して驚いたのは、ヘアコンテストでの受賞歴の多さです。24歳でデビューした3カ月後の「MILBON×sweet ヘアスタイルフォトコンテスト」でも、グランプリを受賞されたんですよね。1700人もエントリーされていた中で、選ばれたとか?

気負いはなかったんですが、“とれてしまった”というか。コンテスト用に撮ったものではなく、サロンワークの延長線上で撮影していたものを送ったら、たまたま選ばれて…。当時はまだ、撮影カルチャーが根付いていなかった頃です。それまでヘアコンテストというと、頭に大きい飾りがついているとか、奇抜なスタイルが多かった。その中で、僕の作品は、わりと自然体だった気がします。

気負わないヘアスタイルというのは、今の「siki」のブランディングにも通じているのですね。インスタ(Instagram)でもいわゆる「siki風」といった世界観があります。

うちは「ナチュラル」というジャンルでブランディングしていて、スタッフみんな「自分たちが、どこに位置しているか」を、わかっています。たとえばブリーチのストリートっぽいスタイルが流行ると、そっちにいこうとしてしまうけど、それだと中途半端になってしまう。僕らはそれを、「ナチュラル」のゾーンに持ってくる。ただマネをするのではなく吸収して、発信するときは「ナチュラルに落とし込んだもの」にします。

「ナチュラル」と「ブリーチ」って、普通に考えたら相性はよくないですよね。ナチュラルがウリのサロンで、もし「ブリーチをしたい」というスタッフがいたら「それは、うちっぽくない」となるかもしれない。でも、僕らは否定しない。「うちっぽくやるなら、こうなるよね」と、やりたいことを導いてあげながら、「siki」っぽさを考えます。

そういったブランディングを、スタッフ全員に浸透させるために、していることはありますか。

現在23名のスタッフがいますが、技術に関してはスタイリストみんなに講師を振り分けて任せています。僕や伊藤が育ててきたスタイリストが多いので技術は染み付いているかなと。僕や伊藤はオンラインサロンを通して教育してきています。

ただ、ブランディングの戦略はあるものの、最近はあえて戦略的にやっていない部分もあります。昔は、撮影用に影響力のあるモデルさんを連れてきたりしていましたが、今はフェイクに感じてしまう。なので、僕がインスタに投稿する写真は、お客さんのポートレート中心。撮影も、スマホメインです。今の時代に求められているのは“リアル”なもの。その髪形が本当にお客さんに似合っているか、素敵かどうかが大切。インスタを見ているお客さんも、ほとんどスマホですよね。それならば発信側も、お客さんの自然体な姿を見せたほうが、伝わると思います。

美容師さんの場合、特にSNSでは、個人ブランディングを重視する傾向にあります。「siki」が、サロンブランディングを大切にするのは?

ちょっと前まで、美容師はSNS=個人の時代と言われていましたが、個人だと限界がある気がして…。もちろん個人の発信力も大事だけど、ブランド力が必要な時代です。「ナチュラルでありながら、説得力とリアリティがある」という、SNSでの共通した「siki」の世界観。そのブランドがしっかりしていれば、仮にスタッフ個人の力が弱くても、「siki」というサロンにいるだけで価値が上がります。

だから僕は、「サロン全体」の雰囲気をものすごく大事にしていて、スタッフも雰囲気のいい子を集めています。そのほうが、サロンとして長く続くと思うので。

雰囲気を大事にするというのは、具体的に?

以前、ごはん屋さんで、こんなことがありました。料理はめちゃくちゃおいしかったのに、料理を運んでくれる人の愛想がよくなかった。そうすると、その店には二度と行かないですよね。美容室も同じで、たとえカットを担当するスタイリストに、お客さんが満足してくれたとしても、シャンプーやカラーをするアシスタントが不愛想だったら、必ず失客してしまう。

なので、常に「美容師である前に、人として」ということを大切にしています。ミーティングで、一人ひとりに「みんなが思ういいお店って?」と聞いたり。道徳的な授業じゃないけど、スタッフ同士で感謝の気持ちを伝える、「ありがとう」を言うとか、基本的なことです。技術やパフォーマンスを上げることも大事だけど、美容師って、結局は“人と人”。そういったサロンの人間関係のよさって、お客さんにも伝わるものだと思います。

  • 「siki」のInstagram。テーマは「日常に彩りを。naturalに、抜け感を。」

  • 「ナチュラルなものは違いが出しにくい。だからこそ小さなクオリティの差が、お客さまに選ばれるかどうかのポイントになる」と磯田さん

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