イノベーターが
見ている未来
vol.61
その取り組みと背景、そして未来についての展望をうかがいます。
ネイルセレクト
三宅 竜司さん (age.49)
大ヒット商品「パラジェル」をはじめとした、ネイル製品メーカーである「ネイルセレクト」。“売れるネイリスト、売れるネイルサロンを作る”をテーマに、ネイリストとネイルサロンをサポートする方針で事業を展開。売上アップ・顧客満足にとどまらない、サロンワーク密接型の教育システムとは?
第1章パラジェルが大事にするもの
「メーカー都合ではなく、
サロンワークにつながる教育を。」
三宅さんは、なぜネイルの世界に?
ネイル業界に入る前は、美容室ディーラーの仕事をしていました。祖父が青森で美容室ディーラー・光美容化学を創業し、その後、父が継いでいて。自分は、美容室の販促・企画などを行うメーカーで仕事の基礎を学んだあと、光美容化学に入社しました。
その時に、ヘア業界は、もうやるべきことは、やっているように思えたというか…。美容室ディーラーは競合が多いぶん、すでに成熟したマーケットだと感じました。一方で、ネイル業界は、まだまだ足りていない部分があるのでは…と。また、当時は「ジェルなのにオフできる」画期的な商品が出始めてきたこともあり、ネイルという業界に大きな可能性を感じました。
そこで、2008年にネイルディーラーをM&Aする形で、ネイルセレクトを設立。将来のために自社商品もつくったほうがいいと、その1~2年後に「パラジェル」が生まれました。
「パラジェル」は、ホットペッパービューティーの検索ワードランキング(ネイル・アイ関連)1位になったこともあるなど、一般の方にも浸透しているイメージがあります。
ありがとうございます。パラジェルは、サンディング不要のジェルネイル。モチが抜群で爪を削らないので、爪を健康に導くことができます。お客さまが「ネイルサロンに行かなくなる理由」って、「爪が傷むから」というのが大きいと思います。なので、それを解決できる商品をつくりました。
また、ネイリストからお客さまへと“口コミ”が広がる仕掛けも。そういった取り組みが、一般の方への認知向上につながったと思います。
取り組みというのは、自社アカデミーですか?
はい。パラジェルを扱うための基礎技術はもちろん、顧客満足アップの方法、サロン運営について学ぶことができる「paragel Academy(パラジェル アカデミー)」です。売上の最大化に貢献するためのサポート・ツールの提案もしており、具体的には「技術売上で月70万円を達成するためのスキル習得」を掲げています。3つの講習を受講し、ライセンステストに合格した認定サロンは、500軒以上にのぼります。
そのように、技術以外の教育を重視するのは、なぜですか?
今から10年ちょっと前、パラジェルが生まれた当時は「サロンワークに密接する」教育システムがなかったんです。どちらかというと、「メーカー都合」のものになっていたというか…。美容学校も同じで、学校で学んだことはサロンワークに直結せず、サロンに入ったらまたイチから教育する必要がありますよね。それはお互いにとって、効率的ではありません。
ネイリストは、「仕上がり重視」の方が多い。生産性を上げるよりも、キレイなデザインをつくりたい志向が強いんです。でも「短時間で仕上げることも、お客さまへのサービス」と伝えたい。パラジェルも「ノーサンディング」という商品そのものの機能はありますが、サロンワークにつながる、生産性を意識した教育を大事にしています。
「パラジェル」が提供するもの、
それは商品以上に“教育”である。