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訪問美容~データ&実例編~

超高齢化社会を迎え、サロンの潜在市場として注目される “訪問美容”。
データや実践事例を交えて訪問美容の可能性について考えていきます。

vol.41

実例編カット3,850円で複数の施設と契約!

髪質改善ができる癒やし系のサロンとして、千葉県の八千代台で人気の「hair C'feel 八千代台店」。スタイリストとして幅広い年代のお客さまを担当する桂圭祐さんは、個人的に興味を深めた訪問美容をやってみたいと決意。営業方法や料金設定などにさまざまな工夫を凝らし、介護施設や個人の契約を獲得して訪問美容を行っています。桂さんが訪問美容に踏み出せたきっかけや現在までの歩みについてお話を伺いました。

hair C'feel 八千代台店

  • 全スタッフ8名
  • 2店舗
スタイリスト:
桂圭祐さん
訪問美容開始:
2019年
訪問施設数:
定期3件、不定期2件(1回の訪問で8名-20名)
施設訪問頻度:
月に1回
訪問個人顧客数:
約10件
個人顧客訪問頻度:
不定期
訪問スタッフ:
1名
価格(カット):
3,850円〜、パーマ1万1,000円〜、カラー1万1,000円〜

Q

訪問美容に関心をもったきっかけは?

A

サロンのお客さまがお店に来られなくなったことでした。

お客さまが来店できないなら、こちらから行ける方法がないか調べました。

新卒で「hair C’feel」に入社し、スタイリストとして幅広い年代のお客さまを担当してきました。八千代台は高齢者の方も多く、体調が悪くなってサロンに来られなくなるお客さまが何人かいらしたのです。「お客さまがサロンに来られないなら、こちらから行ってさしあげることはできないのだろうか?」という素朴な疑問を感じました。調べてみると、法律や制度にのっとって活動すれば、サロン外でも施術ができる訪問美容の存在を知りました。
でも、身近に要介護の親戚などがいなかったので、そうした方々を施術するには「介護の知識がないと怖いな」と思ったんです。自分は知らないことがあると怖いと感じる慎重派タイプなので、ちゃんと勉強したいと思いました。さらに調べてみると、美容師向けに介護の知識や訪問美容の技術を教えてくれるスクールを見つけました。そこで勉強して知識をつけてから、訪問美容をやってみたいという気持ちが高まっていったのです。

サロンのミーティングで夢を語り、オーナーが協力してくれることに。

「hair C’feel」のオーナー(湯浅浩司さん)は、スタッフたちのライフプランを大事にしてくれています。毎年秋に全スタッフが集まるミーティングがあり、そこで各自が美容師としての夢・個人としての夢を発表する場があります。夢を語って、次の1年間に具体的にどう行動するかを考え、みんなが仕事でもプライベートでも夢の実現をめざすのです。
2018年のミーティングで、「訪問美容をやりたい」という夢を発表しました。するとオーナーが「サロンの取組として協力する」と言ってくれたのです。オーナーも私と同様に、サロンに来られなくなったお客さまをどうしていくかを課題に感じていたようです。調べていたスクールも当初は自費で通うつもりでしたが、「学校で得た知識をサロン内に伝えてくれればいい」と、オーナーが学費を負担してくれることになりました。ありがたかったですね。

  • オーナーの湯浅浩司さん(右)と。仕事もプライベートも含めたスタッフの幸せや自己実現を考えてくれるオーナーのおかげで、訪問美容に踏み出せた

Q

スクールで何を学び、その後どう行動しましたか?

A

介護の資格を取得し実地研修を経て、営業活動を始めました。

基本的なチラシ配布のほかに、情報交換会への参加で契約を獲得。

オーナーの協力で、2019年の1月から半年間、調べていた東京のスクールに通い始めました。そこでは介護職員初任者研修修了者の資格が取れるほか、介護施設での実地研修も体験できました。実際に訪問美容を行っている講師の方々のお話も参考になりましたね。
卒業後はチラシを作って、地域の介護施設に片っ端からポスティングすることからスタート。サロン用のポップも作って、お店に来るお客さまにも自分が訪問美容をやっていることをお伝えしました。施設への営業は、最初は電話でアポイントを取ろうとしたのですが、ほぼ断られたため、途中からは飛び込みに切り替えました。
また、スクールに在籍していた頃から、ネットで見つけた医療や介護に関わる人々の情報交換会に参加してみたのです。気軽な飲み会形式で、知り合った人と打ち解けてお話しするなかで、介護施設で働いている人が「今度うちの会社で新しい施設ができるよ」と教えてくださったことがありました。後日、正式にお話を伺いに行き、契約に結びつきました。その情報交換会では、訪問美容や料金について施設の方がどう感じているかの本音の声も雑談のなかで聞くことができたりして、参加してよかったです。

新設の施設を中心に営業しました。

営業を進めるうちに、既に訪問美容業者が入っている施設では、乗り換えてもらうことはなかなか難しいと感じました。当初は、サービスの差別化などを打ち出して、乗り換えていただくきっかけをつくろうとしていたんです。でも、サロンの場合は施術を受けるお客さま自身がメニューを選べますが、訪問美容の場合は利用者さま自身ではなく、施設の職員の方やご家族がメニューを選ぶことが多いため、サービスの利点が伝わりにくかったのです
そこで、新しくできる施設を中心に営業をするようにしました。介護士用の求人サイトや、近所を歩いているときに見かけた建築現場などで、オープン予定の施設を見つけられます。建物が建った頃に伺うと、「ちょうど訪問美容業者を探していたところだった」とタイミングよくお話を聞いていただけました。

施設の事情に合わせた料金設定を工夫しました。

私の訪問美容のコンセプトは「美容室がお客さまのもとに行く」。単に美容師が行くのではなく、サロンと同等のサービスと雰囲気を味わっていただきたいからです。そのため、料金設定もサロンと同様に考えていたのですが、施設の方には高いと感じられてしまうこともありました。特に要介護度の高い方が多い施設の場合、「訪問美容=ボランティア」というイメージがあるようでした。そのため料金は、施設のご希望や事情によってケースバイケースで交渉するようにしています。
一方で、サロンとしての取組にさせてもらっているので、料金も「サロンのメニューより大きく値引きしたくない」というのがオーナーの方針です。そこで、サロンではすべての施術料金にシャンプー込みがほとんどですが、訪問美容ではシャンプーを分けた料金にしました。高齢者の方の場合、体力的にシャンプーが難しく、カットのみを希望される方もいらっしゃるからです。サロンでは、カット&ブロー、ワンシャン込みで4,620円、訪問美容では、カット&ブローのみで3,850円、シャンプーを追加された場合はプラス770円です(シャンプーのみのメニューはなし)。シャンプーとカットで料金を分けることで、単体での料金は下げられて施設にとっては選びやすく、サロンにとっても総額ではサロン価格と遜色ない設定ができました。

  • カラーやパーマの利用促進のために、初回割引チケットを作り配布するなど、サービスや料金にいろいろな工夫をしている

Q

実際に訪問美容をやってみていかがですか?

A

荷物の移動は大変ですが、とても感謝されることがうれしいです。

「来てくれるだけでありがたい」というお言葉をもらえます。

訪問美容をやってみていい意味で驚いたのは、「こんなに感謝していただけるんだ」ということです。お邪魔しただけで、施術前から「来てくれただけでありがたいです」とおっしゃっていただいたり。サロンでもお客さまに施術後に喜んでいただけますが、ここまでの感謝をいただけるのは訪問美容ならではだと思います。
それくらい利用者の方々がお喜びになるからか、コロナ禍でも契約している施設からは出入りを断られることはありませんでした。利用者さまたちが外出しづらくなったことから、「むしろ楽しみのために来てほしい」と言ってくださいます。居宅介護のお客さま向けのチラシでも、「この時期だからこそ、出歩いて大勢の人と接触するより、一人の美容師が訪問するだけの方が安心」という内容を盛り込み、新規で訪問する件数が増えてきました。

  • 「高齢者の方々はお話しすることがお好きなので、聞き役に徹すればコミュニケーションに困ることはありません」と桂さん

重い荷物の移動や出し入れがやや大変。

一方で、大変だなと思うのは荷物の重さです。施設によって8人〜15人くらいの施術をしますが、いつも約半数の方がパーマやカラーをご希望されるので、シャンプー台を持ち込む必要があります。それに合わせた折りたたみ用のリクライニングチェアも持っていきますが、人が乗る物なので両方ともかなりの重量があります。それらを自家用車に積んで訪問しています。普段は家族を乗せるための車なので、都度の荷物の載せ降ろしが若干大変ですね。

  • 訪問美容で使用しているシャンプー台とリクライニング用チェア。種類はさまざまあるが、桂さんは安定性を重視し、重いタイプを使用

Q

今後は訪問美容をどのように展開する予定ですか?

A

訪問美容専任スタッフを雇って広げる可能性が高いです。

現状は週一でサロンの営業日に訪問して、手一杯の状態です。

サロンで訪問美容をやっているのはまだ私一人です。現在はサロンの営業日である毎週木曜日を訪問美容の日にさせてもらっているため、私以外のスタッフまで連れ出すことはできないためです。木曜日はほぼ施設と居宅訪問の予約で埋まっているため、私一人でこれ以上増やすことは難しいかもしれません。今後増えた場合は、訪問美容専任のスタッフをパートで雇うことをオーナーから助言されています。出産や育児などの事情で、美容師免許を持っていても働けていない人が多いので、時間に融通のきく訪問美容なら、そうした人たちの働く場にもなると思います。

  • 最初は訪問美容をやることに反対のスタッフもいたそうだが、やることのメリットを伝えることで、周囲の理解を徐々に勝ち取っていった

桂さんからひとこと

私のようにサロンに勤務中のスタイリストで、訪問美容に興味がありつつ踏み出すことに不安がある人は、「もし一人で始めたら休みの日にやるのか?」とか「サロンの業務として組み込んでもらえるのか?」などで悩んでいるのかもしれません。一人で考えていても答えが出ないことなので、まずは会社に自分の気持ちを相談するのが早いと思います。ただ「やりたい」と希望だけ伝えても賛成してもらえないので、訪問美容をやることのサロンとしてのメリットなどをきちんと伝えることが必要です。
また、施術に対して不安がある人は、とりあえず家などサロン以外の場所で、友人や家族のカラーやパーマをやってみるといいと思います。設備が整っていない場所で施術する際に起こること、例えばカラー剤が飛び散ることにどう対応するかなど、注意する点が具体的にイメージできます。がんばってください!

Salon Data

hair C'feel 八千代台店【ヘア セフィール ヤチヨダイテン】

アクセス
八千代台駅から徒歩1分
創業年
1993年
店舗数
2店舗
設備
セット面6席
スタッフ数
8名(全店舗)
URL
https://beauty.hotpepper.jp/slnH000170514/
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