女性が活躍するサロン
女性スタッフが辞めない
サロンの秘訣
結婚・出産を経ても女性スタッフが長く活躍している、さまざまなサロンの取り組みや職場づくりを紹介していきます。
vol.14育休中のブログUP、カルテを活用した引き継ぎなど…
ママスタッフの失客を防ぐ取り組みとは?

Dilla 西川口店
埼玉県川口市
居心地の良い雰囲気と丁寧な接客で、地元のお客さまに愛されている「Dilla 西川口店」。輝く笑顔で迎えてくれた女性スタッフたちが印象的でした。彼女たちがイキイキと働ける理由とは?「Dilla」2店舗を経営するオーナー 鈴木さんにお話を伺いました。
1取り組み
時短勤務&シフト調整で、ママが希望する働き方を応援。
どんな仕組み?
10:00~17:00までなど時短で働けるので、「保育園の送り迎えをしたい」「家事をこなす時間を確保したい」というママスタッフも安心。家事・育児と仕事を両立できる。また、あらかじめ休みたい日があれば、シフト提出時に伝えればOK。他のスタッフたちの勤務日を調整するなど、ママの希望が叶うよう、サロン全体でフォローしている。
仕組みが生まれた背景は?
オープニングスタッフとしての採用を決めた女性スタイリスト 森さんの妊娠が、オープン前に発覚。「復帰を望む本人の希望を叶えたい、何より同サロンを選んでくれたスタッフには一生働ける職場を提供したい」との想いから、即、仕組みづくりを始めた。現在、総スタッフ11名のうち7名が女性で、2名のママスタッフが在籍。今後もママの雇用を積極的に進めるため、ママスタッフが働きやすい環境をさらに整えたいと考えている。

出産して半年後に復帰した森さん。現在、日曜日休み&時短勤務で、育児と仕事を両立させている
2取り組み
子どもの成長や家族の方針に沿って選べる、雇用体系。
どんな仕組み?
「出産前と同じペースで働きたい」「育児に比重を置きたい」など、ママが希望する働き方は家庭の事情によってそれぞれ。正社員とパートのどちらかを選べるようにして、ママスタッフが望む働き方がよりできるようにした。また、パートから正社員となる道も用意。「子どもが大きくなった」などの理由で働き方を変えたいときは、相談できる。
スタッフの反応は?
オープン当初からママスタッフが在籍していた同サロン。他のスタッフは「働き方のひとつの形」として自然に受け止め、不満の声が出ることはなかった。また、新たに雇用する際は、面接時にママスタッフの存在や働き方を丁寧に説明。理解してくれたうえで入社するので、スタッフが増えている中でも、ママが働きやすい雰囲気をキープできている。「サロンの方針をスタッフと共有することは大切。毎日現場に立って、『ママスタッフがいてくれることのありがたさ』『自分も将来いろんな道を選べて長く働けるんだよ』ということを、スタッフ全員に語りかけています」と鈴木さん。

ママスタッフのふたり。宮田さん(左)はパートを、森さん(右)は正社員を選択。希望するペースで楽しく働ける職場に感謝している
3取り組み
DM、カルテ、ブログを活用。お客さま対策もしっかり。
どんな取り組み?
産休・育休時は、お客さまにDMとサロンのホームページでお知らせ。また、休職中のママスタッフにも、時間のあるときには自身のブログを更新してもらうようお願い。スタッフの状況を随時お客さまに見える形でお伝えするようにしている。
ママスタッフの休み中に指名客が訪れた際は、対応したスタッフがカルテに情報を細かく記載。復帰後、カルテを読むだけで、お客さまの情報をきちんと把握できるようにしている。
メリットは?
丁寧なご案内とブログの定期的な更新により、指名のお客さまの不安を取り除くことができており、ママスタッフの顧客離れを防げている。また、カルテを読むことで、復帰後もすぐにスムーズな対応が可能。お客さまへのご迷惑を極力抑えることができている。顔見知りのスタッフが引き継ぐことはお客さまの安心感につながるので、若いスタッフにはいろんな女性スタイリストのヘルプに入るよう指導しているという。

コミュニケーションを大切にするサロンはチームワーク抜群。ママが安心して復帰できるよう、産休中も全員でサポート
オーナーインタビュー

オーナーの鈴木孝昌さん
2店舗を経営。スタッフの声にすばやく対応できるよう、スタイリストとして毎日現場に立っている鈴木さん。再来年をめどに3店舗目の出店を予定している。「将来目指すべき目標やポジションがないと、働き続けてもらえないと考えています」
- Q. ママスタイリストを積極的に採用したい理由は?
-
A. 戦力としても手本としても、欠かせない存在だから。
サロンは20代後半~30代の主婦のお客さまが多く、平日の朝~夕方までが忙しい時間帯。戦力がほしい時間帯と働きたい時間帯がマッチすること、またママスタッフとお客さまの年齢層が合うのでリピートしてもらいやすいというのが、第一の理由ですね。また、ママスタッフが若いスタッフたちにとって、ここでの将来を思い描く際の良きお手本となってくれていることも大きいですね。
- Q. 今後進めたい取り組みは?
-
A. ママ支援、福利厚生をより充実させたい。
働きたいけど保育園が決まらなくて働けないママのために、託児スペースを作りたいですね。また、今でもスタッフ同士の仲が良いのが自慢なのですが、よりお互いの関係を深められる取り組みを行いたい。例えば、朝にママが後輩を教育する時間をスポットで入れるとか。オープン5年目を迎えましたが、ママ支援はまだまだこれから。やるべきこと、やりたいことはたくさんあります。
それに、現在加入済みの社会保険に加え、退職金制度を整えるなど、福利厚生もより充実させていきたいですね。人口が減少し、働き手の確保が難しくなっていく中で、安心して働ける環境を与えられないことは、会社の衰退につながると思います。先が見えない環境にスタッフを巻き込むことは絶対できない。美容業界も一般企業化しなくてはいけない時代ではないでしょうか。
Salon Data
Dilla(ディラ) 西川口店
- アクセス
- JR京浜東北根岸線 西川口駅から徒歩5分
- 創業年
- 2011年
- 店舗数
- 2店舗
- 設備
- 7席
- スタッフ数
- 6名(うちスタイリスト4名、アシスタント2名)※Dilla 西川口店