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訪問美容~データ&実例編~

超高齢化社会を迎え、サロンの潜在市場として注目される “訪問美容”。
データや実践事例を交えて訪問美容の可能性について考えていきます。

vol.45

実例編施設契約150件超、個人訪問300名超の秘訣とは?

大阪で約20年前にスタートした「訪問理容・美容 diva」(以下「diva」)。今では150件超の施設契約と、300名超の個人のお客さまをもち、15名のスタッフで運営しています。2021年に「private salon diva 」というサロンをOPENさせました。サロンの代表を務める荒谷秀彦さんは、2016年に「diva」に入社する前から、個人として訪問美容に携わってきたそうです。それだけに留まらず、カンボジアで貧しい子どもたちのカットをしたり、美容を目指す現地の子どもたちに美容の技術を教える活動もしています。「キレイになりたい人がいるならどこにでも行く!」と語る、荒谷さんの訪問美容に対する想いについて伺いました。

private salon diva

  • 全スタッフ15名
  • 1店舗
代表:
荒谷秀彦さん
訪問美容開始:
2002年ごろ
訪問施設数:
150件以上(1回の訪問で約20名)
施設訪問頻度:
1日に4〜5件
訪問個人顧客数:
約300件以上
個人顧客訪問頻度:
1〜6カ月に1回
訪問スタッフ:
15名(兼務4名)
価格(カット):
2,200円〜

Q

「diva」は訪問美容からスタートしたそうですね?

A

はい。代表取締役が約20年前にスタートし、サロンは昨年始めました。

訪問美容以外にも一般の方の施術がしたくてサロンをオープンしました。

「訪問理容・美容 diva」(以下「diva」)は代表取締役の石丸芳克が、約20年前にひとりで始めた事業です。石丸は当時から訪問美容の可能性をいち早く感じて、サロンはもたずに訪問美容一本でスタートしたそうです。始めた当時は施設での理美容はボランティアのイメージが強く、契約が取れない苦労も多かったそうです。今では200件近い施設さまと契約いただいており、1日に4〜5件の施設に複数のスタッフで訪問する体制ができています。
私は2016年に「diva」に入社しました。訪問美容がやりたくて入社しましたが、訪問で培った技術は一般のお客さまへのサービスの向上にも役立ちます。また、サロンがあることによって訪問美容の認知度を高めることができると感じ、2021年にサロンをオープンし、代表を任されて訪問美容と兼務しています。当サロンのスタッフは全員、私と同様に訪問美容と兼務です。

  • サロンの店長を務める中原葵さんも、訪問美容の活動もともにする頼れるスタイリストだ

Q

荒谷さんご自身の訪問美容との出会いは?

A

紹介で障がい者施設の施術に通い始めたことです。

訪問美容の技術をきちん学びたくて「diva」に入社。

「diva」に入る前に業務委託で他のサロンに勤務していた2010年頃、紹介で頼まれて、障がい者施設に訪問美容に行くことになったのです。最初は数名の施術から始めましたが、徐々に人数が増えて月に20名以上に。感謝のお手紙をいただいたり、施術後の姿を写真に撮って喜んでくださったりと、サロンとは違うやりがいや喜びを感じるようになりました。
ただサロンのお客さまとは違い、カットのしやすい体勢がとれなかったり、車椅子での施術では後頭部が思い通りにカットできなかったり、寝たきりの方が毛まみれになってしまったりすることも。感謝されればされるほど、自分の知識や技術不足を実感するようになったのです。「お金をいただいて施術する以上、一度きちんと訪問美容の技術を学ぶ必要がある」と考え始めました。訪問美容専門でやっている会社を探して見つけたのが「diva」でした。

海外での活動で「カットしてもらいたい人がいれば、どこにでも行きたい」という想いに気づいた。

訪問美容を本格的にやりたいと思ったもうひとつの理由が、ライフワークでもある海外での活動でした。業務委託で勤務していたときのお客さまに、海外の児童養護施設の支援をするNPOの方がいらっしゃいました。その方から、カンボジアでは理美容室に行くお金もない子どもたちがたくさんいる事実を聞き、ボランティアで行ってみることにしたのです。サロンがない過疎地で、路上などでカットする活動を年に1回くらいからスタート。中には美容の仕事を夢見ている子もいたので、彼らに技術を教えることも始めました。その頻度が上がっていき、「現地にサロンをつくった方が早いかもしれない」と考えてサロンをつくり、2013年から3年間は日本とカンボジアを行き来しながら仕事をしていたんです。
日本での障がい者施設への訪問と並行にこの活動をしているうちに、自分のモットーは「カットしてほしい人がいるなら、どこへでもいつでも足を運んでカットさせてもらう」ということだと気づきました。それを「日本で必要としている人とは?」と考えたときに、障がい者施設だけでなく、老人ホームや居宅介護を受けている方など、自分の足では理美容室に行けない方々のところへ行きたいと思ったんです。

  • サロンがないカンボジアの過疎地で路上カットをすると、子どもたちがたくさん集まってくる

  • 美容師を目指す若者への技術指導もしている。現在もカンボジアには「diva」のスタッフと一緒に訪れている(コロナ禍を除き)

Q

「diva」は非常に多くの施設と契約していますが、その秘訣は?

A

営業はあらゆる手立てを尽くし、スタイリスト自身が自分の強みを売り込んでいます。

対面では信頼を得る努力を。ネットでは相手が知りたい情報を丁寧に。

営業に早道はないと思います。私たちスタイリスト自身が施設に赴いて営業し、契約ができた施設は営業した本人が担当する仕組みにしています。チラシなどの営業ツールの資料作成なども各自で行い、施設の方とお話ができたときは専門的な技術や自分たちの熱意を伝えています。そのことで、お話を聞いていただけた職員の方々と密接な人間関係を構築できて、契約に結びついていると思います。もちろん簡単なことではなく、100件回ってお話を聞いてもらえるのは10件、その中で1件契約いただけるかどうかです。
間口を広げることも大事なので、対面だけでなく、電話、メール、FAX、チラシ、紹介とさまざまな方法でアプローチしてきました。今の時代はホームページやSNSも大事です。施設の方がどんなことを知りたいかはさまざまなので、こちらが伝えたい美容師としてのPRポイントだけでなく、具体的な施術方法、申し込み方法、支払い方法、準備するものやスタイルの決め方なども、情報として掲載しておくことも必要かもしれません。それがアプローチしてくださる施設の方への信頼や安心感につながると思います。

施設が、別の訪問理美容事業者から乗り換えてくれた理由とは?

営業で訪れた施設に、既に他の訪問理美容事業者が入っているケースも多々あると思います。そこから我々に乗り換えていただくときに、主に2つの理由があるように感じます。
ひとつは、みんな同じようなヘアスタイルにされているということ。高齢者や障がい者の方々の「おしゃれをしたい、キレイになりたい」という気持ちをくみとれずに、同じようなただ短いスタイルにしているケースが多いようです。料金優先という施設もあるかもしれませんが、限られた条件のなかでも一人ひとりの利用者さまの個性を出してさしあげるのが、美容に携わる我々の使命ではないでしょうか。
もうひとつは、掃除が雑だということ。理美容師は髪の毛が床や壁、洗面台や衣服についていることに慣れすぎているようです。自サロンではそれでよくても、お借りしている施設の場所やお部屋の持ち主は自分の髪の毛でも嫌なものです。きれいに掃除しているつもりでも、静電気で壁に髪が付いてしまっていたり、スリッパの裏に残っていることもあります。それを施設の方やお客さまは気にされていながら、訪問理美容事業者に直接は言いにくいようです。我々はもちろん、訪問でお借りした場所はカット前よりもきれいにして帰るように心がけています。

  • 一人ひとりお客さまの希望や個性を活かしたスタイルに仕上げることで、「divaに頼んで良かった」と思ってもらえる

Q

今後の展望は?

A

同じ志の方々と連携して訪問美容に取り組んでいけたらと考えています。

誰が行っても同等のクオリティを提供できる体制に。

訪問美容は訪れるだけでも「ありがとう」と言っていただける、やりがいのある仕事だと心から感じています。でもそれで満足することなく、もっと求められる人々のところへ行って、求められる以上のサービスをお届けしたい。
現状で課題と感じているのは、お客さまから「サロンのように指名がしたい」とおっしゃられることです。でもこちらからお邪魔する訪問美容の場合、ひとりのスタイリストが行けるのは同時間帯では1箇所のみ。スタッフのローテーションをどうするか、一度の訪問ごとの施術人数でスケジュールを組んで訪問しているため、指名はなかなか叶えてさしあげられない要望です。その代わりに、誰が行っても同等のクオリティを提供できるよう努力しています。例えば後輩の教育をしたり、カルテを緻密に書いて写真を付けて個々のお客さまの要望を情報共有したり、ベテランと新人を組み合わせて訪問するなどしています。

  • 荒谷さんが作成している訪問美容用のツール。詳細なカルテも残して、他のスタッフにもわかりやすくしている。お客さまからいただいた感謝のお手紙もある

訪問美容を待っている人はまだまだたくさんいます!

ありがたいことに、現状の「diva」では新規の施設や個人の方はおことわりせざるを得ないほどお問い合わせをいただいています。ここまで来るには前述のような営業をしたり、大阪を拠点に神戸や京都、奈良方面の方々まで広く訪問させていただいてきました。でも、まだまだ私たちを必要としてくださる方はたくさんいて、高齢化が進む社会では増える一方です。私たちもスタッフを増やす努力をしていますが、同じ志をもった他のサロンの方々とも連携して訪問美容を広げていくことができたらと考えています。

  • 「同じ想いをもつ人やサロンと連携しながら、訪問美容の輪を広げたい」と熱く語る荒谷さん。自身のモットーの「カットしてほしい人がいればどこへでも行く!」をこれからも追求したいという

荒谷さんからひとこと

訪問美容は繁忙期・閑散期がなく売上が読みやすいビジネスです。また、スタッフの働き方の多様性にも応えられます。例えば私たちのサロンは、訪問美容専任のスタッフ、訪問メインでサロン兼任のスタッフ、サロンがメインで訪問と兼任のスタッフ、ほぼサロンメインのスタッフと4パターンの働き方ができます。また、サロン以外の訪問理美容専任スタッフたちは、社員、パート、業務委託など契約形態が多様。どちらも自分が今いちばんやりたい形を選択してもらっています。
サロンが訪問美容をやることにメリットを感じて、私たちを待ってくれている方のもとへ質の高い美容を届けることに共感してくださる仲間を待っています!

Salon Data

private salon diva 【プライベートサロンディーバ】

アクセス
地下鉄森ノ宮駅から徒歩3分
創業年
2021年
店舗数
1店舗
設備
セット面2席
スタッフ数
4名
URL
https://beauty.hotpepper.jp/slnH000524561/
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