女性が活躍するサロン
女性スタッフが辞めない
サロンの秘訣
結婚・出産を経ても女性スタッフが長く活躍している、さまざまなサロンの取り組みや職場づくりを紹介していきます。
vol.19産休・育休中の失客がゼロに!
ママの活躍をお店の文化にする取り組みとは?
GINZA 松本平太郎美容室 浦安店/ヘアサロン
千葉県浦安市
1966年に創業し、首都圏に18店舗を展開。女性に働き続けてもらうための取り組みが、着々と進んでいるサロングループ「松本平太郎美容室」。その中でも浦安店は、ママスタイリスト2名が活躍し、その存在が文化として根付いている店舗。本部スタッフを感動させたという産休にまつわるエピソードが生まれたお店で、店舗独自の取り組みをお伺いしました。
1取り組み
育休後、失客させずにお客さまをお返しする。
中継ぎのスタッフにも達成感を生む引き継ぎ制度。
どんな体制?
産休に入るスタイリストは、必ずお客さまに後任のスタイリストを紹介。どうしても予定が合わない場合を除き、顔を合わせてもらった上で引き継ぐ。引き継いだスタイリストは、責任を持ってお客さまを担当し、「一年後に復帰するスタイリストに、お客さまを失うことなくお返しする」という目標を持って臨んでいる。
どのような結果につながっている?
『引き継いだお客さまを、ひとりも失うことなく、1年後に復帰したスタイリストにお返しした』。
浦安店で昨年、実際にあったエピソードだ。お客さまが通い続けてくれたことは、お店にとっても、産休に入っていたスタイリストにとってもうれしい結果。それだけでなく、引き継いだスタイリストにとっても、失客せずにやり遂げたことが達成感となり、新たなやりがいになった。スタイリスト間でも信頼関係ができているので摩擦もなく、店舗だけでなく、グループ全体に制度への理解を進める実例となっている。
2取り組み
「子育て重視」で働ける時短勤務・フォロー体制。
どんなしくみ?
産休・育休明けの勤務体制は、会社とスタッフ本人の間で調整。個別の状況や希望に応じ、ポジションや勤務時間等を話し合って決めている。子どもの急な発熱などで休む場合は、店舗スタッフが予約しているお客さまに連絡することにしているため、ママスタッフは「子育て重視」で働くことができる。
スタッフの反応は?
現在、ママスタイリストは2名。「子育てはしっかりとやって欲しい」という会社の方針がスタッフにも伝わっているので、みんなでフォローする体制が当たり前になっている。
ママスタイリスト側も「スタイリストとしてスタッフのみんなをサポートしていきたい」という想いで復帰。子育てが落ち着いたら練習会に参加し、後輩に教えるなど「恩返し」を行っている。一方通行ではなく双方向の協力体制が、「子育て重視」な働き方を実現する風土を作っている。
3取り組み
スタイリストが辞めない店舗に。
産休・育休をお店の文化にする。
どんな取り組み?
産休・育休が取れなければ、出産を機に担当スタイリストが辞めてしまうかもしれない。それはお客さまにとってお店の魅力を下げるマイナス面だと考え、ママスタイリストの存在が「当たり前」になることを目指している。
これはグループ全体の方針でもあるが、同店ではお店の先輩スタッフたちが率先して、ママスタッフや産休中のスタッフのお客さまとコミュニケーションを取り、フォローするように心掛けている。言葉だけでなく実際に態度で示すことで、男性や若手スタッフにも自然と文化として定着している。
メリットは?
同店の場合、ママスタイリスト2名が経験豊富な元店長ということもあり、まず第一にスタッフをサポートしてくれる。また、引き継ぐと店を離れてしまうお客さまがどうしても出てしまうが、産休・育休であれば「1年で帰ってくるなら」と店を離れることも少なくなる。さらに、結婚してママになっても働けるというモデルが身近に2人もいることで、女性スタッフが将来のキャリアを描きやすくなっている。
副店長インタビュー
- Q. 壁にぶつかったことは?
-
A. 産休に入るスタッフに頼っていたので、はじめは不安でした。
いつも頼っていた女性店長が産休に入ることになったので、副店長としてプレッシャーを感じ、正直、不安になりました。でも、実際に店長が産休に入ると、周りのスタッフたちがとても協力してくれて、一人ひとりがしっかり仕事をしてくれたんです。だから、すごく苦労したということはなく、とにかくみんなでがんばって、店長がママスタイリストとして戻ってきてくれたときは、あっという間だったと感じました。
産休・育休は辞めるわけではないんです。たった1年間、保育園が決まるまでのこと。もし、今、不安に感じている方がいたら、お店のためにも、スタッフのためにもまずやってみて欲しいです。そこで問題が出てきたらみんなで解決していけばいいと思っています。
- Q. 心掛けていることは?
-
A. コミュニケーションを大事にして、フレンドリーな雰囲気に。
スタッフ間、そしてお客さまとのコミュニケーションはとても大切だと思っています。お店がギスギスしてしまっては、お客さまも居心地が悪いですよね。
例えばお客さまに元のスタイリストと引き継いだスタイリスト、2名の担当スタイリストがいる。その場合、お客さまも「どうしよう? 元のスタイリストに戻っていいのかしら?」と迷いますよね。そういうときはこちらから、「気にせず、戻っていいんですよ!」などと声を掛けています。スタイリスト間の関係も「お客を取る、取られる」というものではないので、お客さまも遠慮せずにご都合に合わせて2名のどちらかを指名できるようにしています。
小さなことですが、こういう心掛けの一つひとつが文化を作っていくのだと思っています。
Salon Data
GINZA 松本平太郎美容室 浦安店
- アクセス
- 東京メトロ東西線浦安駅南口より徒歩1分
- 創業年
- 1966年
- 店舗数
- 18店舗
- 設備
- 13席
- スタッフ数
- 12名(うちスタイリスト7名、アシスタント5名)