女性が活躍するサロン
女性スタッフが辞めない
サロンの秘訣
結婚・出産を経ても女性スタッフが長く活躍している、さまざまなサロンの取り組みや職場づくりを紹介していきます。
vol.21創業50年を迎えたサロンのさらなる一手。
辞めるママスタッフをゼロにするための「キャリアアドバイス」とは?
GINZA 松本平太郎美容室 吉祥寺PART5/ヘアサロン
東京都武蔵野市
創業50周年を迎える「松本平太郎美容室」は、20年以上前から女性の活躍推進に力を入れているサロングループ。創業の地である吉祥寺エリアの3店舗では、現在、3名のママスタッフが活躍中。「縁と絆を大切にする」という社風が根付いたお店ですが、時代の変化に合わせた次の一手がありました。その取り組みの秘密を吉祥寺PART5でお伺いしました。
1取り組み
産休・育休制度を活用してもらうための
「キャリアアドバイス」の実施。
どのような取り組み?
「出産しても仕事を続けたい」という意志を持った女性が増えてはいるが、子育てと仕事の両立に不安があり、制度があっても美容師を続けるか迷う人も多い。そこで、女性マネージャーが妊娠した女性スタッフに対し、今後の生活も含めた「キャリアアドバイス」を行っている。といっても堅苦しいものではなく、会社とスタッフの仲介役的な立場で相談に乗る形。会社としてどういう働き方を提案できるか、そのスタッフがどこまでできるかを話し合った上で、個別のやり方を考えている。
具体的には?
生活するために必要な収入と、これから子供の教育などに掛かるお金。それがどれくらいかという現実的なことを調べた上で、仕事を続けるメリットやデメリット、また可能な働き方を一緒に考えていく。
現在、育休中のスタッフも「仕事を続けるか、子育てに専念するか」を悩んでいたが、アドバイスを受けて夫婦で話し合い、1年で復帰することに。本人の意思や家庭の事情を優先しつつも、「パートで仕事を制限してでも働き続けることは、家庭のためにも、子育てが終わった後の自分のためにもメリットがある」と伝えている。
2取り組み
個別の事情や希望に合わせた雇用形態の選択が可能。
どんな体制?
産休・育休の期間は法定通りで、保育園が決まらないなど特別な事情がある場合は、育休を1歳半まで延長できる。「1年間はしっかり休んでもらいたい」という会社側の想いがあるが、保育所に入園できるタイミングなども様々なので、早く復帰したい場合も含めて、スタッフの希望や事情に応じ、柔軟に対応している。時短勤務についても、保育所のお迎えの時間に合わせて会社とスタッフの間で調整。社員やパートといった雇用形態、復職時の役職などは、個別の事情や希望を聞き、相談して決めている。
実際に制度を利用しているスタッフは?
現在、吉祥寺エリアの3店舗でママスタイリストは3名、育休中のスタイリストが1名いる。全4名中、社員のままで働き続けるスタッフは2名、パートとして復帰しているスタッフが2名。それぞれの希望や事情により、雇用形態を決めている。
3取り組み
産休・育休中の丁寧なコミュニケーションで
復帰後も不安なく働ける雰囲気づくりを。
どのような取り組み?
産休・育休中のスタッフに、お店のスタッフや女性マネージャーがメールをしたり、会って話したりし、休み中もコミュニケーションを取っている。保育所への申請方法なども、先輩ママであるマネージャーがアドバイス。様々な相談に乗ることで、職場復帰に対する不安が少しでもなくなるようにしている。
復帰後、周囲のスタッフの理解は?
スタッフは「人材」ではなく「人財」。「会社にとって大切な財産」という方針が全スタッフに浸透しているので、時短勤務や子供の発熱などによる急な休みなどにも理解が得られている。「美容室は人がいないと成り立たない場所。スタッフにずっと働き続けてもらいたいという会社の方針にスタッフが共感しているので、育休後に復帰してくれることが皆、うれしいんです。逆にそういう環境が整っていないと、いくら制度があっても、働き続ける女性スタッフは増えないと思います」と吉祥寺PART5の店長であり、常務執行役員である中村さん。同店では育休中のスタッフが子供を連れてお店に顔を出すこともあり、ママスタッフを応援する雰囲気ができている。
マネージャーインタビュー
- Q. 取り組みをはじめて、よかったと思ったことは?
-
A. 男女問わず、長い目で見て、スタッフとキャリアの話ができるようになりました。
結婚して、出産しても働き続ける女性スタッフが会社全体で増えてきています。実例が増えてきたおかげで、スタッフとの面談などで「人生を通して、美容の仕事と関わっていく」ということをより深く共有できるようになりました。マネージャーとして、スタッフのキャリアを見据えた育成ができるようになってきたと思っています。お店としては、「以前、働いていた人が戻ってきてくれる」ということになるので、ありがたい限りです。
- Q. これから目指すことは?
-
A. できることはなんでもアドバイスして、会社の想いをスタッフに届ける仲介役に。
このまま、長く働き続ける社員が増えていくようにサポートしていきたいと思っています。会社がそうできる環境を作ってくれているので、会社とスタッフとの「ご縁」が長く続くように、取り組みを進めていきたいです。
「縁で一緒に働くことができたのだから、社員にいい形で仕事を続けてもらう」というのが、創業者である会長の考えでもあります。私自身、その考えに共感しているので、相談に乗ったり、話を聞くようにして、できることはなんでもアドバイスしていきたいと思っています。
Salon Data
GINZA 松本平太郎美容室 吉祥寺PART5
- アクセス
- JR吉祥寺駅中央口より徒歩3分
- 創業年
- 1966年
- 店舗数
- 18店舗(グループ全体)
- 設備
- 18席
- スタッフ数
- 14名(うちスタイリスト8名、アシスタント5名、レセプション1名)