イノベーターが
見ている未来
vol.5
その取り組みと背景、そして未来についての展望をうかがいます。
株式会社ブランシェホールディングス
株式会社ビーファースト
鈴木貴之さん (age.43)
ブランシェホールディングスが抱えるビーファーストは、愛知県に「キャプラスネイル」など10店舗のネイルサロンを展開。取締役社長・鈴木さんは商社出身で他業界からの転身にもかかわらず、いまやパリコレに参加するネイリストを輩出するほどに、ネイルサロンを成長させています。その成功を支えた人材育成の秘訣に迫ります。
ブランシェホールディングス
(http://www.branche-grp.co.jp/)
ビーファースト
(http://www.bfirst.jp/)
第1章商社・広告代理店から美容業界への転身
「やるほどに“技術力”も“人間力”も高まるなんて、
美容師って夢がある、と思ったんです。」
鈴木さんは美容とは無関係の業界から、ネイル事業を手がけるビーファースト社長へ転身した異色の経歴をお持ちです。現在までの仕事の経歴を教えてください。
最初に勤めたのはアパレル系の商社でした。6年ほど経って大体の仕事がわかってきたとき、自分の将来像を考えてみたんです。先輩の姿を見てみると、せっかく働いているのに楽しそうに見えない。自分もそうなるのかな…と思うと夢が感じられなかった。それで新たな世界を求めて広告代理店に転職しました。そこでは先輩から得意先を引き継ぎ地盤ができていたので、営業の仕事はルーティンでラクでした。でも、それが自分にとっては楽しくなかった。だから、どんどん新しい取引先を開拓することにしたんです。それで飛び込んだ先が、ビーファーストのグループがやっているヘアサロン「ブランシェ」でした。
そこから今の仕事につながるんですね。しかし、なぜそのサロンだったんですか。
実は高校のときから通っていたヘアサロンなんですよ。僕の担当スタイリストさんから「ブランシェ」の社長に取り次いでもらって、広告をプレゼンする機会をいただきました。それが採用されて、当時は愛知県下に6店あった「ブランシェ」を担当することに。担当するからにはサロンのことを徹底して知ろうと、朝7時くらいからの店長会や営業後のサロンへおじゃまして、そこで美容業界について勉強しました。
仕事自体は順調でしたが、当時いた広告代理店の社長は時間外勤務をよしとしない主義のため、朝早くからサロンへ行くような僕の働き方を良くは思っておらず・・・。それはホワイトな考え方で正しくはあるけれど、仕事ってそんなドライに割り切れるものではないし、相手方の業界に合わせなきゃ進まないこともあるじゃないですか。考え方の違いに悩んで「ブランシェ」の福本社長に何気なく話したら、「じゃあ“美容師”として、ウチに来れば?」と誘ってくれたんです。
それまでのお付き合いで美容師さんの姿を見てきた僕は、みなさんの勤勉さと、がんばればそれだけ技術力も人間力も自分のものになる美容師って素敵な仕事だなぁ、と思っていました。だから福本社長に誘われたとき、すぐにその気になって(笑)。できるかどうかは全く考えず、「美容師さんのような生き方がしたい」という想いだけで4年間お世話になった広告代理店を退職しました。
では、最初は美容師として働くつもりで退職されたんですね!
そうなんです。でも福本社長と今後の会社のこと、業界のことを語り合っていくうちに「“ブランシェ”のグループ会社として広告部門を立ち上げるから、そこを任せたい!」という話になりまして。それが現在、僕が社長を務めている「ビーファースト」です。
当初は広告代理店時代に開拓した取引先である他のヘアサロンや「ブランシェ」の販促をしていたんですが、そのうち福本社長から新規事業としてネイルサロンを始めたいという話が出て。アパレル商社時代の後輩に、情熱と勢いだけは半端なく素晴らしいネイリストがいたので紹介したところ、「じゃあついでにお前がネイル部門を管理しろ」という指示があって、ビーファーストの受け持ちに。そうして2005年12月にオープンさせたのが、「キャプラスネイル」1号店です。
異業種からの転身だからこそ見えたもの。
人と美容の可能性を広げ、業界を変えていく。