女性が活躍するサロン
女性スタッフが辞めない
サロンの秘訣
結婚・出産を経ても女性スタッフが長く活躍している、さまざまなサロンの取り組みや職場づくりを紹介していきます。
vol.257年間で退職はたったの2名のみ!
「人が辞めない会社」の、ママ活躍の取り組みとは?
JILL BY GIEN/ヘアサロン
大阪府大阪市
丁寧なカウンセリングと優れたカット&ヘアケア技術で、多くの女性から圧倒的な支持を集める「JILL BY GIEN」。オージュアトリートメントの専任講師を全国で務めるオージュアソムリエが在籍。大阪市に3店舗を展開するグループ全体では3名、同サロンでは1名のママスタッフが活躍中です。スタッフ総数23名中17名が女性と、女性比率が高い同グループ。創業当初から女性活躍の取り組みを実施しており、ママが輝ける多くの仕組みを成功させています。取り組んできた7年間の中で見えてきたことは?成功の秘訣は?オーナーの井上さんにお話を伺いました。
1取り組み
勤務時間の長さに関係なく、
能力が高いスタッフには役職を与えて評価。
どんな取り組み?
コミュニケーション能力に長けているママスタッフの伊藤さんは秘書業務を、統率力が高いママスタッフの湯川さんはマネージャー業務を兼務。時短勤務で子育てを両立させながら、オーナーのサポートや人事、後輩の教育部分などでも活躍している。サロンへの貢献に伴い、ふたりには役職手当を支給。今後も勤務時間の長さに関係なく、能力の高いスタッフにはそれに見合うポストを積極的に用意していきたいと考えている。
メリットは?
スタッフの多様な働き方を認めつつ、能力が見える形で評価される同取り組み。スタッフ全員のやる気を高めると同時に、復職したママが活躍できる場も作り出している。
また、時短勤務の中で与えられた職務をこなすママスタッフたちは、指名が入っていない時間に役職業務を手早く行うなど、時間の使い方が上手で仕事のスピードも速い。他のスタッフにとって働く際の良きお手本となっており、生産性や売上の向上など、サロンの成長にもつながっている。
2取り組み
ママスタッフが参加しやすいよう、
レッスンは開店前の朝、実施。
どんな取り組み?
先輩スタッフの指導によるレッスンは、ママが参加しやすいよう、朝に行っている。平日は11:00〜20:00、土日祝は10:00〜19:00が営業時間。実施回数や曜日は店舗ごとで異なるが、3店舗とも開店の1時間半前くらいからレッスンを実施している。営業終了後に自主練習できるので、朝の時間を家庭にあてたいママは夜に練習することもできる。
メリットは?
「それぞれ家庭環境によって働ける時間が異なるママスタッフたちを、ひとくくりに縛ることは難しい。産休&育休以外の制度はあえて設けず、その都度、一人ひとりに合わせて柔軟に対応していきたいと考えています」とオーナーの井上さん。ママスタッフは、家庭環境などに合わせて朝・夜どちらかで練習できるので、復職後も技術の不安なく働くことができている。
また、朝や夜の練習時間は、後輩にとっても先輩ママからアドバイスをもらえる貴重な時間に。子育てをしているママスタッフの指導は「丁寧でわかりやすい」と他のスタッフから好評で、全体の技術力向上にもつながっている。
3取り組み
保育料の全額サポートで、がんばるママを応援。
出産後も働き続けられるサロンを目指す。
どんな取り組み?
ママスタッフの湯川さんは、オープニングスタッフとして入社後、旦那さんの転勤により退職。1年半前に大阪へ再度引っ越したことで念願の復職を果たし、保育園に子どもを預けながら働いている。そんながんばるママを応援すべく、会社側が保育料を全額サポート。現在、負担額の上限は特に設けておらず、来年出産予定のJILL店 店長の藤原さんにも全額支給を予定している。
取り組みが生まれた背景は?
スタッフ23名中17名が女性と、女性比率が高い同サロン。彼女たちの将来への不安を取り除きたいとの想いから、この取り組みは生まれた。「湯川は離職前、売上200万円のトップスタイリスト。能力の高いママスタッフたちが子育てを楽しみながら活躍している姿は、後輩女性たちが将来を描く際の良き手本となってくれるはず」とオーナーの井上さん。結婚・出産後も働き続けられるか悩む女性が多いのが美容業界の現状。会社として、「出産後に復職するのは当たり前」という文化を創っていきたいと考えているそう。
4取り組み
「ママが働きやすい職場」は、助け合う風土づくりから。
毎日、スタッフ全員で「経営理念」について熱く議論!
どんな取り組み?
「人が辞めない会社」を目指す同サロンの信念や志をまとめたリーフレットを作成して、全員に配布。毎日の終礼などで一項目ずつピックアップして、スタッフ同士で議論し合うことを習慣化している。項目の中には、「仕事への向き合い方」のほか、ママを含めた「他のスタッフへ感謝して接することの大切さ」に触れた記述も。みんなで経営理念や各スタッフの意見を丁寧に共有。理念に沿って実行する風土づくりや、ママスタッフを理解して協力しようという風土づくりに力を注いでいる。
メリットは?
日々の話し合いの中で、会社の想いや描く未来を深く理解しているスタッフたち。だからこそ、女性活躍の取り組みは長く働ける環境づくりに必要なことと受け止め、急な早退時のフォローなど、積極的にママスタッフをサポートしてくれている。「どんなに女性活躍の仕組みを整えても、ママスタッフが気持ちよく働ける環境を作り出すためには、スタッフの協力は不可欠。風土づくりは仕組みづくりと同じくらい重要だと思います」とオーナーの井上さん。
2009年の創業以来、退職者は2名のみ。協力し合う風土を定着させたこの取り組みは、人が辞めない働きやすい環境づくりに着実につながっている。
オーナーインタビュー
- Q. 「女性活躍」の取り組みをはじめた時期&きっかけは?
-
A. 二児のママをオープニングスタッフとして採用。
そのため創業当時から自然と取り組んでいました。二児のママであった伊藤をオープニングスタッフとして採用したこともあり、創業当初からママスタッフが働きやすい環境づくりに取り組んでいました。今の時短勤務の仕組みも、伊藤が当初希望した働き方をベースに整えていったものです。その後、産休・育休制度を整え、湯川の復職に伴い、保育料補助の仕組みを整備。ママスタッフが増えていくなかで、必要と感じた取り組みを一つひとつ追加し、実践してきた感じです。
産休制度から体験するのは藤原が初めて。若手の女性スタッフのためにも、ぜひ成功事例を作りたいと考えています。
- Q. 「風土づくり」のほかに大切と考えていることは?
-
A. 取り組みに必要な利益の確保と、
不満を生まない矛盾のない経営土台が大切。僕が取り組みなどを進めるうえで迷ったときは、「人が生きる路を作る」という企業理念に立って判断。スタッフがより良く生きる方法を選択するようにしています。でも、利益がなければ取り組めないこともありますよね。だから、理念形成や風土づくりと同じくらい、「生産性を高める努力」も大切だと思います。
でも、単に生産性をスタッフに求めるだけでは不十分。例えば、「給与を上げたい」「休みを増やしたい」など、利益が必要な理由をきちんと伝える。そして、目標の数字を達成したら、伝えた理由を必ず実行することが重要です。常日頃から有言実行すれば、会社が提示することすべてに前向きに臨んでくれるようになります。理念から労働環境づくりまで、すべての流れで「矛盾のない経営を行うこと」が、実は取り組みを成功させるうえで一番大切だと思います。
Salon Data
JILL BY GIEN【ジル バイ ジアン】
- アクセス
- 各線京橋駅から徒歩2分
- 創業年
- 2009年
- 店舗数
- 3店舗
- 設備
- 8席 ※JILL BY GIEN
- スタッフ数
- 12名(うちスタイリスト5名)※JILL BY GIEN