学ぶ。つながる。発信する。美容の未来を創る場所。
女性が活躍するサロン
結婚・出産を経ても女性スタッフが長く活躍している、さまざまなサロンの取り組みや職場づくりを紹介していきます。
HAIR COPAIN
熊本市中央区
ヘア、ネイル、エステティックのトータルビューティーにとどまらず、ブライダルサロンも展開する「COPAIN」。オーナーの德冨さんは、サロンを「美容を提供するだけでなく、お客さまが集まる場所にしたい」と語ります。全32名のスタッフ中、現在ママスタッフは4名。結婚しても誰も辞めず、出産経験者4人も全員復帰している。「それを可能にするのが“ゴレンジャー理論”」と語るオーナーの德冨さんに、独自の経営理論についてうかがいました。
1取り組み
「COPAIN」では創業時から「スタッフが辞めない店」を目指した取り組みを行っている。そのひとつが、オーナーが「ゴレンジャー理論」と呼ぶ「全スタッフがそれぞれの職種・立場で活躍する」ことだ。「どんな人にも必ず得意分野がある。それを見つけてあげるのがオーナーの仕事」とオーナーの德冨さんは語る。
例えば、出産後は「スタイリストのまま、短時間で効率よく売上を上げられる」働き方や、「マネジメントにまわって売上以外の価値を生み出す」働き方など、スタッフの希望に合わせた働き方を選べるようにしている。また、サービスの提案をスタッフからしてもらうことにより、スタッフとサロンの双方の可能性を広げられているという。
ママスタイリストは出産後の働き方の事情が家庭によって異なる。接客時間で売上が左右されるスタイリストの他にも、お客さまフォローやスタッフの育成など新たな価値を生み出す働き方があれば、時短勤務でもみんなが無理なく活躍できる。また、体力的にスタイリストがきつくなったスタッフが物販の仕事で能力を発揮するなど、年齢を重ねても仕事を続けられる役割を与えている。
オーナーが日頃から個々のメンバーとのコミュニケーションをとって個性を把握していることで、適材適所に人材を配置できる
2取り組み
担当のスタイリストが決まっていても、案内するスタッフや、シャンプー・セットなどをするアシスタントは別にいる。「COPAIN」では、お客さまにつく際に全員がまず名乗るなど、関わるスタッフ全員の名前を覚えてもらえるような接客をしている。「担当スタイリストのお客さま」ではなく「お店のお客さま」というのがオーナーの考え方だ。
お客さまがスタイリスト個人ではなく店につくことで、スタイリストの産休・育休時の引き継ぎがスムーズになる。また、休むことでの失客が防げるとともに、育児休暇を取ることにお客さま離れの不安を覚えるママスタイリストたちに対して「安心して1年ぐらい休んでこい」と言えるそうだ。
また、お客さまが全スタッフを覚えているため、お客さまから若いスタッフに「今度あの子にお願いしてみようかしら?」と声をかけてもらえることもあり、スタッフの成長にもつながっている。
ママスタイリストの河部さんも当初は3カ月ぐらいで復帰しようと思っていたが、「急がなくていい」と言われ8カ月の育休を取った
3取り組み
出産後は本人の希望や事情により、勤務形態を柔軟に選べるようにしている。例えば、時給のパートとして10:00〜15:00勤務からスタートし、子どもの成長とともに10:00~17:00ぐらいまで働けるようになったら固定給制の準社員にしていくなどだ。
先輩ママスタイリストたちが、さまざまな働き方の中から自分にとってベストな働き方を選んでいる姿を見ることで、後輩たちがリアルに将来をイメージでき、安心して出産・育児に臨めている。そして、出産を経験した女性スタッフが全員戻ってきて、「辞めないサロン」が実現できている。
オーナーの德冨彰一さん。東京のサロンで13年間勤務した後、出身地である熊本で親の美容室を引き継ぎ「COPAIN 」を開業
A. スタイリストだけが偉いわけではない。アシスタントのプロという道もある。
技術のうまさは実は幻想。もちろんある程度の技術は必要ですが、極論すれば「お客さまが気に入った人がうまい人」です。集客力とは技術はもちろんですが、サロンにいる時間の心地よさの方が重要です。スタイリストよりアシスタントの方がお客さまと接する時間が長いため、接客力は全員に身につけてもらうようにしています。
サロンはお客さまとの密接度が高く、お客さまのライフステージを熟知しています。そこにはさまざまなビジネスチャンスがあります。スタッフが高度な接客ができれば、他業界に取られた売上を取り返すために、新たな分野への展開も望めると思います。
A. 「みんなのお店」にすること。スターはつくらない。
サロン勤務の経験で感じたのは、スタイリストが心地よく働ける仕事量で、個人の売上の上限を決めた方がいいということ。スタースタイリストに売上が偏ると、1日の接客数が多い=ひとりのお客さまにかける時間が減る→その分アシスタントをたくさん使って本人も疲弊する→結果的に生産性が低くなります。「ある上限まで売上が到達したら、後輩を育てろ」と言っています。上限のスタイリストが増えることが生産性の向上とみんなの働きやすさにつながると考えています。
Salon Data
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