LGBTQ+のお客さまへの接客等を考えることで、「誰もが自分らしく美容を楽しむ、表現できる」そんな美容サロンを実現するお店づくりのヒントをご紹介します。
INDEX
「多様性の尊重」は、美容業界を勝ち抜くカギ
SDGsが社会に浸透し、さまざまなライフスタイルや価値観に対して、より一層配慮が必要な時代になってきました。
性のあり方も、「男性」「女性」という2通り以上にもっと多様であり、それぞれのあり方が尊重されるべきだ、という認識が広がってきています。美容サロンでも、良かれと思って伝えたことが、お客さまを傷つけ、知らない間に失客につながっていることもあるかもしれません。
一方、「性のあり方に関係なく、お客さまが安心して通えるサロン」は新規集客のチャンスにもなります。
多様性の尊重は、「お客さまに選ばれるサロン」の必須条件となってきました。競争の激しい美容業界を「勝ち抜く」カギともなります。
LGBTQ+のお客さまへの対応等を考えることを通して、サロン全体の顧客満足度UPにもつなげていきましょう。
LGBTQ+を知っていますか?
メディアなどで「LGBTQ+」という言葉を耳にすることが増えています。近年は、メディアを通してカミングアウトする著名人が出てきたり、多様な性についての情報が取り上げられています。
LGBTQ+とは?
ホットペッパービューティーアカデミー作成
LGBTQ+の方は国内で全人口の約5〜8%存在すると言われています。調査手法によっても変動するため正確な数字の把握は困難ですが、13〜20人に1人と考えると、意外に多いと思われる人もいるのではないでしょうか?
これはサロンのお客さまにも、(ご自身がLGBTQ+であると伝えているかどうかにかかわらず)きっといらっしゃるはずという数字です。「LGBTQ+のお客さまは、うちにはいらっしゃっていない」と感じているとしたら、それは、気づいていないだけかもしれません。
全員が当事者!SOGIEってなに?
また、世界に目を向けるとLGBTQ+という言葉ではなく、SOGIE(ソジー)という言葉で語られる場面も増えており、性の多様性については誰もが当事者であるという意識が高まっています。
SOGIEとは?
ホットペッパービューティーアカデミー作成
性のあり方は一人ひとり違い、自身を「どのように思うか」「どのように見せたいのか」は社会や他人から決められるものではなく個人の自由であり、アイデンティティです。
特にサロンでは、お客さまの「どんな自分でありたいのか」「どんな姿になれたらうれしいか」というご希望を聞き取る機会も多いはず!
そんな時、すべての方が「その人らしさ」を大切にしてサービスを受けられるようにするために、サロンからの情報発信、接客等においても、それぞれに違うお客さまのあり方を理解した丁寧なコミュニケーションが求められます。
LGBTQ+のお客さまが、美容サロンで困っていることは?
LGBTQ+の方は、美容サロンを気兼ねなく使えているのでしょうか?実はサロンを利用するさまざまなシーンで課題がありそうです。実際の声を聞いてみましょう。
来店前
- 「店員さんがLGBTQ+フレンドリーかどうか分からず、そもそもお店に行くのをためらう。」(パンセクシュアル女性・20代)※1
- 「メニューが『レディースカット』『メンズカット』となっていた時点で、『ここには行けない』と感じて諦めている。」(ノンバイナリー・30代)※2
※1 パンセクシュアル…男性・女性だけに限定せず、すべての性自認を持つ人を特に区別しないで恋愛対象とすること
※2 ノンバイナリー…男性・女性の性別に当てはめない性のあり方
受付~カウンセリング
- 「本当はかっこいい雰囲気のショートカットがいいけれど、『少し女性らしさもあったほうがいいですよね』と言われ、希望を伝えられない。」(トランスジェンダー男性・10代)
施術中
- 「スタッフさんと親しくなるとプライベートや恋愛の話題が出ることが多く、行きづらくなってお店を変える、という繰り返し。『常連さん』になってみたい。」(レズビアン・40代)
(「認定NPO法人 ReBit」より提供)
サロンで、直接お声を聞くことは少なくても、実は安心して過ごせていない、本当に希望するサービスを受けられていない、ということが結構ありそうです。
でも実はこれらは、ちょっとした「サロン内での工夫」をプラスするだけで、ずいぶんと変わるんです!
次回以降、サロンのシーンごとに具体的に何をすればよいのかを見ていきましょう。
監修
認定特定非営利活動法人(認定NPO法人)ReBit(りびっと)
LGBTQもありのままで学び・働き・暮らせる社会を目指す、認定NPO法人。
学校・行政・企業でLGBTQやダイバーシティに関する授業/研修を約2,200回、22万人以上に提供。
多様な性についての教材作成や、LGBTQの就活生ら約1万3,000名超のキャリア支援を行う。
また、LGBTQなど多様性にフレンドリーな就労移行支援事業所を、渋谷区と大阪市で運営。
団体名は「少しずつ(Bit)」を「何度でも(Re)」繰り返すことにより社会が前進してほしい、という願いから。
ReBitホームページ