女性が活躍するサロン
女性スタッフが辞めない
サロンの秘訣
結婚・出産を経ても女性スタッフが長く活躍している、さまざまなサロンの取り組みや職場づくりを紹介していきます。
vol.37新宿の激戦区で、ママが活躍!
土日・夜が忙しいアトリエはるかの取り組みとは?
アトリエはるか 京王モールアネックス店/ヘアメイクサロン
東京都新宿区
メイクアップ、ヘアセット、ネイル等、プロによるキレイをグッと身近にした「アトリエはるか」。「プロのヘアメイクで、手軽にキレイに変身しませんか?」をコンセプトに、駅近のトータルビューティーサロンとして現在全国に55店舗を展開しています。在籍する47名のママスタッフのうち、激戦区・新宿エリアの5店舗では4名が活躍中。京王モールアネックス店にも、ママスタッフ1名が在籍しています。今回は新宿エリアのスーパーバイザー飯田さんに、土日・夜が忙しい中で多くのママが活躍されているその秘密を伺いました。
1取り組み
自分に合う勤務パターンを3種類から選べる!
ママスタッフに向けた「両立社員制度」を導入。
どんな制度?
家庭と仕事を両立するために時短で勤務できるという、小学生以下の子どもを持つママスタッフのための制度。条件や待遇は一般社員と異なるものの、A、B、Cと3種類の勤務パターンから選択できる。週の実働時間はいずれも35時間。お客さまの予約が多い土日祝日の勤務をゼロにはできないが、保育園事情や家族の協力態勢などにより、自分に合ったスタイルを選ぶことができる。制度の検討段階では、勤務パターンは2種類だったが、「どちらでも働きづらい」というママスタッフの声に応えて見直しを実施。その結果、もう1種類を加えて現在のスタイルに。
現場での運営方法は?
復帰のめどが立ったら、まずは本部にてマネージャーとの面談を行う。保育園をみつけられるか、何時から働けるか、家族の協力を得られるかなどを細かくヒアリングし、どういう働き方ができるか相談していく。社員はお客さまが集中する土日や夕方の勤務が求められるが、たとえば、夫が土日休みなど、土日祝の勤務日または勤務時間を減らしたいならAかBをチョイス。保育園のお迎えなど、日々の時間帯を調整したいなら、曜日によって勤務時間が変動するC を選ぶことに。働き方の選択肢を増やすことで、ママスタッフが復帰しやすく、その後も働き続けられる土台をつくる。その上で、A、B、C、それぞれのメリットとデメリットを現場でのケースもふまえながら説明し、その人にとってどれがベストかを一緒に考えている。
2取り組み
ママスタッフのモチベーションアップのため
一部会社負担でランチ会を開催。
どんな取り組み?
子どもの発熱などによる急な欠勤を店内でフォローできるよう、各店舗にママスタッフは1名という場合が多い。「他店のママたちがどう働いているのか知りたい」「時間の上手な使い方を知りたい」などの声が挙がったことをきっかけに、ランチ会をスタート。会社が日時や場所を提案して開催し、子連れはもちろんOK。また、子どもを預けられるサービスがあるカフェなどを利用することもある。エリアごとに集まり、ママスタッフ同士の交流を図っているが、最近はエリアを越えてのランチ会も開いている。
メリットは?
家庭と仕事を両立していると、遊びに行く場も機会もグッと少なくなるもの。そんなママスタッフにとって、出掛けるチャンスがあるということは、それだけで楽しみのひとつに。また、時短で働いていると、勤務時間内に店舗のスタッフと他愛ない話をするチャンスはあまりなく、仕事仲間とのコミュニケーションも不足しがち。そんな中で、同じ立場や条件で現場に立つママスタッフと交流できるランチ会が行われると、仕事のしかたや悩みなどを共有できる。単なる愚痴のこぼし合いではなく、どうしたらもっと「短い時間で成果を出せるか」など、先輩ママからアドバイスをもらえる貴重な場にもなっている。職場から少し離れたところで仲間とコミュニケーションが取れるのは、「気分もリフレッシュできてうれしい」と、ママスタッフからも好評だという。
3取り組み
ママの勤務形態への理解を得た上で採用するなど
全スタッフの公平性を配慮。
具体的には?
今は世の中的に「働くママを優遇しよう」という流れになってはいるが、ただママを優遇するだけでは意味がない。結婚や出産をしている人と、していない人ができるだけフェアな状態で働ける環境ができてはじめて、意味があるものと考えている。ママスタッフのための時短勤務を、スタッフ全員が分かるように「制度化」したのはそのひとつ。さらに、せっかくの制度を活用しながら公平性も保てるよう、現場でも配慮。ママスタッフがいる店舗に新たなスタッフが入店する際には、店長からその店舗のママの勤務形態についてをきちんと説明し、理解を得ている。
周囲のスタッフの理解は?
時短勤務を制度化する前は、時短や子どもが急病で出社できないなど、ママスタッフの働き方に対する他のスタッフからの不満を感じることもあった。「両立社員制度」ができてからは、採用時にまずママスタッフの勤務形態についてを説明。それを理解した上で入社し、現場に出てもらうという態勢をとることに。合わせて、がんばっているスタッフにはインセンティブを多くつけるなど、みんなに公平性があるかという点に気をつけて会社と現場の両面から制度づくりを整備。みんなが「ママスタッフの働き方って、そういうもの」という認識の下で働くようになっていき、不満の声もあがらなくなった。復帰するママを「頼りになる先輩だから、大変な時は助け合おう」というムードで迎える意識も根づいている。
スーパーバイザーインタビュー
- Q. 「制度」を理解してもらうための工夫は?
-
A. 分かりやすく明確に記した資料を用意しつつ
ケーススタディを熟知した担当者が常にサポート。「制度」にするとかえって難しく思われたり、浸透しづらかったり…。ママに渡す資料はかなり分かりやすくつくられていて、復帰する筋道がしっかり書かれた、いわばマニュアルのようなものです。ただ、読むだけでは解決しづらい個々の事情や分からない部分は、人事担当にそのつど電話などで聞いて、すぐに解決できるようにサポートしています。制度にもなるべく柔軟性を持たせ、ママたちから「こんな希望が出ている」となれば、制度を見直していきます。
- Q. ママスタッフがいて、よかったと思えることは?
-
A. 若手スタッフにはない力を持っているし
短時間で最大限のパフォーマンスを発揮してくれます。ママはある程度の技術を習得してから産休に入り、復帰するので、技術力はもちろん接客面でも安心感があります。短い時間の中で生産性を上げようという意識も高いため、仕事が速く、頼んだことは必ず終わらせて帰ってくれます。また、一度職場を離れたからこその「働けることへのありがたさ」を理解しているので、精神面でも落ち着いていて、周囲への気遣いも忘れません。スタッフをひっぱっていってくれるだけでなく、人生の先輩としても頼もしい存在です。
Salon Data
アトリエはるか 京王モールアネックス店
- アクセス
- 各線新宿駅から徒歩3分
- 創業年
- 2000年(会社設立)
- 店舗数
- 55(グループ全体)
- 設備
- ヘアメイク4席にヘッドスパスペースとメンズ向けグルーミングスペースを併設
- スタッフ数
- 6名(ヘアメイクアーティスト4名、グルーミングスタッフ2名) ※京王モールアネックス店