学ぶ。つながる。発信する。美容の未来を創る場所。
女性が活躍するサロン
結婚・出産を経ても女性スタッフが長く活躍している、さまざまなサロンの取り組みや職場づくりを紹介していきます。
serio anjo
愛知県安城市
愛知県内に10店舗を展開。ヘア、エステ、ネイルなど、トータルビューティを提供する「serio」グループの一員である「serio anjo」。おしゃれな癒し空間で受けられる丁寧な技術と接客が評判を呼び、多くのファンを獲得している人気サロンです。早くから女性支援の取り組みを推進。現在、同サロンで働く2名のママを含め、グループ全体で8名のママが活躍しています。スタッフのやる気や会社の強みを生み出す支援策の中身とは?広報・企画スタッフの鈴木さんにお話を伺いました。
1取り組み
入社2年目以上のママは復帰後、正社員のまま週休2日&1日6時間の時短で働ける「短時間勤務制度」を利用できる。また、復帰前に代表との面談で働き方を相談し、家庭の事情や希望などに沿って正社員とパートのどちらかを選ぶことも可能。パートの場合は、最低勤務時間などは特になく、働く時間帯なども柔軟に対応。週1日&何時間からでも働くことができる。
現在、7名のママが時短で働く正社員として、1名のママがパートを選択して活躍中。短時間勤務制度・選べる雇用制度は、キャリアのあるスタッフの定着につながっている。
約16年前に導入された「短時間勤務制度」。当初は、独身のスタッフたちから「ミーティングにママが出られないから、決まったことが伝わらない」など、理解を得ることが難しかったそう。そのため、代表がミーティングに出席し、「互いを思いやる気持ちを持ってほしい」と語りかけ、ママへの理解を促進。代表の意思を受けたスタッフ同士が相談し合い、ミーティングは、ママも参加できる時間帯にできるだけ実施するように。もしママが参加できない場合も、SNSなどを利用して、情報を共有するようにした。これにより状況は好転。小まめなコミュニケーションを通して互いを気遣えるようになり、制度に対しての不満も解消された。
「短時間勤務制度」を活用中のママスタイリスト 千上さん。5月から産休&3人目を出産予定
食事会なども、全員が出席できるようスケジュールを調整。短時間勤務の女性スタッフも一員と考え、参加できる状況を作ることが、ママの働きやすさにつながっている
2取り組み
長く働ける環境を目指している「serio」。そのため、スタッフの課題はできるだけ解消していきたいと考えている。しかし、女性スタッフからの相談の場合、子育てしながら働いた経験者でないと、悩みを理解することや、解決策を示すことが難しいことも。そこで、2児のママであり、店長の経験もある塚田さんを、全店舗横断の「キャリアメンター」という役職に任命。店舗の垣根を越えた経験豊かな相談役を立てることで、女性スタッフたちがより相談しやすく、より的確なアドバイスを受けることができている。
「ママの権利を主張するだけの人が多い中、塚田はママの立場に甘えることなく、スペシャリストにこだわった働き方を追求。また、常に周囲に感謝の気持ちを持って接しています。代表が彼女を任命したのは、相談相手として適役というだけでなく、彼女の働き方をよき手本としてもらいたいとの想いもあったからだと思います」と、広報・企画の鈴木さん。
「キャリアメンター」には、働いている店舗に来てもらって相談することができる。悩んだときに駆けつけてくれ、親身になって話を聞いてくれる先輩の存在は、若手にとって心の支えになっている様子。また、結婚や出産などで働き方に悩む女性スタッフからも、「時短で働く際の心構えを聞けて参考になった」「手続きの進め方やどの上司にお願いすべきか教えてもらえてよかった」など好評。スタイリストデビュー直後にママとなり一度は辞めることも考えたスタッフが、「キャリアメンター」に相談したことで復職の道を選べたなど、離職防止にもつながっている。
「キャリアメンター」の塚田さん(左)。女性スタッフの声を吸い上げ、解決策を提案。最適な上司を紹介するなど、適所への橋渡しも行っている
3取り組み
ひとり目の子どもには月1万円、ふたり目以降はひとりにつき月5,000円を支給する、「子育て支援制度」を約10年前から実施。時短で働くママが対象で、子どもが小学校に入学するまで支給される。現在、5名の時短ママがこの制度を活用している。
この制度は、時短勤務によって給与が減るママを、金銭面でサポートしたいとの想いから誕生。女性スタッフの「ママになって働き続けること」に対する金銭面での不安払拭につながっている。
このほかにも、扶養家族がいるスタッフには月1万5,000円の家族手当を支給。また、世帯主やひとり暮らしをしているスタッフには月7,000円の住宅手当を支給するなど、スタッフに働きやすい環境を提供すべく、福利厚生に力を入れている。
月5,000円で利用できる社員寮も完備。「働きやすい環境を作ること」にこだわっている
4取り組み
代表の次の立場にあたる部長職3名は全員女性で、うち1名はママ。男女や既婚・未婚を問わず、能力のあるスタッフは積極的に幹部に登用している。また、52歳の人気エステティシャンや、時短で働きながら月260万円の売上を上げるママスタイリストなど、現場で活躍しているベテラン女性スタッフも多い。
代表が目指す「長く働ける会社」を体現してくれているベテランママや女性スタッフたち。若手は、彼女たちの多様な働きぶりを通して、サロンでの将来をイメージすることができている。また、がんばり次第で役職など次のステージを目指せる環境は、仕事に意欲的に取り組める環境も生み出している。
「本部で活躍する事業部長やサロンワークもこなす営業部長、現場で輝くスペシャリストたちは、若手にとっての良き手本となってくれています」と広報・企画スタッフの鈴木さん
広報・企画の鈴木麻葉さん。
「serio」のブランディングや広報・企画に携わっている鈴木さん。「子育ての経験をサロンワークに活かしているスタッフは多く、会社が成長するには欠かせない存在。彼女たちがよりよく働けるよう、これからも要望や課題に、会社全体で取り組んでいきたいと考えています」
A. スタッフの定着率がアップ。
顧客満足や優秀な人材の確保にもつながっています。
16年前から、「短時間勤務制度」を実施。13年前に、「スタッフが働きやすい環境を作る」ことを使命としている現代表が就任。それをきっかけに、「キャリアメンター」や「子育て支援制度」など、女性活躍に関する制度の整備は加速していきました。それに伴い、女性スタッフの定着率はアップ。キャリアのあるママスタッフが活躍してくれることで、ママと同年代であり、サロンのメイン層でもある20代後半~30代後半のお客さまの満足度を高めることができています。また、求人の説明会で「ママになっても働けますか?」との質問を受けることが増えてきたのですが、良き見本を示せることはサロンにとって大きな強みに。優秀な人材の確保にもつながっています。
A. ママをフォローするスタッフたちのための
制度も整備していきたい。
時短で働くママは、営業前の準備や閉店後の後片付けなどは免除。そのため、子育てスタッフの割合が多いサロンは、どうしてもフルタイムで働くスタッフたちに掛かる負担が大きくなりがちです。掃除や営業時間前後のレッスンなどに参加するスタッフには月1万5,000円の教育手当が支給されますが、スタッフ間の人間関係でカバーしている面が大きいのが現状。ママスタッフのみで構成するサロンのオープンなども視野に入れながら、解決につながる制度の整備を進めたいと考えています。
Salon Data
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