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女性が活躍するサロン

女性スタッフが辞めない
サロンの秘訣

結婚・出産を経ても女性スタッフが長く活躍している、さまざまなサロンの取り組みや職場づくりを紹介していきます。

vol.44スタッフの4人に1人がママ。65年も前から
女性を大切にしてきたサロンの文化とは?

HAIR&BEAUTY SPACE RE-KO

京都市上京区

創業65年の歴史ある京都のサロン「RE-KO」。オーナーの藤本さんの叔母さまとお父さまが創業者で、京都の美容業界を牽引してきました。創業時からの社員を大切にするアットホームな社風を引き継ぎつつ、今の社会に合う会社づくりを始めています。常務である奥さまと二人三脚で進める、女性活躍の風土づくりについてお話をうかがいました。

1取り組み

コミュニケーションを重視し、スタッフ同士がお互いの事情を理解し合える風土づくり。

どんな取り組み?

 全30人の従業員中、現在ママスタッフが7人、3回の産休を経て勤務しているスタッフもいるという。オーナーの藤本さんが最も大事にしているのは、産休や育休から戻ったスタッフたちに、居づらさを感じさせない受け入れ体制だ。そのためにコミュニケーションを重視し、歓送迎会や忘年会などの飲み会、店内コンペや講習なども積極的に実施。スタッフ同士がお互いの事情を理解し合える場を意図的につくっている。

なぜそうした?

 先代の時代は、スタッフは寮で共同生活をしていたり、ママスタッフが職場に子どもを連れてきたり、スタッフ同士がお互いの子どもの面倒を見合っていたそうだ。「けれど今は、スタッフもお客さまも変わってきているので、昔のようないい意味でのなれ合いでは立ち行かないこともあります。スタッフ間の距離が近くお互いを思い合う風土は残しつつ、個々のスタッフの考え方も尊重できる体制にしていくべきと考えています」(藤本さん)

今年の新人歓迎会。このほかにも業務内・業務外でさまざまなスタッフコミュニケーションの場を設けている

今年の新人歓迎会。このほかにも業務内・業務外でさまざまなスタッフコミュニケーションの場を設けている

2取り組み

時短で働くスタッフはパートではなく「準社員」に。

どんな取り組み?

 産休・育休から復帰したスタッフは、保育園の事情で勤務時間が制限されることがほとんどだ。そのため、例えば勤務時間を9:30-16:30、休みを日曜・祝日にして、社会保険はそのまま継続できる立場を「準社員」として位置づけている。子育てから手が離れて本人が希望すれば、社員に復帰することももちろんできる。

背景とメリットは?

 出産前にフルタイムの社員としてがんばっていたスタッフを、勤務時間に制限があるからとパートにすることでモチベーションが下がる場合もある。本人の働きたい意欲を会社が理解していることを示すために、社員に準じた立場で受け入れるしくみをつくったそうだ。「社員のままという方法もありますが、そうすると他のスタッフから不満が出る可能性もあるため、お互いに公平と感じる制度としました」(常務の藤本さん)

本店勤務の山口さんも、現在10:00-16:00の準社員として活躍している

本店勤務の山口さんも、現在10:00-16:00の準社員として活躍している

常務である奥さま(右)は、マネジメントを担当。オーナーの藤本さん(左)とともに「女性が長く働ける職場づくり」を進めている

常務である奥さま(右)は、マネジメントを担当。オーナーの藤本さん(左)とともに「女性が長く働ける職場づくり」を進めている

3取り組み

多数のロールモデルの存在で、若いスタッフが将来をイメージできる。

どんな取り組み?

 「RE-KO」には、最近退職した60代の女性スタイリストがいた。そのスタッフは子育てだけでなく、孫もいたそうだ。そのスタッフを筆頭に、ママになった後も仕事を長く続けるスタッフが昔から大勢いたことで、若い女性スタッフたちが自分の将来をイメージでき、仕事を続ける意欲につながっているという。

背景とメリットは?

 現在勤務するママスタッフたちの子どもの年齢は幼児から高校生、成人などさまざまだ。多数のロールモデルが昔からいることで、「産休を控えたときにどう引き継ぎをすればいいか」、「子どもはどのように育っていくか」、「ママスタイリストが同僚やお客さまにどのように接すれば理解を得られるか」などを、若いスタッフが目の当たりにすることができる。 
 それによって、子どもの発熱などでママスタイリストが急に早退をすることがあっても、「子どもがいれば普通にあることだ」とスタッフみんなが理解し、協力しあえる風土にもつながっている。

「長く働いてくれたスタッフや常連のお客さまに支えられています」(藤本さん)

「長く働いてくれたスタッフや常連のお客さまに支えられています」(藤本さん)

オーナーインタビュー

オーナーの藤本豊士さん。東京でのサロン経営を経て、6年前から実家のサロン「RE-KO」を引き継いだそう

Q. 65年の老舗であることもすごいですが、当時から女性を大事にしていたのもすごいですね?

A. 創業者が叔母で、当社では当たり前の風土でした。

 私の父が6人兄弟で全員が美容業界にいました。「RE-KO」は叔母が創業者で、父とともにつくったサロンです。父の代の30数年前から養護施設の訪問美容をするなど社会貢献にも力を入れていました。社会貢献するにはまず自分たちの社員を大事にしていなければできないですよね。「経営=人育て」という風土は創業当時から当たり前だったそうです。

Q. もともとあった「女性や社員を大事にする風土」を進化させなければと思ったのはなぜですか?

A. 今の若い人に合わせるためには、合理性も必要です。

 昔の店は、共同生活をしながらみんなが家族のように働いていました。それでお互いの事情を理解し合えていたのはよいことですが、今、社員を共同生活させることはできませんし、人との距離感が昔とは違いますよね。それを現代に合わせるには、コミュニケーションにしても、働き方にしても、きちんと制度化して就業規則や福利厚生として社員に示さなければ、今の若い人が納得して働くのはむずかしいと思いました。

Q. 女性が長く働けるサロンにするには、何が必要だと思いますか?

A. 夢を見せることと、女性の能力を尊重することです。

 今は美容業界の中でもさまざまな仕事があります。その中でスタイリストを続けてもらうには、同じことだけさせていては若い人はついてこないと思います。例えば東京や海外に出たり、一歩上の仕事に挑戦させるなど、うちのサロンでできる新しくて魅力のあることを提示してあげることもこれからは必要だと思っています。
 また、女性にしかできない気づきや心配りなどがたくさんあります。家庭の中でも、母や妻の役割をこなす女性ってすごいですよね。それは仕事でも同じです。男性オーナーがそれに気づいていないことが多いように感じます。お客さまの大半は女性で、女性スタイリストが求められる時代なので、女性の持つ能力を理解できれば、オーナーとしてすべきことが見えてくると思います。

Salon Data

HAIR&BEAUTY SPACE RE-KO【ヘアーアンドビューティースペース レーコ】

アクセス
丸太町駅2番出口から徒歩10分
創業年
1951年
店舗数
3店舗
設備
6席
スタッフ数
約30名
URL
http://beauty.hotpepper.jp/slnH000186841/
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