イノベーターが
見ている未来
vol.115
その取り組みと背景、そして未来についての展望をうかがいます。

ASSORT GROUP
CEO ⼩林 Kenさん (age.40)
国内は東京・大阪、海外はアメリカやオランダなど世界6カ国でヘアサロンを展開する「ASSORT GROUP(アソート グループ)」。ニューヨーク店は4カ月先まで予約が埋まるほど、いずれの店舗も予約困難!ASSORTに来るために、わざわざ来日する外国人のお客さまも多いという。なぜここまで、世界各国に熱狂的なファンが生まれるのか。そして、外国人の方がリピートしたくなるASSORT流の教育とは?
第1章海外店舗&インバウンドが絶好調
「コロナ禍はスクラップ&ビルド。
必ず再上陸する!と決意した」

ASSORTのニューヨーク店は4カ月先まで予約が埋まるほど好調だとか。現在の店舗展開の状況を教えてください。
日本は東京と大阪に店舗があります。海外はニューヨーク(アメリカ)と、あとはアムステルダム(オランダ)に2店舗、そして香港。あと2024年にオーストラリアのメルボルンに、2025年1月にイギリスのロンドンにもオープンしました。
日本の店舗も外国人のお客さまが多いのですか?
東京も大阪も、外国人のお客さまが9割超。そのうち35%くらいは日本在住の方で、残りがインバウンドの観光客の方。海外店舗の場合は、おもにその地域に住んでいる方ですが、たとえばメルボルン店には、シドニーやケアンズから飛行機で来る方も。ニューヨーク店はアメリカ各地から来店されます。オープンしたばかりのロンドン店も、2~3割は地元以外の方で、ヨーロッパ中から来ていますね。「これまではヨーロッパにアムステルダム店しかなかったからそっちに通っていたけど、ロンドンのほうが近くて助かる」と話すお客さまもいます。
すごいですね!客単価はどれくらいですか?
日本の店舗は、シニアスタイリストのカットで1万円くらい。そこにロング料金やダブル・トリプルカラー、トリートメントの料金を乗せていくことが多いので、平均客単価は5万円くらいです。
海外店舗が中心で、国内店舗も外国人の方が多いとなると、コロナ禍は打撃が大きかったのでは?
本当に大変で、心労で夜も眠れないくらいでした。うちは海外で働きたいスタッフが多いのに、コロナ禍で渡航ができず、日本の店舗にいても外国人のお客さまが来ない。それが半年、1年と続くうち、スタッフはどんどん辞めてしまいました。当然ですよね、そんな状況がいつ終わるのかもわからなかったので。
運営資金に充てられる内部留保に余裕があるわけではなく、銀行も十分には融資をしてくれない。だから僕自身の資産も全部、スタッフの給料に使いました。
そこまでとは…想像していた以上に、大変な状況だったんですね。
コロナ禍が百年に一度くらいの不測の出来事だったとしても、会社の体制というか体力のなさを反省しました。「何とかなるだろう」という甘えがあった。今になって振り返ると、覚悟が足りなかったと思います。
2020年にニューヨーク店をいったん閉じたのを皮切りに、2021年には原宿店と青山店、オーストラリアの店舗も閉じて…。最初は閉じることに、とても抵抗がありました。特にニューヨーク店は最初の海外店舗でもあったし。でも、最初の1店舗を閉めたら吹っ切れました。店を開けていても意味がない、むしろもったいないという気持ちに変わって。
スクラップ&ビルドのいい機会だと捉え、「絶対にアメリカに再上陸するぞ!」と決意しました。この経験があったから、経営者として成長できたかもしれません。
2013年にオープンしたニューヨーク店を2020年に一度閉めたが、宣言通り、2023年に復活オープン
オーストラリアで初の直営店舗となったメルボルン店は2024年オープン。今後オーストラリアは直営にて展開予定
SNSが外国人に大バズり!ブランド力を
拡大し、4カ月先まで予約がいっぱい!?