イノベーターが
見ている未来
vol.118
その取り組みと背景、そして未来についての展望をうかがいます。

株式会社Monopoly
代表取締役 森井健太さん (age.37)
「Monopoly(モノポリー)」は、スタッフ平均年齢24歳、店長の平均年齢は26歳と若い組織。店長は挙手制、店名からコンセプトまで店長が決める “任せる経営”で急成長。全国12都道府県に美容室&アイラッシュサロンを32店舗展開(2025年7月時点)、2025年の年商は14億円に達する見込みだ。 “本気”が人を動かすという、そのマネジメント哲学に迫る。
第1章美容室経営の土台をつくった異業種キャリア
「他業種での経験が、
将来の美容室経営に活かせると考えた」
森井さんのご実家は、美容室だとうかがいました。
そうなんです。奈良県の片田舎で、父と母が小さな美容室を営んでいます。1階が美容室、2階・3階が住まい、という環境だったので、子どもの頃から美容師さんは身近な存在。ごはんを食べる時間もないほど慌ただしい様子や、時に人が辞めていく姿を見ていたので、「いつか自分が美容室をやる時は、それを解決できたらいいな」と漠然と思っていました。
大学卒業後、ITとアパレルのお仕事に進んだのは、どうしてですか?
「オンライン」と「オフライン」の領域で強い企業を経験しておけば、将来の美容室経営に活かせるという考えがあったからです。
2社目となるアパレルの店舗では、現場の人たちも仕事に熱中し、生産性が高い動きができている。マニュアルに加えて、ステートメント・ミッション・バリュー・プリンシプル(行動規範)が明確にあって、「なぜ自分はこの仕事をするのか」という目的が根付いているからだと感じました。すごく勉強になりましたね。
2社での経験が、活きているんですね。その後は?
フィリピンで画像編集を中心としたBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)事業を立ち上げました。というと聞こえはいいですが、僕は社会不適合者の面があって…(笑)。自分のやりたいことを自由に突き詰めたい気持ちが強かった。意思決定されたことに対して成果を出す、そのプロセス自体は大切ですが、自分には全く向いていなかったんです。
なので、単身フィリピンに移住し起業しました。仮に事業がうまくいかなくても公用語が英語なので、英語力は身に付くだろう。そんな考えからでした。
食べていくのがやっとの状態でしたが、日本のクラウドソーシングプラットフォーム運営会社から事業譲渡の申し入れがあり、2015年から約4年間は、そちらの子会社として事業を継続。資本金が貯まったこともあり日本に帰国して、出身地である奈良県に美容室をオープンしました。
それまでの仕事とは業界も違いますが、スタートから順調でしたか?
正直、全然順調ではありませんでした。スタッフにまったく信用されず、あの頃がいちばんキツかったですね。おそらく「この人、詐欺師なんじゃないか?」と思われていたんじゃないかな(笑)。
でも、そう思われても当然です。まだ店舗がひとつもない段階でスタッフを採用しておきながら、「これからガンガン出店していく!」なんて大口を叩いていたわけですから。ただ、そんな時でも僕の言葉を信じてついてきてくれたメンバーのおかげで、何とか踏みとどまることができました。
初期費用300万円でスタートし、資金繰りに四苦八苦しながらも集客は何とか軌道に乗せ、その結果、創業から6年で32店舗まで広げることができました。
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信じて、任せて、6年で32店舗展開!
爆速成長を生む Z世代マネジメント。