イノベーターが
見ている未来
vol.13
その取り組みと背景、そして未来についての展望をうかがいます。
AFLOAT ウェブ部門部長
AFLOAT JAPAN代表
西岡卓志さん (age.37)
日本を代表するブランド美容室「AFLOAT(アフロート)」は現在、直営店を都内6店舗、FC店を18店舗、さらにハワイにも1店舗展開しています。今回登場していただくのは、アフロートの開業と共に入社し、現在は「AFLOAT JAPAN」の代表も務める西岡さん。人気スタイリストとして活躍するだけでなく、オンラインコミュニティの立ち上げなど意欲的な挑戦を続ける、西岡さんの想いをうかがいます。
(CHELI)
https://lounge.dmm.com/detail/130/
(AFLOAT)
http://www.afloat.co.jp/
第1章アフロート発の「オンラインコミュニティ」を始動
「蓄積したノウハウは独占しても意味がない。
広めることが、結果的にはお客さまのためになる。」
「アフロート」というと社長の宮村さんがメディアに出る機会が多いかと思います。ですが今回は、「アフロート」の中には他にも「こんなすごい方がいる」というのを紹介したくて、西岡さんにご登場いただきました。まずは、WEB部門責任者として展開されている「オンライン上の活動」について教えてください。
2015年から、オンラインコミュニティ「ジェネクション」をスタートさせました。これはヘアサロンの経営者やスタイリストに向けて、技術や経営のノウハウを提供したり情報をシェアし合ったりする有料コミュニティです。まだスタートして1年未満なので、内容はやりながら改善していっている状況ですね。最近はオンライン上のコミュニケーションだけではなく、カットやスタイリングなどの実習形式のセミナーも始めました。
オンラインコミュニティを始めたきっかけは?
先に美容サロン向けのオンラインコミュニティ「Multiverse(マルチバース)」を始めた、「air」の木村直人さんと話したことがヒントになりました。「マルチバース」は木村さんと「grico」のエザキヨシタカさんの共同主宰で、個人運営という形です。「個人ではなくて、ヘアサロンが運営するのもおもしろい。それが実現可能なのも、“AFLOAT”だからこそでは?」と木村さんから言われて、それもいいなと思ったんです。
以前から「アフロート」では美容サロン向けのスクール事業を行っていたものの、ずっと改善したいと思っていて。というのも、1~2時間の講習で伝えられることは限度があると。学びというのは、「繰り返し実践し、振り返る」ことで身に付きます。ところがスクールをやっていると、受講者は参加したことで満足しがちだなと感じていました。だから「学んで実践し、疑問が出たらそのサポートまでできる方法はないか」と考えていました。こうした状況に、「オンラインコミュニティという選択肢が出てきたので始めた」という感じです。
「アフロート」が始めた「ジェネクション」は、どのようなものですか?
「ジェネクション」はスクール事業の延長線上にあるので技術がメインで、その他にスタッフ教育や「アフロート」の取り組み、メディアの活用法なども紹介しています。宮村や各店の店長、スタイリストなど講師が複数いる点も違いのひとつです。
「アフロート」が蓄積してきたノウハウや情報を公開することに、ためらいは?
それはないですね。情報にお金をいただく有料コミュニティですし。それに、「自分たちのサロンだけがよければいい」という考え方は、結果的に自分たちのためになりません。ビデオレコーダーの規格のVHSとベータのようなもので、独占するよりも各店が切磋琢磨したほうが市場は活性化しますから。
でもこれは「美容業界のため」というのではなくて、僕は「お客さまのため」という考えです。「情報は提供する。そしてやる気がある人は自分を磨いて、感度の高い人だけが生き残っていけばいい」と思っていて。それが結果的に「お客さまのため」になるでしょう?
お客さまへ向けた試みとしては、オンラインで「シェリ」が7月からスタートしますね。
こちらは以前から、お客さま向けに不定期に開催していた「女性の魅力アップセミナー」のオンライン版です。ヘアアレンジやメイクのコツの動画配信をはじめ、普段の施術中には伝えきれない情報を発信していきたいと考えています。そして発信するだけでなく、Q&Aコーナーのような双方向に交流できる仕組みも用意しています。
一般の女性向けとのことですが、想定しているターゲットは?
まずは「お互いのことを知っていてコミュニケーションがとりやすい」という理由から、「アフロート」の既存顧客の方が対象です。講師としては2名の女性スタイリストを担当にしていて、会員数に対して不足するようなら講師も増やしていくつもり。女性スタッフはいっぱいいますからね。会員は100名を予定していますが、「ターゲットである女性のネットリテラシー(知識・能力)がどれほどなのか?ウェブを利用した有料サービスを受け入れてくれるのか?」という点は未知数。全然集まらない可能性もありますよね(笑)。
でも、うまくいかなくても、ひとつのチャレンジとしてアリかなと思っています。美容サロンっていうのはまだ完成された業態ではなくて、ある種のベンチャービジネスだと考えていて。だからおもしろがって、いろいろトライすることが大切だと思うんです。
生涯顧客、訪問美容、そして新たなトータルビューティー。
そのブランドイメージをも覆す、「アフロート」の未来像。