イノベーターが
見ている未来
vol.14
その取り組みと背景、そして未来についての展望をうかがいます。
GARDEN
須崎勝己さん (age.50)
東京・原宿に店舗面積200坪、セット面40面もの大型ヘアサロンをオープンした「GARDEN(ガーデン)」は今年で10周年に。これまでさまざまなコンセプトのヘアサロンを出店し、2014年にはアメリカ・ニューヨークへも進出。入れ替わりが激しい美容業界において、開業時の勢いが衰えることなく人気サロンであり続けています。スタッフ一丸となって進化を続ける秘訣とは?この10年間を振り返りながら、代表取締役・須崎さん流の「人材育成」についてうかがいます。
http://www.garden-hair.jp/
第1章この10年間、大切にしてきたこと
「スタッフが自分の個性を最大限に活かす。
そして長く美容人生を歩める“組織づくり”を。」
須崎さん、加藤さん、森内さんの3人で1号店を出店してから10周年、今年6月には10店舗目をオープンされました。今なお成長を続ける「ガーデン」を支えている、「人材育成」を中心にうかがえたらと思っています。
僕らが立ち上げ時から一貫して考えているのは、「個のよさ、強みを最大限に活かす」こと。そしてスタッフには「個の強みを武器にして、美容人生を送ってもらう」、そんな組織集団を目指したいということです。組織というのは大きくなると平均化しがちです。でも「ガーデン」が10店舗に増えるまで成長できたのは、トップ3人それぞれの個性があって、それがうまく花開いたから。それと同じように、スタッフにも、個性を活かした美容人生を歩んでほしいと思っています。
そもそも1号店を200坪という大きなスペースにしたのは、「学校」をイメージしてつくったから。スタッフ一人ひとりの「個性」を育てていって、「それぞれ違う世界観を花開けるように」っていう想いがあったんです。
「ガーデン」が運営するヘアサロンは、1店舗ずつ「店名」も「店構え」も違います。そこからも、個性を重視されていることが感じられますね。
女性が成熟して一人ひとり異なった嗜好をもつ現代において、画一的なチェーン展開は受け入れられないと思うんです。それよりは、飲食店でいったらビストロもあるし、和食、チャイニーズ、ダイニングバーもある。いろんなお店があって、お客さまの嗜好や気分で選んでもらえるようにする。で、「気づいてみたら全部“ガーデン”のお店だった」というのが理想です。
お客さまはどの店舗がいいかを決める際、「その背景まで感じとって、共感して」選んでいます。とってつけたような、うわべだけのコンセプトでは共感してもらえない。だから新しい店を立ち上げるとき大切なのは、その美容師自身が「やりたいこと」、つまり「自分らしさをしっかりと表現すること」だと考えています。
各サロンのトップを務める「スタッフの想い」を反映しているから、「ガーデン」のサロンはそれぞれ個性的なんですね。
そうですね。そして上に立つ者には「自分の世界観を大事にするだけでなく、下の子の世界観も認めて育むことが大切」だと伝えてきました。それぞれのスタッフが個性を活かしてステップアップしたように、後輩にもその道を歩めるようにすること。この考え方を理解できない人には、代表は任せられません。
代表が個性を活かした店舗づくりをする反面、働くスタッフが「自分の個性には合わないな」と感じる問題は起きませんか?
先ほど話したように、「自分の方向性と違うから」といって代表は相手を否定することはない。「個性を認める姿勢」があります。それにうちでは、「スタイリストデビューする店舗を自分で選ぶ」ことも可能です。これはグループならではの強みですね。先輩たちがさまざまなタイプの店を構えて道を広げると、後輩にとっては選択肢が増えることになる。そうした先輩たちの姿は「自分にも先輩みたいな未来があるんだ」と、イメージさせることにもつながっています。
極論、「ガーデンブランド」がなくなっても構わない。
「どれだけすごい奴を未来に残したか」が大事。