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訪問美容~データ&実例編~
超高齢化社会を迎え、サロンの潜在市場として注目される “訪問美容”。
データや実践事例を交えて訪問美容の可能性について考えていきます。
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vol.2
データ編訪問美容は求人難の解決策にもなる!?
「人の役に立つ仕事」として美容業を再認識。
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美容専門学校を目指す若者は減り続けている。
高齢化の一方で、日本の18歳人口は1992年以降減少し続けています。しかし、2000年代初頭まではテレビドラマやカリスマ美容師ブームの影響で、美容専門学校の入学者は増加していました。それがブームの終焉とともに、18歳人口の減少率以上に急減してしまったのです。
ここ数年は1万8,000人前後で推移しているものの、少子化に歯止めがかかっていない状況では増えることは期待できません。「求人しても人が採れない」という悩みを抱えるオーナーの方々の声もよく耳にします。限られた美容師の卵たちをどのように自分のサロンに振り向かせるかも、経営者として考えなければならないことだと言えそうです。
訪問美容で、「美容=社会貢献できる仕事」にイメージアップ。
訪問美容は、実は求人難の抑止につながる可能性も秘めています。
グラフ2は美容に興味を持つ高校生に聞いた「理想の働き方のイメージ」です。「やりがいがある」に続いて「人の役に立つ」が選ばれています。内閣府が毎年行っている「社会意識に対する世論調査」でも、「社会の役に立ちたいと思っている」という20代の回答は、2005年には50%だったのが、2015年には69%と、10年で20%近くも増加。
今の若い人が持つ、高い社会貢献意欲を美容の仕事で満たせる方法のひとつが、訪問美容と言えるのではないでしょうか。訪問美容のイメージを業界全体で定着できれば、美容学校を目指す若い人の増加にもつながるかもしれません。
復職を希望する休眠美容師の採用にもつながる。
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ブランクがあっても入りやすい訪問美容。
求人難の抑止につながる大きな手立てに、休眠美容師の掘り起こしがあります。国家資格も経験も持っている彼らを取り込むためにも、訪問美容は有効です。ホットペッパービューティーアカデミーの調査では、一度美容師を辞めた人でも、復職を希望している人は約3割います。さらに、グラフ3のように、復職を希望する人が働きたいサロンとして「訪問美容」を挙げている人が上位を占めているのです。
ブランクがあると、最先端の技術やトレンドについていくのは高いハードル。一方で訪問美容であれば、人の役に立ちながら過去に培った技術を活かせると思えるのかもしれません。
このように、訪問美容を前面に出すことで、美容業界のイメージアップを図れるとともに、採用がしやすくなる可能性も見えてくるのです。
次号では、実際に訪問美容に取り組んでいるサロンにお話を伺います。