美容の未来のために、学びと調査・研究を

美容サロン経営を学ぶならホットペッパービューティーアカデミー

女性が活躍するサロン

女性スタッフが辞めない
サロンの秘訣

結婚・出産を経ても女性スタッフが長く活躍している、さまざまなサロンの取り組みや職場づくりを紹介していきます。

vol.61慣らし出勤に、復帰お知らせPOP…
ユニークな取り組みでママスタッフを支えるサロン。

REGINA Tri'or/ヘアサロン

埼玉県川口市

2016年3月にオープンした「REGINA Tri’or」をはじめ、川口市内に3店舗を展開するヘアサロン「REGINA」。ゆったり寛げる上質な空間と丁寧な接客が、多くのファンを引きつけています。創業10年を迎えるこのサロンに、初のママスタイリストが誕生したのは約2年前。それに続いて、2人目のママスタッフとなる女性が復帰を宣言し、現在育休中です。「ママが働きやすい環境づくりは必要だけれど、もっと大切なのはよい見本」と話すゼネラルマネージャーの井田さんに、女性活躍のための工夫を伺いました。

1取り組み

現場の感覚を取り戻すために
復帰の半年前から慣らし出勤を実施。

どんな取り組み?

 産休・育休明けにママスタッフが復帰する場合、子どもの預け先の目途が立ち、復帰時期が決まったら、その半年前から慣らし出勤を実施。月2回、1回2時間の勤務からスタートして、徐々に日数や時間を増やしていく。シャンプーやカラーなどカット以外の作業を担当しながら、現場の感覚を取り戻していくことが狙いだ。出勤日は固定ではなく、本人の都合を聞きながらフレキシブルな調整が可能。

背景とメリットは?

 産休・育休の長いブランクで生じる、カット技術や接客への不安を解消するために導入された。実際にスタイリスト歴の長いママスタッフは、慣らし出勤2回目でカットを担当できるほどに勘が復活。本復帰に向けてお客さまへ顔を売る機会にもなる。「担当スタイリストが長期間不在になることは、お客さまにとってダメージ。この期間に以前の指名客のカラーなどを担当し、信頼関係を再構築する場にしてほしい」と井田さん。

ママスタッフ第1号の鈴木さん。復帰まで2年ものブランクが空いたが、復帰後半年で以前の指名客の半数を取り戻した

ママスタッフ第1号の鈴木さん。復帰まで2年ものブランクが空いたが、復帰後半年で以前の指名客の半数を取り戻した

2取り組み

育休明けにお客さまが戻るように
復帰の時期をPOPでアナウンス。

どんな取り組み?

 育休が明けて復帰した時に、一番辛いのはお客さまがいないこと。そんな残念な状況を避けるべく、復帰時期が決まった時点で告知POPを作成。「4月にスタイリストの●●が戻ってきます!」と店内あちこちに貼りだし、お客さまへ広報した。さらに月2回の慣らし出勤期間中にも、POPでママスタッフの入店日をアピール。店のスタッフが一丸となり、ママスタッフの復帰の舞台を整えた。

スタッフやお客さまの反応は?

 POPは多くの人の目に触れ、「いつお店に出るの?」と気にしてくださるお客さまも続々。クチコミで以前の指名客にも情報が伝わり、どんどんお客さまが戻って来るという嬉しい結果に。
 引き継いでいたお客さまをママスタッフへ戻すことになったスタイリストも、「いずれは自分の番」と前向きに解釈。「サロンのみんなでお客さまを担当する」という職場風土も、取り組みを後押しした。また、「お客さまの来店がママスタッフの出勤時間内であればママスタッフが担当し、それ以外の時間は引き継ぎスタッフが受け持つ」という、ダブル担当システムも誕生した。

ママスタッフ復帰後も、新しいデザインで告知のPOPを制作。お客さまの目につく場所に配置した

ママスタッフ復帰後も、新しいデザインで告知のPOPを制作。お客さまの目につく場所に配置した

3取り組み

頑張りが数字に表れる歩合給で
時短スタッフへの理解がアップ。

どんな取り組み?

 店で働くスタイリストたちは、長い時間をかけて高い技術を身につけてきた美容のプロ。そのため、「給与は、時間ではなくその技術と能力に支払われるべき」と考え、歩合給を採用している。「美容師にとって大事なのは、知識と技術と、お客さまとの信頼関係。時間でお金をもらう体制だと、苦労して身につけてきたことの価値が分かりづらくなってしまいます」と井田さん。時短勤務のママスタッフでも例外はなく、全社員が同じ条件の下でハサミの腕を振るっている。

メリットは?

 歩合給は、スタッフがモチベーションを維持するために重要な制度。頑張れば頑張った分だけ給与が入るので、時間のないママスタッフのやりがいもアップする。
 また、その頑張りが数字に表れるため「時短なのにこんなに成果を出している!」と他のスタッフが理解。勤務時間は短いながらも、努力しているママスタッフを応援する空気が生まれた。

「他スタッフの理解を得るには、ママスタッフの頑張りも不可欠。仕事に対する真剣な姿勢や努力を証明する売り上げの大きさが、みんなの応援を引き出します」と井田さん

「他スタッフの理解を得るには、ママスタッフの頑張りも不可欠。仕事に対する真剣な姿勢や努力を証明する売り上げの大きさが、みんなの応援を引き出します」と井田さん

ゼネラルマネージャーインタビュー

ゼネラルマネージャーの井田琴美さん。3つのサロンでスタイリストとして活躍を重ね、2006年の「REGINA」設立と共に取締役に就任。スタッフのマネジメントをしながら、現在もサロンに立ち、多くのお客さまを担当している

Q. 女性活躍の取り組みを始めたきっかけは?

A. 会社創設7年目に初の妊娠報告があり、彼女の希望を聞くことから始まりました。

 私が過去に勤めたサロンでは、妊娠したスタッフは退職するのが当たり前。育児が落ち着いた頃に、パート勤務で戻って来るというパターンがほとんどでした。すると産休も育休もなく、出産手当金ももらえません。同じ女性の立場から、「それではいけない」という思いを抱いていました。
 その後に立ち上げた「REGINA」で、初の妊娠報告をしてくれたのが、つきあいの長い後輩スタッフ。今後の希望を聞くと、「出産後も正社員で働きたい」と。そこで彼女の意見を聞きながら、ママスタッフの働きやすい環境づくりに着手しました。1つのロールモデルができたことで、「そういう働き方がしたい」と、次のママスタッフ候補が出現。現在、育休をとりながら慣らし出勤を始めています。

Q. 歩合給を取り入れる中で、工夫されていることはありますか?

A. 店の全員でお客さまの情報を共有し、チームプレイの精神を育てています。

 歩合のシステムで気を付けたいのは、みんなが個人事業主の視点になり競争してしまうことです。そうなると空気も悪くなり、店一丸でお客さまをおもてなしすることができなくなってしまいます。「歩合制であっても、チームプレイは大切」。そういった共通認識を深めるために、朝礼や終礼でのお客さまの情報共有を徹底しています。例えば、「足をケガされているので、シャンプー台の近くの席へ案内してほしい」とか「妊婦さんなので、飲み物はカフェイン抜きで」など。こうして、店のみんなでお客さまを担当する意識を持つと、スタッフ同士でフォローし合う風土ができてきます。それが、現在のママスタッフの活躍にもつながっているのではないでしょうか。

Q. さらにこれから、女性活躍のために取り組みたいことは?

A. 短い出勤時間を充実させるための環境づくりを考えていきたいです。

 産休・育休、時短勤務など働きやすい環境は必要ですが、体制をいくら整えても、よい見本がいないと後が続きません。結局、「ママスタッフにどう頑張ってもらえるか?」が重要なのです。なので今後は、ママスタッフが短い勤務時間内に、効率よく、楽しく働ける環境を考えていきたいです。
 今計画しているのは、「平日昼間ママスタッフいます!」とSNSで告知して、子育て中のお客さまを集めるプラン。ママたちは日々、子育てに関する情報を求めています。そこでヘアケアのついでに、ママスタッフのいるサロンを情報交換の場として活用していただくのです。ママスタッフにとっても有意義な時間になるのでは?そんな取り組みを、本人たちと話し合いながら進めていければと思います。

Salon Data

REGINA Tri'or【レジーナ トリドール】

アクセス
JR川口駅から徒歩1分
創業年
2006年
店舗数
3店舗
設備
16席 ※REGINA Tri'or
スタッフ数
13名 ※REGINA Tri'or
URL
http://beauty.hotpepper.jp/slnH000348590/
女性が活躍するサロンの記事一覧へ

おすすめの記事

注目の動画

連載記事ARTICLE

  • 新着
  • ランキング

動画ランキングMOVIE

ホットペッパービューティーアカデミーに
会員登録をして、
美容サロン経営に役立つ動画
を見よう!