「バーバー」人気の理由
今「バーバー」が人気の理由
近頃増えている、従来の理容室とは違う新しいタイプの「バーバー」は、なぜ多くの男性ファンを生んでいるのでしょうか?
ターゲティングやコンセプト、強みなどについて探っていきます。
ROYAL MAN grooming(大阪府大阪市)
ネイルやエステも男の身だしなみ。
関西の紳士が愛する上質なバーバーとは?
1970年に創業した株式会社ロイヤルが、2007年にエグゼクティブ層をターゲットにつくり上げた「ROYAL MAN grooming 」。
優雅で紳士的なブリティッシュスタイル、上質なサービスと多彩なメニューで、たちまち大阪バーバーシーンのトップ集団に躍り出たこの店。
難波店マネージャー・中村優造さんに、その躍進の秘訣を語っていただきました。
勝因は細やかなコンセプトづくりと、明確なターゲティング。
まずはエグゼクティブ層の心をキャッチ。
2007年に第1号店がオープンした「ROYAL MAN grooming 」。当初のターゲットは”お金と時間に余裕があるエグゼクティブ層“だった。その思惑通り、40代以上のハイクラスのお客さまを多数獲得。やがて影響力のあるその層からの波及で、より若い世代のビジネスマンも多く訪れるようになったという。こうして徐々に評判を高めていった同店。では、一体どのように、ハイクラス層の心をつかんだのだろうか。
気持ちをリラックスモードに変える落ち着いた空間づくり。
コンセプトは、家、会社に続く「第三の場所」。インテリアやサービスの細部まで上質なこだわりを行き届かせることで、心から落ち着ける場を生み出したのだ。たとえば待合室はやや照明を落とし、入店後はすぐにドリンクを提供。大型ロッカーにはスーツケースなども収められる。ゆったりとしたソファ、専用のスリッパ、低く流れるジャズミュージックなど、その他の演出も完璧。こうしてお客さまの気分は、仕事モードからリラックスモードに切り替えられるのだ。
ビジネスパーソンに寄り添う多彩なメニューで来店頻度をアップ。
ネイルケアやシェービングの潜在需要を掘り起こす。
お客さまの平均来店頻度は2~3週間に一度。この頻度の高さを生み出すのは、上質な空間だけではなく、豊富に揃うメニューにある。もちろん、これらも明確なターゲティングにより構成されている。たとえばネイルケアは、名刺交換の際に見られるビジネスマンの身だしなみ。クレンジングやマッサージを取り入れたエステ・シェービングも、バリバリと働く世代に好評を博している。一番人気はシャンプー、カットにこのエステ・シェービングとマッサージを含めたロイヤルセット。所要時間は60分ほどで5000円。この至福の時間が、働く男たちを惹き付けるのだ。
自慢の頭皮マッサージは約3割のお客さまが利用。
そして現在、こちらが力を入れているのが頭皮マッサージ。別途技術研修を受けて資格を取得したスタッフが、じっくりと時間をかけて頭皮をマッサージ。これが頭皮の臭いをはじめとした、ターゲット世代の悩みに見事にマッチ。現在では来店者の3割ほどが利用するという店の看板的存在になっている。
主役は箱ではなく、あくまでも人。
その初心を忘れないことが大切。
スタッフは、お客さまの憧れる存在が理想。
男性スタッフは皆、ジャケットやベストに身を包みドレスアップ。このスタイルもまた、店の評判を確かなものにする一因だ。そして前述の頭皮マッサージの資格は、9名の技術者全員が取得。さらに挨拶の仕方、タオルの掛け方、ペンの渡し方など。どこまでも洗練されたひとつひとつの所作が、上質でシックな雰囲気づくりの要因となっている。
細やかな所作や心構えまで説く充実の研修体制。
スタッフ教育は店内研修だけではなく、別につくられた研修所でも実施。オペレーションはもちろん、社会人としての細やかな動作や心配りまで丁寧に指導する。「覚えることは多いですが、その分実力になりますから」と、マネージャーの中村優造さん。どれだけ空間をつくり上げようとも、店の本質はスタッフにある。その初心を持ち続けていることが、このサロンの躍進の秘訣かもしれない。
インタビュー
Q.男性のネイルケア需要を広めた秘訣はありますか?
A.ただ勧めるのではなく、ストーリー性を持ってお伝えすることです。
やはりネイルケアは女性のものという意識は根強いようです。しかし、美意識の高い男性には、ストーリーとともにお伝えすることで必要性をご理解いただけることがあります。たとえば名刺交換の際、あるいはバーやレストランでグラスを持ったとき、爪の美しさが印象を左右する。そういう角度からお勧めすることが秘訣ではないでしょうか。
Q.スタッフ教育で心がけていらっしゃることはありますか?
A.人として、かっこ良くスマートであること。そういう人にしか、散髪は任せられません。
お客さまの身だしなみをお任せいただくのですから、スタッフがかっこ良い存在であることは大前提。技術レベルの高さはもちろん、ファッション、所作、知識などさまざまな点で高いレベルの感性が求められます。そして感性が磨かれるのは、自らの体験だけ。だからいろいろなことに挑戦できる環境づくりをいつも心がけています。
Salon Data