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サロンで始める
訪問美容~データ&実例編~

超高齢化社会を迎え、サロンの潜在市場として注目される “訪問美容”。
データや実践事例を交えて訪問美容の可能性について考えていきます。

vol.10

実例編サロン経営と兼業しながら、介護施設でもバイト。
「介護の仕事が楽しい」と語るオーナーの想いとは?

地域で愛されるアットホームなサロン「アルクール」。オーナーとしてサロンワークをしながら、訪問美容にも出かけ、さらに介護施設でヘルパーのバイトまでしているというオーナーの熊谷直美さん。「ヘルパーの資格が直接訪問美容に役立つわけではない」と語りつつ、介護のスキルも磨き続けている想いについてうかがいました。

アルクール(東京都江戸川区)

  • 全スタッフ2名
  • 1店舗
オーナー:
熊谷直美さん
訪問美容開始:
2014年
訪問施設数:
5〜6施設(1回の訪問で約20名)
施設訪問頻度:
1〜2カ月に1回
訪問個人顧客数:
定期3〜4名
個人顧客訪問頻度:
2カ月に1回
訪問スタッフ:
サロン兼任1名(その他、外部スタッフとのユニット)
価格(カット):
施設1,500円〜、個人3,000円〜 (パーマは、施設7,000円〜、個人8,000円〜)

Q

訪問美容を始めたきっかけはどんなことでしたか?

A

常連のお客さまが病気で来店できなくなったことでした。

介護施設でバイト。今も働いてるんだ!

介護施設の状況を知るために、資格取得とともに介護施設でバイトをしています。

5〜6年前、常連の若いお客さまがお見えにならなくなったことがありました。そのときは理由がわからなかったのですが、後日ご家族から、その方が亡くなったと知らされました。実は以前からご病気のために車いす状態になり、サロンに来ることができなくなっていたそうです。そのことを聞いたとき、「生前におっしゃっていただいていたら、ご自宅までうかがっていたのに…」と悔やんだのです。
 それをきっかけに訪問美容を考え始めました。ただ、いきなりやろうとしても、介護を必要とされる方々の状況がわかりませんでした。そこで、通信教育でヘルパーの勉強を始めたのです。勉強するなら資格も取りたいと思って、ヘルパーの資格を取りました。さらに上の資格を取るには、介護の現場での実務経験が必要となるため、介護施設でバイトを始めたのです。サロンの営業が終わった後に通っていて、現在も続けています。

訪問美容に介護の資格が必要なのではなく、接し方の不安がなくなります。

現在も介護施設でバイトを続けているのは、やり始めてみて介護の仕事が奥が深くて楽しいと思ったからなんです。それで、やるなら介護福祉士まで目指してみたくなりました。訪問美容を始めるのに、必ずしも介護の資格が必要とは思いませんし、訪問美容の際に介護をするわけでもありません。ただ、訪問美容の対象の方々は、施術されることをいやがる場合や、じっと座っていられない方が少なくありません。勉強して介護の現場を体験することで、こうした方々に接する際の不安がなく施術に入れました。
 サロンワークでも美容師の資格を取っただけでは、すぐにお客さまのカットができないですよね。現場での経験を積むことが、役に立つと思いました。また、私がバイトしている介護施設はショートステイのため、さまざまな方が入所されます。そのため、要介護度の違いや、同じ方であっても日によって様子が異なることなど、多様な経験を積むことに役立っています。

  • サロン、訪問美容、介護施設でのバイトとフル稼働でもパワフルで笑顔が魅力的な熊谷さん

Q

訪問先はどのように営業されたのですか?

A

飛び込み営業と紹介です。ユニットを組んでいる仲間が見つけた施設もあります。

外部に仲間がいるんだね

サロンでの雑談や、1年前の営業が実を結びました。

最初は、フリーペーパーの求人誌の「介護特集」をリストにして、近隣の施設に飛び込みで営業に行きました。施設は忙しいのでアポは取れないため、飛び込みにしたのです。けれど10軒くらい訪ねても、すでにほかの業者が入っているなど断られてしまったので、施設ではなく在宅の個人から始めることにしました。サロンのお客さまに訪問美容をやっていることを雑談でお話ししているうちに、ご紹介をいただくようになりました。
 飛び込み営業をしてから1年ほどたった頃、施設からご連絡をいただいたことをきっかけに、施設の訪問も始まりました。ほとんどの施設は、以前入っていた訪問理美容業者から変更したいとのことでした。やり始めてから変更した理由を尋ねると、以前は、訪問理美容業者からの派遣で、ブランクのある美容師が多かったとのこと。なかには、「ブランクがあるからサロンワークは難しいけれど、施設の高齢者さんなら大丈夫」と、訪問美容を軽く考えている人もいたそうです。利用者さまたちも「以前はおしゃれをしたくて好きな美容室に行っていたのに、施設に入るとただカットされるだけ。その施術が気に入らなくても選べなかった。熊谷さんはおしゃれにしてくれるからうれしい」と言ってくださいました。職員の方も「訪問美容で利用者さまが喜ぶと思わなかった」とおっしゃってくださいます。

福祉美容師講習会で知り合った仲間とユニットを組むことにしました。

うちはスタイリスト2名のサロンなので、訪問美容は私だけが兼任で担当しています。施設の数を増やせたのは、福祉美容師の講習会で知り合った2名の美容師仲間とユニットを組んでいるからです。それぞれが見つけた施設にチームとして訪問しています。施設と出会ったきっかけもメンバーそれぞれなので、高齢者向け施設だけでなく、障がい者施設や病院など、介護を必要とするさまざまな施設を訪問することができています。

  • 「訪問美容は志が必要」と語る熊谷さん。介護の仕事の楽しさにとりつかれている

Q

訪問美容をやっていて大変なことはどんなことですか?

A

サロンワークとの兼務と、限られた設備で施術することです。

道具の持ち歩きも大変だね

サロンとのスケジュール調整や、スピーディーな対応を求められます。

サロンと兼任しているので、スケジュール調整が大変です。施設によって曜日が決まっているところとそうでないところがあるからです。基本的には先に決まった方を優先しますが、ときには施設から「3日連続で来てほしい」という要望が入ることもあり、すでに決まった予定があると変更せざるを得ない場合も出てきます。
 また、施設では施術にさける時間が限定されているので、スピードが求められます。それでも、利用者さまに期待されている「おしゃれなスタイリング」をするために、臨機応変にいい意味で手を抜けるところは抜くという対応が必要です。ブランクがあったり、スタイリストになりたての場合だと、こうした臨機応変な対応はむずかしく感じるかもしれませんね。

サロンとは違う設備での施術も大変です。

サロンはイスやシャンプー台など、スタイリストが施術しやすいようにできていますが、施設はそうではありません。イスの高さは固定されているので、こちらも無理な姿勢をしなければならなかったり、利用者さまもじっと座っていることができないことも多々あります。また、寝たきりの方のベッドをリクライニングする際にも、どこにクッションを当てたらお互いにラクかなど、やってみて「もっとこうすればよかった」と反省することもよくあります。
 そのために、移動式の折りたたみのシャンプー台など、訪問美容専用グッズを積極的に取り入れています。ただ、普段は電車やバスで移動しているので、キャリーバッグで持ち歩ける範囲にしなければなりません。必要最小限でよい施術ができるよう、道具も工夫しています。

  • 熊谷さんの訪問美容道具一式。専用のクロスや携帯用の掃除機までぎっしり

  • 公共交通機関を利用するため、左の一式をキャリーバッグに詰めて携帯している

Q

訪問美容をやっていてよかったと思うのはどんなことですか?

A

利用者さまに喜んでいただけることと、効率的に働けることです。

これから必要になることは?

利用者さまと職員の方の信頼を得られるよう、プロ意識が必要。

訪問美容をやってよかったのは、やはり利用者さまに喜んでいただけることです。「おしゃれを我慢しなくていいんだ」とおっしゃっていただけたり、「家族から以前は『なんでそんなに短くしたの?』と言われていたけれど、熊谷さんにしてもらうようになってから『かっこよくなったね』と言ってもらえる」とお言葉をいただいたこともあります。
 また、介護という、自分にとって専門外のフィールドでお仕事をさせていただけることに、感謝の気持ちでいっぱいです。職員の方々もお忙しいので現場で多くの会話はできませんが、お互いプロとして働く姿を見ることで、信頼関係ができているように思います。そのためにも、私たちは人様の職場の隅をお借りしているので、掃除も徹底して原状復帰していくなど、基本的なことをきちんとやることも心がけています。

これからは付加価値の提供が必要になってくる。

サロンの場合は、予約以外の時間は「待ち」になりますが、訪問美容のよいところは、行けば必ずお客さまがいることです。単価はサロンよりも低めですが、待ち時間がないことや、光熱費や家賃がない分は効率的だと思います。料金は施設によっていろいろですが、あまり安くし過ぎると質が悪いと思われがちなので、適正価格を考えて設定する必要がありますね。今後、訪問美容に参入する業者が増えてくると思います。価格競争だけでなく、どんな付加価値を提供できるかも大事になってくるでしょうね。現在はメイクのサービスなどをしていますが、さまざまな付加価値を考えていきたいです。

  • カットした髪で施設を汚さないよう、床に敷くシートも持参。細心の注意をはらって施術している

熊谷さんからひとこと

 訪問美容は「やってみたい」という気持ちが大事だと思います。「こうでなければならない」ということはないので、自分なりにやってみて、壁にぶつかったら修正していけばいいのではないでしょうか。
 育児などでブランクがある人にとって、訪問美容は勤務時間的には入りやすい働き方です。その一方で、「サロンは無理だけど、訪問美容ならできそう」という軽い気持ちで考えてほしくないですね。利用者さまたちも本心ではサロン同様のおしゃれを求めている方も多いので、そうした姿勢は利用者さまにも職員の方にも気づかれると思います。サロンのお客さまに喜んでいただくのと同じ気持ちでやってみましょう!

次号では、訪問美容を「ふるさと納税」に活用しているサロンをご紹介する予定です。

Salon Data

アルクール

アクセス
都営新宿線篠崎駅から徒歩1分
創業年
1992年
店舗数
1店舗
設備
4席
スタッフ数
2名
URL
https://beauty.hotpepper.jp/slnH000182086/
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