学ぶ。つながる。発信する。美容の未来を創る場所。
女性が活躍するサロン
結婚・出産を経ても女性スタッフが長く活躍している、さまざまなサロンの取り組みや職場づくりを紹介していきます。
hair salon bico【ビコ】/ヘアサロン
札幌市中央区
札幌でいち早くスタイル撮影に取り組み、デザイン力でまたたく間に人気サロンへと成長した「hair salon bico」。スタッフへの徹底した教育でブランド力を築き、大通店と札幌駅前店の2店舗を展開。2010年の創業時に4名だったスタッフは29名になり、ママスタッフや新人スタッフも元気いっぱいに働いています。そんな笑顔あふれるサロンづくりの秘密とは? 店舗近くのトレーニング専用スタジオで、オーナー・末野さんに伺いました。
1取り組み
産休・育休後に職場復帰する際、フルタイムの正社員かパートかを選べる制度。パートを選んだ場合、子育てに慣れるまでの期間として2年間を想定。その間は「何時間以上」など決まりを設けず、本人の希望で勤務日数や時間を決めることができる。まだ2年経過したスタッフはいないが、2年後には勤務体制や雇用形態など、働き方を改めてスタッフと話し合おうと考えている。
子供が小さいうちは、病気に強い子もいれば弱い子もいるし、人見知りの子も社交的な子もいるもの。子供とどう関わっていきたいか、どう働いていきたいかは家庭によってはもちろん、子供によっても変わってくる。「サロン側の都合で子供の育て方を制限したくない」というオーナーの考えが現れた制度だ。
現在、ママスタッフの袴田さんは、週3日、1日6時間の勤務体制で活躍中。制限をつくらないことで、子供が小さい間は子育てに比重を置きたいスタッフも復帰しやすくなっている。
大通店で活躍中のママスタイリスト袴田さん。「美容に携われることがうれしい!」と笑顔で話してくれました
2取り組み
パート勤務で復帰した場合の最低時給は1,000円だが、産後2年間は歩合率を通常より高い60%にアップ。1ヵ月の給与は時給制と完全歩合制のどちらか高い方が選択される。取り組み1と同様、2年間を「ボーナス期間」として設定しており、現在はほぼ、完全歩合制での支給となっている。
歩合率60%というのは、普通のサロンであれば成り立たない高い割合。時短勤務で給与が減ってしまう分、高い歩合率という形でママスタッフを経済面でサポートしている。
ただし、あくまでも子育てに慣れるまでの「ボーナス」のため、2年後以降は通常の歩合に戻し、「基本給+歩合」や「パート時給制」などの選択肢から、働き方を再度考えていく。「ボーナス」は、女性スタッフが職場に復帰することで、お客さまが戻ってきてくれることに対しての対価でもある。
大通店のスタッフのみなさん。スタッフ同士も仲がよく、ママスタッフが困らないようにサポートしてくれている
3取り組み
オーナーである末野さん自ら週3日、店舗近くのトレーニングスタジオでスタッフの教育係を担当。スタイリスト、アシスタントは就業時間内にスタジオに移動し、モデルを呼んでスタイル撮影を行う。スタッフは自分の仕事を撮影で振り返ることで、「今、本当にクオリティの高いものをつくれているのか」を知ることができ、より高い目標とデザイン力を身につけることができる。
営業時間内に効率的なトレーニングを実施することで、長時間労働を慣習化せず、短時間で成果を出せるスタッフが育っている。サロン全体の意識向上にもつながり、女性スタッフにとっては、ママになり時短勤務になった場合に、短時間で売上をあげられるスキルを身につけることができる。
「ファッションは“生もの”。賞味期限があるので、学ぶスピードが速くないとお客さまに満足してもらうことはできません」とオーナー。日々、限られた時間内での品質向上に努めているからこそ、売上を維持しながらも「週休2日、年末年始6連休、夜練なし、有休20日」などの勤務体制を実現できている。
福利厚生の一環として社員旅行も実施。スタッフとのつながりを深める大事な行事だ
夏にはスタッフみんなで浴衣を着て花火大会に。ほかにもスタッフの誕生日会など、オフタイムを楽しんでいる
オーナー・末野武己さん。札幌市内のサロンを経て、2010年に独立。市内に練習用のスタジオを構え、スタッフのトレーニングを行っている
A. 美容院は女性をきれいにする場所。女性スタッフを大切にするのは一番に考えるべきこと。
福利厚生をしっかりすることと同様、ママスタッフをサポートする制度づくりをしたいと創業当初から考えていました。美容院は女性のお客さまをターゲットにして、女性をきれいにする場所。だからこそ、女性スタッフも大切にしなくてはいけないと思っています。
私自身、母子家庭で育ち、母が働きながら幼い兄弟3人を育ててくれていたのを間近で見てきました。女性が子育てをしながら働くことの大変さや頑張りをよく知っていたので、「働くママをサポートしたい」という想いもあったと思います。
A. スタッフの家族が安心して暮らせる、稼げる美容師に導くことも会社の使命だと考えています。
「長く働く=頑張っている」という風潮が美容業界の悪いところ。でも本来は、「結果を出す=頑張っている」ということだと思います。結果を出すためには、能力を上げる努力をすることが大事。そうすれば、効率的に仕事ができて、長時間働く必要もなくなります。
給料を実際に稼ぐのは本人ですが、スタッフの家庭を支えるのは会社の役割だと思っています。今やっている取り組みも、私が今まで働いてきたサロンでは考えられないことばかり。未知のものに取り組んでいるのだから、当然、壁もある。でもそれは必然。「やってみなくてはわからない」と思えば、壁も壁でなくなります。
Salon Data
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