2月9日(火) 札幌レポート

女性スタッフが
長く働けるサロンとは?

~オーナーの実例紹介から、専門家による労務知識まで~

全5回のイベント、第2回目は北海道・札幌です。
72名もの方にご参加いただきました。その中には「これから、女性が活躍できるサロンに取り組む」といった人も多く、質問コーナーでは活発な意見が飛び交いました。その一部を、ご紹介します!

イベントレポート「女性スタッフが長く働けるサロンとは?」

登壇ゲスト

  • 加藤敏行さん

    株式会社GARDEN
    代表取締役

    加藤敏行さん

  • 松本平さん

    株式会社anemone
    代表取締役

    松本平さん

  • 正岡裕康さん

    株式会社anemone
    新宿マネージャー

    正岡裕康さん

  • 秋田繁樹さん

    社会保険労務士法人
    秋田国際人事総研
    代表

    秋田繁樹さん

第一部サロンの実例を知る

まず最初に、弊社執行役員・ホットペッパービューティーの責任者である柏村より、このイベントへの想いや目的を。そしてホットペッパービューティーアカデミー・齋藤から、美容業界における「女性活躍=女性が長く働ける環境」について、データをまじえてお伝えしました。

後半は、女性が長く働ける仕組みづくりを実践している2サロンの取り組みです。具体的な内容に、参加者のみなさんも興味深く聞き入っていました。

第一部 サロンの実例を知る

anemone(アネモネ)

anemone(アネモネ)

2010年の独立以来、年間4店舗のペースで出店。現在は東京都内を中心に、札幌・仙台・大阪などにも店舗を構える。「日本一給料が高い会社」を目指し、労働環境のさらなる向上に取り組んでいる。

http://anemone-salon.com/

[店舗数]
22店舗
[スタッフ数]
257名(うちスタイリスト253名、アシスタント4名)

女性が長く活躍できるための取り組み

[ママスタッフ25名]

  • 雇用体系は何度でも変更可能
  • 2週間前シフト希望制度
  • 出産お祝い金
  • ママスタッフの急な休みへのフォロー体制
  • 産休・育休、時短勤務制度

Pick up!当日出たお話を、
一部抜粋してご紹介します

Q雇用形態について、働くスタッフの理解度は?

A

最初は、自分の雇用形態を理解していないスタッフがほとんどでした。なので、現在は半年に1回くらい、雇用形態についての説明会を会社として実施しています。

また、店長と副店長がスタッフの小さな変化に気づいてあげるようにしています。何かあれば、それぞれの事情に応じて過去の事例を話しながら解決策を考えることができるので。万が一、雇用保険に加入していない、正社員ではないスタッフが妊娠したということになれば、雇用保険の手当は当然支払われません。雇用保険は一定期間加入していなければもらえないので、「妊娠したから正社員になりたい」ということでは遅いんです。準備期間をもうける意味合いでも、スタッフに恋人ができたなど早めの段階で、気づいてあげる。そして説明してあげることが大事だと思います。

松本さん

松本さん

Qママスタッフが、急に休むことになった時の対応は?

A

うちのサロンは、スタッフ同士で理解・協力し合っている環境があるので、他のスタッフがフォローします。それとスタッフのフォローも大事ですが、お客さまのフォローも忘れてはいけません。お客さまから電話で予約が入った段階で、「妊娠しているスタッフなので、やむを得ない事情でお休みをいただく可能性があります」ということを事前にお伝えします。ネット予約が入ったときも、同様の内容をメールでお送りするようにしています。

正岡さん

正岡さん

GARDEN(ガーデン)

GARDEN(ガーデン)

東京・原宿に200坪という日本最大級のヘアサロンを2006年にオープンさせて以来、銀座・新宿・ニューヨークなどに店舗を展開。常に業界のトップを走り続けるサロン。

http://www.garden-hair.jp/index.html

[店舗数]
9店舗
[スタッフ数]
270名
(うちスタイリスト99名、アシスタント121名、レセプション40名、バックスタッフ10名)

女性が長く活躍できるための取り組み

[ママスタッフ3名]

  • 産休&育休、時短勤務制
  • 産休に入るスタッフの顧客を「仲人型」で引き継ぎ
  • 一人ひとりの「WILL」に合わせた、「キャリアと人生プラン」の設計
  • 女性スタッフの体調ケア

Pick up!当日出たお話を、
一部抜粋してご紹介します

Q女性スタッフのキャリアプランには、どんなものがありますか?

A

いくつかありますが、代表的なものは8年間で人材教育を行う「G8(ガーデンエイト)プロジェクト」でしょうか。年に3回ほど外部講師を招いて研修を実施し、トップスタイリストを目指します。その後は、個々の特性によって、マネージメント部門・テクニカル部門・クリエイティブ部門という3コースの教育ラインをもうけています。男性は上を目指したい志向が強くマネージメント部門が人気ですが、女性はクリエイティブ部門の希望者が多いですね。しかし時代は変わり、男女ともに「店長もやりたくない、自分の店も持ちたくない、家庭を大事にしていきたい」という人が出てきたので、そういう人のための環境もつくっていかなければならないと思っているところです。

加藤さん

加藤さん

第二部労務のキホンを知る

秋田さん

秋田さん

社会保険労務士法人 秋田国際人事総研・労務士。社会保険労務士業務の他、多数の美容室の労働管理・指導相談にあたっている。「美容室・はじめての労務管理と就業規則」など、著書多数。

社会保険労務士法人 秋田国際人事総研・秋田先生より、美容サロン経営をするうえで必要な労務知識(産前・産後、復帰後の制度など)についてお話いただきました。ホットペッパービューティーアカデミーのサイトでも、イラストをまじえて楽しく労務知識が学べる記事を連載中です。ぜひチェックしてみてください。

サロン経営者のための労務知識

第二部 労務のキホンを知る

第三部パネルディスカッション

2サロンのゲスト、秋田先生に再度ご登壇いただき、参加者の方からの質問をもとにパネルディスカッション形式で進行しました。その一部をご紹介します。

第三部 パネルディスカッション

会場からの質問に答えていただきました!

Q「日本一高い給料を払うことを目指している」とのことですが、経営上での工夫は?

A

まず売り上げをあげるために、駅から近い場所にサロンを出店します。しかしテナントの1階は家賃が高いので、2階以上にすることで家賃コストをダウン。また材料は、複数の会社でまとめて買うことを条件に、ディーラーに値引き交渉もします。利益を伸ばすことも大事ですが、家賃などの固定費や材料費を抑えることに力をおいています。人件費は削らないので、どこかを上げる代わりに、どこかを下げるという企業努力が必要です。

「優秀な美容師は働くサロンを待遇で決める」と思っているので、そういう人を集めたいのなら、給料や待遇で「やりがい」を感じてもらわないと。ちなみに、うちでの人件費率は45%くらいです。

松本さん

anemone
松本さん

Q「育休中の手当は、通算12か月以上勤務して給与をもらっており、また保険に加入していないと出ない」という話がありました。現時点で雇用保険に入っていないのですが、スタッフが妊娠した場合、何か手立ては?

A

現時点で雇用保険に未加入の場合、基本的には2年間さかのぼって加入することができます。管轄ハローワークで手続きが可能です。

例えば、6カ月前に転職してきたばかりのスタッフが妊娠して育児休業をすることになったとします。しかし、転職前のサロンでは雇用保険に入っていなかった。その場合、手当が支給されるには「育児休業開始前の2年間に、賃金支払い基礎日数が11日以上ある月が通算して12カ月以上あること」が条件になります。この例で言うと、6カ月しか雇用保険に加入していないので権利がない。ですが転職前のサロンもあわせて12カ月あればいいので、転職前のサロンにさかのぼって雇用保険に加入してもらわなければなりません。スタッフのことを考えても、できる限り、労災保険と雇用保険は早めに加入する必要があります。

秋田さん

社会保険労務士法人
秋田国際人事総研

秋田さん

Q雇用形態の違うスタッフが店舗にいる場合、現場でのトラブルは?

A

うちでは、スタッフそれぞれがお互いの雇用形態を理解しているので、あまり揉めることはないですね。掃除など細かいことは、すべて全員でやるように工夫します。出勤時間も帰社時間もそれぞれ違うので、チェック表を使って「見える化」し、不公平感が出ないようにしています。

正岡さん

anemone
正岡さん

Qママスタッフとそれ以外のスタッフ、お互いの理解を深めるには?

A

「ママスタッフを特別扱いしているのでは?」という不満が、同じ女性から出たこともあります。そういう場合は、ママスタッフに働いてもらう意義を、しっかりと説明します。一方、妊娠した人に対しても将来の話をします。結婚したから楽に働けるというイメージではなく、「ひとりの女性の働き方のキャリアプランとして、そういう働き方もある」と考えてほしいからです。

常に、いろいろなスタッフへのケアが必要です。賞をつくって表彰し、がんばっているところを評価することも大事。また男性スタッフが結婚し子どもができた場合も育児手当を出したり、男性に対しての福利厚生をつくったり・・・。「みんながお互いを理解できる環境づくり」を心がけています。ただ、制度をつくればいいというわけではない。つくったうえで、会社として求めるものをきちんと構築することも必要です。それは、経営者にしかできませんから。

加藤さん

GARDEN
加藤さん

札幌イベントを終えて。
登壇者の方より

  • 秋田さん

    社会保険労務士法人
    秋田国際人事総研

    秋田さん

    GARDENさんとanemoneさん、2つのサロンに共通しているのは、オリジナルの制度をつくっていること。なぜオリジナルになっているのかは、経営者がスタッフの希望をすごくよく聞いているからですよね。今日参加してくださったサロンから、また新しい制度ができていったら素敵なことだと思います。

  • 松本さん

    anemone
    松本さん

    女性スタッフ向けの制度など含め、私のサロンはまだまだ完成形ではないと思っています。本日参加してくださった、みなさんからも学びたいと思っています。困ったら、とにかく誰かに聞くことが大事ですよね。それこそ、検索サイトでもいい。ひとりで悩むよりも、まず相談することが大きな一歩につながると思います。

  • 正岡さん

    anemone
    正岡さん

    今日、僕からは現場の話をさせていただきました。僕自身、新宿で店舗が増えた時は人手不足で大変でした。そのうちのスタッフのひとりは子どもがいたので、早く帰ったり休むときもありました。でも、そのママさん美容師にとても助けられました。今後店舗が増えていくことを考えたとき、やはり女性は大切な人材です。このイベントを通じて、より一層その思いを深めることができました。

  • 加藤さん

    GARDEN
    加藤さん

    実はつい先ほど、産休に入った社員から「保育園が決まった」という知らせを受けました。社員が一人復帰するということは、非常にうれしいことです。「一緒にまた働きたい」と純粋に思いました。こうやって復帰するにあたり、「うれしいと思えるかどうか」って重要ですよね。そういうサロンでありたいし、働くスタッフにもそう感じてほしい。そんなことを、あらためて思いました。