女性が活躍するサロン
女性スタッフが辞めない
サロンの秘訣
結婚・出産を経ても女性スタッフが長く活躍している、さまざまなサロンの取り組みや職場づくりを紹介していきます。
vol.109オーナー以外すべてママスタッフ!
失客を防ぐ体制づくりとは?
valan
千葉県成田市
エステからボディケア、ストレッチまで、多彩なメニューを揃えたリラクゼーションサロン「valan」。癒しのひと時を求めて、午前中からお客さまが押し寄せる人気のサロンです。スタッフ数は4人で、3人がママスタッフ。そのうちの1人は代表の酒井さんの奥様で、昨年秋に出産し、現在はお子さん連れで出勤しています。「ママスタッフは大事な戦力」と語る酒井さんに、サロンの取り組みについて伺いました。
1取り組み
ママスタッフの希望に応じた柔軟なシフト体制。
どんな取り組み?
オーナーの酒井さんご夫婦を除く2名のママスタッフは、どちらも10時~16時頃までのパート勤務。「扶養の範囲内で働きたい」という希望に合わせて、月15~16日出勤のシフト制を採用している。「土日のどちらかには入る」という条件はあるが、基本的に出勤日は自由。1カ月前に希望日を提出し、それをもとにシフトが組まれるので、子どもの行事に合わせての休みもとりやすい。
背景は?工夫していることは?
「育児中のママスタッフの勤務時間が限られるのは、仕方のないこと。無理なく働き続けてもらうために、休みの希望にもできる限り応えたい」と酒井さん。サロンは20時まで営業しているため、酒井さんと奥様のどちらか1人体制で夜の営業を支えている。
「うちのサロンは主婦層のお客さまが多いため、予約が集中するのも午前中から15時頃にかけての日中です。なのでママスタッフにも、勤務時間内にしっかり活躍してもらえれば大丈夫。いずれは人を増やして夜のシフトも充実させたいと思いますが、今は日中の予約を増やすために、できることを考えていきたいです」(酒井さん)。
2取り組み
指名制をとらないスタイルで、パートスタッフのプレッシャーを軽減。
どんな取り組み?
お客さまからスタッフの希望があれば受け付けるが、基本的に指名制はとっていない。1人のお客さまを2人のスタッフで担当できる体制を心がけている。「『Aさんがいないなら、Bさんで大丈夫』とお客さまに言ってもらえる関係性を築くことが理想です」と酒井さん。
背景とメリットは?
サロンとして一番避けたいのが、お客さまからの予約をお断りすること。「指名のスタッフが出勤していない日時に予約が入り、やむを得ずお断りすることが2~3回続いてしまうと、お客さまが来なくなってしまう可能性があります。スタッフがフルタイム勤務ではない場合、当然そのリスクは高まるため、対策が必要でした」と酒井さん。時短勤務の上、子どもの病気などによる急な休みが避けられないママスタッフにとって、指名制はプレッシャーになることも。現在のスタイルなら、「私は出られないけれど、もう1人の担当が入れるから大丈夫」という心の余裕も生まれる。シフトの柔軟性も確保でき、店にとっても失客のリスクを軽減できるメリットがある。
3取り組み
妊娠中のスタッフには常連のお客さまのみを担当させ、失客率1割以下に。
どんな取り組み?
妊娠中のスタッフも施術には入るが、1時間程度の短いコースが中心。施術と施術の間のインターバルも長めにとるように呼びかけた。その上で、新規のお客さまの担当は休止。関係性の築けている、常連のお客さまをメインに担当してもらった。
背景とメリットは?
サロンで初めての妊婦スタッフとなったのが、酒井さんの奥様。2人の先輩ママスタッフからさまざまなアドバイスを受けながら、施術時間や休憩時間を工夫して勤務を続けたという。「もうすぐ産休に入る状況で新規のお客さまを施術しても、その先も担当し続けることができないため、申し訳ないという気持ちになります。そういった心の負担を減らすために、新規の接客から外れてもらいました。常連のお客さまたちには体のことを気遣っていただき、妊娠中も前向きに働けていたようです。育休明けには9割以上のお客さまが戻ってきてくれたんですよ」と酒井さん。
代表インタビュー
- Q. 酒井さん以外は全員がママスタッフですが、ママスタッフを積極的に採用している理由は?
-
A. 意図したわけではありませんが、ママスタッフが多くなりました。
特にママスタッフにこだわってはいませんが、ご縁があったのだと思います。1人は求人募集をしていない時に、「働けますか?」と自ら問い合わせて来てくれたんですよ。
ママスタッフには勤務時間の制約がありますが、人生経験を積んでいるという価値は高いと思います。この地域の特徴としてファミリー層のお客さまが多いので、若手よりママスタッフの方が、お客さまと会話しやすいというメリットもある。なかなか人材が集まらないこの時代に、「働きたい」と言ってくれるのがママスタッフならば、ぜひ力を借りるべきです。夜のシフトに頭を悩ませるよりも、ママスタッフの戦力をもっと活かす方法を考えるべきだと、私は思っています。
- Q. 女性が活躍できる環境づくりを進めてきて、よかったと思えることは?
-
A. 私たち夫婦の働きながらの育児を、先輩ママスタッフたちにサポートしてもらえたことです。
一番は私たち夫婦に子どもができた時、スタッフにいろいろと協力してもらえたことですね。妊娠中の働き方でも「そこは無理しない方がいいんじゃない?」とか、子育てを経験しているスタッフたちからアドバイスがもらえて、妻も心強かったと思います。産後2カ月で妻は復帰し、子どもを店に連れてきて働いていますが、手が離せない時に子どもを見てくれているのもスタッフたち。2人とも赤ちゃんに慣れているので、本当に助かっています。今後、若手のスタッフを採用して、その子に子どもができた時にも、この環境を活かしていけるのではないかと思います。
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