先輩女性インタビュー
サロンで働く先輩女性たち
長く活躍しているさまざまな女性スタッフに、どんなキャリアを歩んできたのかインタビューしていきます。
自分なりの「なりたい私」を見つけてください!
vol.112
子育てしながら美容学校へ。
33歳でエステサロン開業の道のりとは?
キッズスペース併設で、子ども連れのお客さまも多く訪れる「Esthetic salon Aime(アイミー)」。店の代表でエステティシャンでもある吉田さんは、3人のお子さんのママです。美容業界に就職したのは、第1子が0歳の時。さらに第2子が生まれると、働きながらの夜間通学を経て、憧れのエステティック業界への就職活動に挑みます。教育の厳しいサロンで長く技術を磨き、第3子が2歳の時に自分の店をオープン。「当たり前のように毎日好きな仕事ができているのは、周りのみんなのおかげ」と語る吉田さんに、これまでの道のりと仕事への思いを伺いました。
Staff Data
吉田さん 36歳
エステティシャン。Esthetic salon Aime(東京都豊島区)代表。
エステティシャン歴14年。18歳の男の子、14歳と5歳の女の子のママ。
9:30~21:00を基本勤務時間として、予約に合わせて出勤。休みは月2~3日。
吉田さんのLife History
★…ターニングポイント
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18歳
長男を出産。飲食店でアルバイトをしていたが、子どもを育てるにあたり手に職をつけたいと考え始める。
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19歳
地元の化粧品メーカーに入社。営業、フェイシャルエステなどの知識や技術を身につける。
翌年、先に東京で生活していた夫のもとへ転居し、飲食店に転職。 -
22歳
長女を出産。翌年から美容学校の夜間コースを受講。昼間は飲食店で働き、子どもに夕食を食べさせた後に通学する生活を約半年間続けた。
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24歳
美容学校を卒業。就職活動を始めるも、小さい子どもがいることがネックになり難航する。直接雇用をあきらめて、美容業の派遣会社に登録。
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25歳
★原宿のエステティックサロンに採用され、派遣スタッフとして勤務をスタート。社長から直接雇用の打診を受け、翌年に正社員となる。
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30歳
次女を出産。産休を取らずに退職するも、産後4カ月で仕事が恋しくなり、もとのサロンに時短勤務で復職する。
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32歳
ママスタッフが他にいないサロンで、自分だけ時短勤務をしている状況が心苦しくなって退職。近所のネイルサロンの一角を借り、個人事業主として営業を始める。
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33歳
★夫が経営する会社の一部門として「Esthetic salon Aime」をオープン。店の責任者に就任する。
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34歳
店のオープンから7カ月後に夫が急死し、会社の代表を務めることに。臨時休業を経て、施術を楽しみにしてくれているお客さまのために、翌月から少しずつ営業を再開する。
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36歳~
スタッフや子どもたちに支えられながら店を運営する日々。生涯エステティシャンであり続けることが、現在の目標。
吉田さんへのインタビュー
Q. 小さなお子さん2人を育てながらの就職活動は、大変だったのでは?
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A. 希望する勤務時間や休日がネックになり、なかなか決まりませんでした。
子どもがいながらの美容業での就職活動は、かなり厳しかったです。応募の電話で「子どもがいる」と話して断られてしまったり、面接までこぎつけても家族構成を聞かれて採用不可になってしまったり。最終的には直接雇用をあきらめて、派遣会社に登録しました。それでも、「日曜休みで夜はNG」というこちらの条件だと全くマッチングせず、半年くらい仕事の紹介がない状況が続きました。そこで夫に頼み込み、保育園のお迎えを交代してもらうことに。夜の勤務時間の制限を緩くしたら、やっと拾ってくれる会社が現れて、働けることになりました。
そのサロンではありがたいことに、勤めて1カ月くらいで社長から「しばらく腰を据えてここにいてよ!」と期待をかけていただいて。派遣社員には通常やらせていなかった営業などの仕事も、どんどん仕込んでもらいました。施術では、お客さまがみるみるキレイになっていく喜びを共有できることがやりがいに。「エステティシャンを一生の仕事にしよう!」と強く思ったのはこの時ですね。
Q. ご自分のサロンを開設することになったきっかけは?
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A. 夫の発案と後押しによって、店を立ち上げることになりました。
サロン開設の発起人は夫なんです。私は個人事業主としてほどよく営業するスタイルも気に入っていましたが、「箱は用意するからやってみたらいいんじゃない?」と彼の会社に美容事業部を立ち上げてくれました。実は夫は昔から専業主夫志望で、私は仕事をしていたいタイプだったので、「夫婦の役割を逆転した方がいいね」とよく話していたんです。なので店が軌道に乗ったら、ゆくゆくは大黒柱を交代するつもりでいました。それもまだ先のことと考えて、まずはお客さまを増やすことに力を注いでいましたが、思いがけないタイミングでその時がきてしまいました。店をオープンした7カ月後に夫が急死し、代わりに代表を務めることに。会社経営について一切知識がなかったので、とにかく困惑するばかりでした。
Q. 会社の代表でもあったご主人の急死。どのように乗り越えられたのでしょうか?
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A. 知り合いの経営者の方々に相談をして、店の存続のために自分ができることを模索しました。
夫が亡くなって、一時は店を臨時休業にしました。経営者として何をしたらいいのかが分からず、店を畳むことも考えたのですが…。この店は、コンクリートがむき出しのスケルトン状態から、夫と共に作り上げた店。壁紙や床材を選んだのも夫なんです。それに、お客さまとの信頼を積み上げてきた場所でもあります。それだけ思い入れのある店を、手放す勇気がなかった。「やるしかない、経営者にならなくちゃ」と重い気持ちで営業を再開し、経営についていろいろな知り合いのところへ相談に行きました。
そこで夫の元上司から、「無理に経営者として振る舞う必要はないんじゃないですか?」というアドバイスが。「会社を存続するために必要なのは売上なのだから、難しく考えずに、まずはエステティシャンとして売上を上げる努力をすればいい」と言われて、目から鱗でした。「このままでいいんだ!」と妙に腑に落ちて、そこからはあまり経営者という意識を持たずに仕事しています。スタッフたちとも立場や目線は一緒。みんなと相談しながら店を回していく今のスタイルが、私には丁度いいです。
Q. ほぼ毎日出勤されていますが、現在、仕事と育児の両立はどうされていますか?
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A. 長男と長女が大きいので、2人に協力してもらっています。
次女の保育園へのお迎えは、長男と長女が交代でやってくれています。夕食も食材を切って用意しておけば、上の2人が仕上げをして、みんなで食べていてくれるんです。さらには毎週1回、長男のママ友が夕食を持って来てくれる日もあり、とても助かっています。頼り切りはいけないな、とも思っているのですが…。
先日スタッフが「Aimeの縁の下の力持ち、小さなスタッフたちへ」と、うちの子どもたちに贈り物をくれたんです。「みんなの店がなくならずに今も営業できているのは、お子さまたちの協力があってこそだから」と言われて、確かにその通りだと思いました。一度は畳むことも考えた店を今もこうして続けられているのは、残ってくれたスタッフがいて、予約してくださるお客さまがいて、支えてくれる家族がいるおかげ。当たり前に毎日仕事をできることが、すごくありがたいことなのだと感じています。
若手女性スタッフへ、メッセージをお願いします!
美容業は、女性が活躍する場として憧れを持ってもらえる業種だと思うけれど、家庭を持ちながら続けられる環境かというと、やはり難しい業種になると思います。でもうちの店のように、ママスタッフが多くいて、支え合えるサロンも探せばあるはず。「子どもを産んだから働けない」「家族がいるからできない」などとは思わずに、活躍できる場を自分で見つけて、働き続けてほしいです。もしサロンに勤めることができなくても、手に職があればどこでも、何歳でも仕事はできます。自宅でも、間借りでも、工夫さえすれば好きな美容の仕事を続けていけるので、子どもを理由にあきらめないで。私たちの仕事は、誰かをキレイにする仕事です。ネガティブに考えず、前向きな気持ちで取り組んでいけば、お客さまを笑顔にできるよい技術者になれるのではないでしょうか。
Salon Data
Esthetic salon Aime【エステティックサロン アイミー】
- アクセス
- 池袋駅C2出口から徒歩1分
- 創業年
- 2016年
- 店舗数
- 1店舗
- 設備
- ベッド2、リクライニングチェア1
- スタッフ数
- 5名