2022年、創業から10周年という節目を迎えた「Quintet nail(クインテット・ネイル)」。笹塚店は、商店街と住宅街の境い目に位置し、お客さまの中心は30~50代。一般的には“見る目が厳しい”といわれるオトナ女性から圧倒的な支持を集め、なかには3回先まで予約を入れる人もいるほど!そこまで愛される秘訣&値上げに踏み切ったウラにある、スタッフへの想いとは?
オーナー/滝 純治さん
百貨店に入るジュエリー・アクセサリー関連のブランド店勤務、ネイルサロンでの運営管理などを経て、2012年「Quintet nail」を東京・笹塚にオープン。現在、千歳烏山店と計2店舗を展開。お客さまの視点に立ってサロンを客観的に見つめ直す機会として、スタッフにジェルネイルをしてもらうことがあるため、お顔とギャップのある(失礼!)かわいらしいネイルをしていることが多々あり。
予約困難なほどの人気は、いかにして?
ーホットペッパービューティーの「口コミ」評点が、サロン平均4.97(2022年12月時点)と、非常に高いです。お客さまの口コミに「丁寧」「きめ細やか」といった言葉が多く出てきますが、心がけていることは?
まずは、きちんとした「技術」が大前提にあります。技術も知識も、常にアップデートしていかなければいけないので、スタッフは定期的に技術研修を受けています。研修の日は臨時休業にして、全員で参加。もちろん研修費は会社が負担し、出勤日扱いになります。
ー「口コミ」への返信も、みなさんとても丁寧ですね。
返信をすることはマストで、なるべく早めに、というお願いはしています。
サロンボードは2店舗分、マメに見ていますね。口コミ内容と、それに対しての返信。また予約一覧で「この方のお名前はよくお見かけするな」とか。あと、ハンドとフットを一人でやらないといけないシフトがあると、お客さまもスタッフも疲れてしまわないかな?など。私はネイリストではないので、お客さまと接する機会はありませんが、サロンボードなどからも現場を知ることができています。
ー以前ある撮影で「Quintet nail」さんに、ネイルチップ提供のお願いをしたことがあります。何千というチップを撮影してきたカメラマンが、「こんなに丁寧な仕事ぶりは見たことがない」と驚いていました。それは、サロンワークでも同じなのでしょうね。
ありがとうございます。うちのお客さまは、30~50代のいわゆるオトナ女性がほとんど。平均客単価は約1万円(税込)と決して安くはないので、求められる値も大きい。そのご期待に応えたい、と思っています。
ーいつうかがっても、サロンに一歩入っただけで、居心地のよさ・雰囲気のよさが伝わってきます。接客面で意識していることは?
うちの指名比率は、半分ちょっと。どのスタッフにあたっても、技術・接客ともに「高いレベル」で提供できるようにしています。希望者は、接客に関するセミナーに参加して、そこで得たものを、ほかのスタッフにも共有したり。日々のサロンワークのなかでも、店長やスタッフが気づいたことを積極的に上げてくれるので、みんなで話し合いながら、随時改善していますね。
ーリピート率は、どのくらいですか?
最新の数字で、96%です(総客数に対してリピーターが占める割合)。ただ、リピーターさんが予約したいときに枠が空いていないことも多く、心苦しかったので、この9月から予約開始のタイミングを変えました。
たとえば12月であれば、スタッフのシフトが決まるのが11/5~10くらい。今までは、その後にサロンボードの12月分を開放していました。それを、12/1~15の予約→11/15に開放、12/16~末→12/1に開放と、2段階に分けるようにしたんです。
ーその場で、次回予約を入れていくお客さまも多いとのことでしたが?
そうですね。ありがたいことに枠が早く埋まってしまうので、長く通っている方は特に、先々の予約まで…。なかには、2回先・3回先まで予約される方もいます。
季節感を前面に打ち出した「フォトギャラリー」
ーホットペッパービューティーの「フォトギャラリー」画像も、それぞれの季節で統一感があって素敵ですね。撮影は、どのような流れで?
「キラキラゴージャス☆冬ネイル」など月のテーマを決めたら、デザインはスタッフに任せています。出来上がったら、テーマに合った小物や紙・花などを購入して、ネイルチップを撮影します。
12月でいうと、昨年はクリスマスらしさを「松ぼっくり」で表現しましたが、「小物はもっとシンプルにして、ネイルが引き立つようにしたほうがいいかな?」など振り返りをして、同じ季節であっても毎年変えるようにしています。他のサロンや、アパレルなどのページも参考に、「見せ方」を研究したり…。
ー撮影には、どのくらいの時間を要していますか?
ホットペッパービューティーに掲載するのは2店舗合計で15カットくらいですが、丸2日ほどでしょうか。どちらかというと、背景・構図といった「前段階」に時間がかかりますね。撮影の際も、一つひとつのチップの角度を微妙に変えるなど、試行錯誤を繰り返して…。
ホットペッパービューティー上で、ネイルサロンは特に「フォトギャラリー」がまずお客さまの目に触れる場所だと思います。ここには、こだわりたいですね。
値上げは、働き方改革のため!?
ー2022年9月に、価格改定をされたとか。原材料価格の高騰が影響していますか?
それもありますが、価格改定自体は、2021年の夏頃から他社動向を見ながら検討していました。
うちでは「一人あたりの生産性」を大事な指標にしています。だんだん上がってきてはいたものの、これ以上は、スタッフの体力的にも限界でした。
ホットペッパービューティーでの「受付可能残席数(残キャパ:座席数×回転率×日数からサロンのMAXキャパシティを出し、あとどのくらい枠を出せるか算出したもの)」は、月間で大体0.7%でした。一番多い月でも2.4%で、これは「1枠出せるか出せないか」という状況。つまり、これ以上に生産性を上げるのは難しく、客単価を上げるしかなかったんです。
ーなるほど。値上げに関して、お客さまの反応はいかがでしたか?
その時点で詳細な価格は決まっていませんでしたが、価格改定について伝え始めたのは7/15から。「いろんなものが値上げしているから、しょうがない」と受け止めてくださる方がほとんどでした。それを理由に離れてしまった方は、スタッフが把握している限り、いなかったようです。もちろん、サイレントで離れた方はいたかもしれません。
結果、実際の集客数は落ちませんでした。客単価も1,000円上がったので、利益は増えています。
ー「Quintet nail」さんのお客さまは、もともと「価格でサロンを選んでいない」というか、価格以外のところでの満足度が大きかったからかもしれませんね。また、価格改定に合わせて、改革したことがあるとか?
価格改定のタイミングで、スタッフの「働き方」も見直しました。それまでは、お客さまの予約を先に入れて、空いた時間で休憩を取ってもらうスタイル。ただ、それだとスタッフの負担が大きい実状もあったのでは…と。なので、スタッフの休憩時間や施術外の業務を集中しておこなう時間を先に、サロンボード上で確保するようにしました。
希望休も、それまでは月2日まで(土日祝は冠婚葬祭のみ)だったのを、月3日まで(うち土日祝は1日まで)に変更しました。
ー手厚いですね。そのようにした理由は?
仕事とプライベートの充実が、人を輝かせることができるからです。仕事面だけではなく、人生設計も一緒に考えたい。産休や育休制度を利用し、長く働いてくれるスタッフも多いですね。
「スタッフ満足」なくして、「お客さま満足」はありません。これからも、その両軸を大切にしていきたいですね。
SALON DATA
-
Quintet nail 笹塚店【クインテット・ネイル】
- アクセス
- 京王線「笹塚駅」より徒歩3分
- 創業年
- 2012年
- 店舗数
- 2店舗
- 設備
- 総数5(ハンド4/フット1)
- スタッフ数
- 4名