2014.02.04
私生活でもパートナーである髙橋健志氏とともに、日本初の家事代行サービスを手掛けるベアーズを磨き続けて15年。
ゼロからブランドを確立し、質の高い人材を育成してきた髙橋ゆきさんに、ブランドの磨き方や経営者のビジョンを形にできるNo.2の育て方など、美容業界にも生かせるエッセンスをお話しいただきました。
PROFILE
髙橋 ゆき(たかはし ゆき)
家事代行サービス産業を牽引する「株式会社ベアーズ」専務取締役としてマーケティング、広報、人材育成を担当。
同社は2010年サービス産業生産性協議会「ハイ・サービス日本300選」受賞。2011年東京商工会議所「勇気ある経営大賞」特別賞受賞。2013年経済産業省「おもてなし経営企業選」選定、2012年には、テレビ東京「カンブリア宮殿」に出演。
個人としても各種ビジネスコンテストの審査員や日本能率協会「経営・マーケティング戦略コース」のコメンテーター、日本の暮らし方研究家、家事研究家として活躍。
座右の銘は「人生まるごと愛してる」
|第7章|女性のキャリアの生かし方で、心がけていることはありますか?
女性幹部の育て方に悩んでいる方も多いかもしれません。ベアーズでも現在は、女性役員は私以外に1人だけです。彼女は今、育児休暇を取っていて、今年の秋に復帰する予定です。復帰後はきっと、これまでのようなペースでは働けないでしょう。しかし、彼女には責任感と意欲、そして何よりもベアーズというところでの自分の夢を描ける力があると私は感じています。じゃあ、どうするか。私は、彼女に任せられる新規事業部やプロジェクトを作ろうかなと考えています。彼女だけでなく、産休や育休などから復帰した人たちだけを集めたセクションを作ったらどうかなとも。やはり、女性が輝きながら仕事を続けられる、そしてキャリアを生かせる場を考えていかないことには難しいと感じています。
女性に責任ある仕事を任せようとすると、「できません」と謙遜する人も多いでしょう。それでもとにかくやらせてみると、意外と器用にこなすんですよね。ですからまずは、任せてみてほしいと思います。それから、女性の特性を意識してみるのもいいかもしれません。例えば、女性は準備力の達人です。きちんと心構えとスイッチが入ったときの段取り力、行動力は男性も顔負けのことも多々あるはずです。ただ、何か突発的なことが起こって、すぐにお客様のところに出向かなければいけないようなときには、男性の部下に声をかけます。これを女性に頼むと「どうしてですか?」「なぜ私に声をかけたんですか?」と聞かれてしまうんですね。
また、私は部下を叱るときは、女性は午前中に、男性は終業時などにと使い分けています。なぜかというと、女性は15時を過ぎると、急に仕事とは別のことを考え出すからです。子どもの迎えの時間が気になったり、冷蔵庫の中身を思い出しながら買い物の段取りをつけたりする。そのおかげで家庭が切り盛りできるわけで、そんなときに叱っても響かないんですね。そのかわり、午前中にビシッと叱ると、女性は夕方にはちゃんと消化してくれます。男性の場合は逆で、朝叱ってしまうと「自分はもう期待されないんじゃないか」などと考えて、一日中引きずってしまうんです。そうならないように帰り際に叱ると、飲んで帰ったりして、翌日には気持ちを入れ替えて出社してくれるんですよね。
部下や後輩を指導するときには、「人」として尊重して、必要なときには厳しいこともきちんと伝えることが大切だと思います。「人間関係が壊れてしまうかもしれない」「嫌われてしまうかもしれない」などと考えて、思うように指導できないこともあるかもしれません。でも、だからこそ、厳しいことを伝えてくれる人が求められるし、あとになって感謝されると思います。