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エステサロン領域

2012.02.29

逗子の海と富士山が一望できる小高い丘に位置するSOLEMAREは、「スパジャーニー」を標榜するプライベートスパエステ。シドニーで自然療法を学んだのち、クルーズ船内のスパで経験を積むという、一風変わった経歴を持ったKEIKOさんがオーナーです。34歳でキャリアをスタートさせ、海外で働いた経験を持つ彼女だからこそわかる、日本の美容の可能性や、プライベートサロンの今後について伺いました。

PROFILE

KEIKO

1997年秋、6年勤務した商社を辞め、イタリア・フィレンツェでのロングバケーションを経て、2002年1月、オーストラリアでも随一の自然療法の総合学校に34歳で入学。自然療法と出会う。シドニー湾を臨むHotel W内, Spa Chakraのコントラクト(契約)セラピストとして新たなキャリアをスタート。その後、世界最大のスパカンパニー、スタイナー・ロンドン本社にて研修を受け、Holland America Cruise Line内スパに配属される。2006年帰国。神奈川県逗子の海と富士山が見える絶好のロケーションに出会い、2007年1月SOLEMAREを開業。現在は、オーストラリア留学専門エージェント主催のセミナー「留学成功体験談を聞く会」の講師としても活躍。

|第2章|「日本人施術者」のブランドと可能性

「日本人施術者」のブランドと可能性

野嶋 セラピストとしてのキャリアをシドニーでスタートさせたわけですが、その後はどのような経緯を経てこの逗子のサロンにたどりついたのですか?

KEIKO その後、ホテルのスパで働いていた同僚から聞いたクルーズ船に乗ったんですよ。船の中のスパで施術するスタッフですね。

野嶋 クルーズ船ですか。またどうして?

KEIKO その同僚から、クルーズ船での勤務はものすごく忙しいけれど楽しいよと聞いたんですよね。私、キャリアスタートが遅いので、とにかくたくさんの施術をして経験を積みたかったので、その「すごく忙しい」というクルーズ船の勤務がいいんじゃないかなと(笑)。そこで、ロンドンに飛んで3ヶ月の研修を受けて、カリブ海をクルーズする船に8ヶ月間乗船しました。

野嶋 それは、ものすごい体験ですね。

KEIKO そこで学んだのはエンターテインメントの精神です。私が乗った船は乗客の99%がアメリカ人、しかもホリデーを過ごすレジャー中なので、癒しというよりも、ホスピタリティの一部としてのスパやマッサージ、ビューティを意識するようになりました。今、このサロンは「スパジャーニー」とうたっていますが、ただ施術するだけではなく、楽しい時間にしたいし、わくわくする時間にしたいという考えは、この時に養われたと思っています。それから、同時にこのクルーズでは、施術者としての「日本人」の特性を客観的に見る機会になりました。

「日本人施術者」のブランドと可能性

野嶋 と、言いますと?

KEIKO クルーズでは、お客さまにとても詳細なアンケートをとるんです。ありがたいことに、そこで「KEIKOのマッサージがとても良かった」というコメントをたくさんいただいたんですね。それは技術的な満足もあったのかもしれませんが、私の日本人としての気質が、アメリカのゲストにはとても新鮮なものにうつったということも大きかったように思います。クルーのみんなによく言われたのは「KEIKOの施術にはゲストに対するリスペクトがある」という言葉でした。

 私が乗ったクルーズ船は年齢的にミドル層のお客さまが多かったのですが、日本人である私が自然に培ってきた年配の方への敬意の気持ちや、どんな方に対しても一生懸命に施術するという真面目さなどが、とても喜ばれたように感じました。

野嶋 日本の美容の可能性を感じる体験ですね。

KEIKO 海外では日本人女性はやはりブランドなんですね。日本の女性が施術をするということ自体がまず喜ばれます。さらに、日本人ならではのホスピタリティの精神がとてもマッチしている。おだやかだし、優しいし、自己主張をしすぎない。人の話をしっかり聞いてあげられる。そういう国民性が、海外ではとても喜ばれます。私が、美容の業界にいる女性たちに海外での経験を勧めるのも、その部分にあります。こればかりは私が口でどれだけ伝えても、実際に経験していただかないとわからないことなので。日本の美容の技術者に、もっと海外に出ていってもらいたいなと思っています。

野嶋 日本に戻ってきてからはすぐにこの場所にサロンを出されたんですか?

KEIKO そうです。日本のサロンで一度も働いたことがなかったので、本当は一度日本で働いてから開業しようと思っていたんです。けれども友人に、「日本のやり方に合わせる必要はないよ。海外で学んできたあなたらしい方法でいいんじゃない」と言われたので、すぐに開業することになりました。お客さまも1人もいないのにね(笑)。

野嶋 サロン名が素敵ですよね。「ソーレ(太陽)」と「マーレ(海)」。これはやはりイタリアのイメージなんでしょうか。

KEIKO はい。イタリアでカナリア島に行ったときに、何かの拍子に「ソーレルーナ(太陽と月)」という名前を目にしまして。私だったらやっぱり太陽と海がいいな、何か新しいことをやるときは「ソーレマーレ」という名前にしようと決めていたんです。

野嶋 今日はまさに天気も良くて、窓から海も見えて。「ソーレマーレ」の名前がぴったりですね。

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